2023年10月10日 更新

小説

ディストピア飯小説賞によせて 特別書き下ろし短編

深緑野分 / 竹岡 葉月 / 青木 祐子 / 辻村 七子 / 椹野 道流 / 須賀 しのぶ  装画:さーだ

最後の日には肉を食べたい (著:青木祐子)

ディストピア飯小説賞によせて 特別書き下ろし短編

 わたしの前に肉がある。 世界が入った肉だ。          * * わたしが孝(たか)明(あき)と知り合っ…

小説

ディストピア飯小説賞によせて 特別書き下ろし短編

深緑野分 / 竹岡 葉月 / 青木 祐子 / 辻村 七子 / 椹野 道流 / 須賀 しのぶ  装画:さーだ

E・ルイスがいた頃 (著:竹岡葉月)

ディストピア飯小説賞によせて 特別書き下ろし短編

 サウスアボット基地は月面都市群(ルナ・ポリス)の一部であり、れっきとしたアメリカ合衆国五十一番目の州である。…

小説

ディストピア飯小説賞によせて 特別書き下ろし短編

深緑野分 / 竹岡 葉月 / 青木 祐子 / 辻村 七子 / 椹野 道流 / 須賀 しのぶ  装画:さーだ

石のスープ (著:深緑野分)

ディストピア飯小説賞によせて 特別書き下ろし短編

「何食べてるんですか、博士」と助手は言った。「うん? いいものだよ。実験が成功したお祝いだ!」 博士の手元…

2023年9月29日 更新

小説

たかが恋の話

阿部 暁子  装画:倉秦

たかが恋の話 最終回

「L大学文学部四年の秋山朝陽です。本日より三週間、お世話になります。誠心誠意励はげみますので、ご指導よろしくお願いいた…

小説

もののけ寺の白菊丸

瀬川 貴次

もののけ寺の白菊丸 最終回

 半分ほどに膨ふくらんだ月が、山の斜面に転々と建つ堂どう宇うの屋根を照らしている。 おかげで、案じていたよりも…

小説

僕の恋、思い出と勝負するのは分が悪すぎる

我鳥 彩子  装画:加藤 綾華

僕の恋、思い出と勝負するのは分が悪すぎる 第三回

   4  斯かくして僕は、翌日から毎日公園を散歩するように命じられた。 榊さかきさんと皐月さつきが代わ…

小説

夕陽に立つ吸血鬼

赤川 次郎  装画:ひだか なみ

夕陽に立つ吸血鬼 最終回

容疑  表に出ると、河(かわ)辺(べ)みずほは足に力が入らず、よろけて転びそうになった。「しっかりして!…

2023年9月19日 更新

小説

『宝石商リチャード氏の謎鑑定』番外編

真砂なす

辻村 七子  装画:雪広 うたこ

真砂なす 最終回

『宝石商リチャード氏の謎鑑定』番外編

「潔(いさぎよ)く自ら王冠を脱ぎますか? それとも首だけになりますか?」「………………」 リチャードは数分、考…

小説

威風堂々惡女 最終巻発売記念 書き下ろし後日譚

白洲 梓  装画:蔀 シャロン

威風堂々惡女 最終巻発売記念 書き下ろし後日譚

 科(か)挙(きょ)受験者の資格に「性別を問わず」の文言が追加されたのは、聖(せい)太(たい)帝(てい…

小説

たかが恋の話

阿部 暁子  装画:倉秦

たかが恋の話 第三回

 二日後のことだ。 R大付属高校では夏休みに入ってからも各学年向けの夏期講習が行われる。参加するかは生徒の自由…

小説

もののけ寺の白菊丸

瀬川 貴次

もののけ寺の白菊丸 第二回

「では、白しら菊ぎく丸まるはわたしたちが勿もっ径けい寺じに連れて参りますので、乳母めのとどのはここから都にお戻…

小説

僕の恋、思い出と勝負するのは分が悪すぎる

我鳥 彩子  装画:加藤 綾華

僕の恋、思い出と勝負するのは分が悪すぎる 第二回

   3  僕の住むマンションの近くには大きな公園があり、そこを散歩しながら小説の構想を練ねるのが僕の習…

小説

莉国の都・景京

珠華杏林医治伝 乙女の大志は未来を癒す 番外編

小田 菜摘  装画:ペキォ

莉国の都・景京

珠華杏林医治伝 乙女の大志は未来を癒す 番外編

 中ちゅう原げんを支配する大帝国・莉り王朝。 今上の即位より六年目のその日、この国に女子のための医学校が開校し…

小説

夕陽に立つ吸血鬼

赤川 次郎  装画:ひだか なみ

夕陽に立つ吸血鬼 第四回

痕跡 「あれか……」 と、エリカは崖から下を覗のぞき込んで、「これじゃ、引き上げるのは容易じゃないわね」…

2023年9月8日 更新

小説

『宝石商リチャード氏の謎鑑定』番外編

真砂なす

辻村 七子  装画:雪広 うたこ

真砂なす 第三回

『宝石商リチャード氏の謎鑑定』番外編

 リチャードは何も言わず、静かに目礼した。俺もならう。 シャウルさんはややあってから、オーバーに腕を広げた。「…

小説

たかが恋の話

阿部 暁子  装画:倉秦

たかが恋の話 第二回

 今年度の東北高校弓道選手権大会の開催地は福島。R大付属高校弓道部からは、二年生男子重野、三年生女子及川おいか…

小説

もののけ寺の白菊丸

瀬川 貴次

もののけ寺の白菊丸 第一回

 泣いてはいけない。 数えの十二歳になって間もない白しら菊ぎくは、そう自分に言い聞かせつつ、寝殿造しんでんづく…

小説

僕の恋、思い出と勝負するのは分が悪すぎる

我鳥 彩子  装画:加藤 綾華

僕の恋、思い出と勝負するのは分が悪すぎる 第一回

   1 『書けない!?』 電話の向こうで、知らない宇宙人からお中元でも届いたかのような声が上がった。 …

小説

夕陽に立つ吸血鬼

赤川 次郎  装画:ひだか なみ

夕陽に立つ吸血鬼 第三回

消失点 「で、どうして私たちまで駆り出されるわけ?」 と、橋はし口ぐちみどりがふくれっつらで言った。「い…

2023年9月1日 更新

小説

『宝石商リチャード氏の謎鑑定』番外編

真砂なす

辻村 七子  装画:雪広 うたこ

真砂なす 第二回

『宝石商リチャード氏の謎鑑定』番外編

 シャウルさんはかつて医者であった。イギリスの医大を卒業し、スリランカに戻って開業もした、れっきとした専門医で…

小説

たかが恋の話

阿部 暁子  装画:倉秦

たかが恋の話 第一回

 忘れもしない五月三十日、教育実習が始まって二度目の月曜日だ。 明け方から、夏の匂いをおびてきた空気を撃ち…

小説

夕陽に立つ吸血鬼

赤川 次郎  装画:ひだか なみ

夕陽に立つ吸血鬼 第二回

消えた高校生  最終日だった。 朝、六時ごろに目が覚めると、谷(たに)崎(ざき)ゆかりは、早々に顔を洗っ…

2023年8月18日 更新

小説

『宝石商リチャード氏の謎鑑定』番外編

真砂なす

辻村 七子  装画:雪広 うたこ

真砂なす 第一回

『宝石商リチャード氏の謎鑑定』番外編

 ミュンヘン・ミネラルショーを訪れるのはこれで三度目だ。ミュンヘン国際空港からUバーンと呼ばれる地下鉄に乗り、…

小説

『ハケン飯友 僕と猫の、小さな食卓』番外編

ずっと一緒に

椹野 道流  装画:内田 美奈子

ずっと一緒に

『ハケン飯友 僕と猫の、小さな食卓』番外編

「はー、食った食った」 満足げにそう言って、猫……トラキチは、両手を元気よく合わせ、ごちそうさまの挨(あい)拶…

小説

『映画みたいな、この恋を』ショートストーリー

「ぜんぶ、夏のせい」

いぬじゅん  装画:飴村

「ぜんぶ、夏のせい」

『映画みたいな、この恋を』ショートストーリー

 今日も翔(しょう)太(た)は元気だ。「実(み)緒(お)、見て。魚がいる!」 波打ち際で制服のパンツのすそが濡…

小説

夕陽に立つ吸血鬼

赤川 次郎  装画:ひだか なみ

夕陽に立つ吸血鬼 第一回

終わりの日 「やれやれだわ……」 と、マスクをした白髪の女性が言った。「こんな時間になって、やっとなんて…

2023年2月10日 更新

小説

払暁前夜――嚆矢、北方より

双蛇に嫁す 番外編

氏家仮名子  装画:田村由美

払暁前夜――嚆矢、北方より

‌‌「また、双子の妃か」‌ 長い黒髪を結い上げた男は、そう言って顔をしかめた。眉(み)間(けん)に寄った皺(し…

2022年12月6日 更新

小説

意識高い系第二新卒の憂鬱

このビル、空きはありません! オフィス仲介戦線、異常あり 番外編

森ノ薫  装画:ゆき哉

意識高い系第二新卒の憂鬱

 会議室で六名の男女が話し込んでいる。 ガラス張りのパーテーション越しに、議論が白熱しているさまが見える。社員…