2025年8月20日 更新

小説

手のひらに月でも乗せたげる

瀬野 那成  装画:mugico

第一話「火花を掬って、おやすみ」

 寝転がったまま手のひらを重力に逆らって伸ばしてみても、天井にぶら下がったまん丸い蛍光灯にすら届かない。空気を…

小説

魔法の剣と銀の剣

泉 サリ  装画:梨本 つみれ

魔法の剣と銀の剣 後編

【3】 記憶の湖で有名になるまで、この村はとても人が少なかった。豊かではないが平和な場所で、鹿や猪に作物を荒ら…

小説

のっぺらぼう

いろはに狼 猫と鬼と勝烏 番外編

栢山 シキ  装画:淵゛

のっぺらぼう

「あ」 下駄箱の扉を開けたいろはは、外履き用の靴の上にちょこんと置かれた封筒を見つけて小さく声を上げた。 神(…

小説

胡家の双子の意見が分れた日

冥官の愛妻 怪談寺のおくりびと 番外編

喜咲 冬子  装画:ねぎし きょうこ

胡家の双子の意見が分れた日

 胡(こ)家の承(しょう)恩(おん)と承(しょう)慈(じ)は、双子である。 見た目もそっくりなら、そっくりであ…

小説

犬とヒマワリ

『魔法使いのお留守番 シロガネ編』刊行記念『魔法使いのお留守番』番外編

白洲 梓  装画:kokuno

犬とヒマワリ

 ヒマワリが初めて終(はて)島(じま)にやってきてから、半年が経っていた。 時折、不老不死を求めてやってくる歓…

小説

振って降られて吸血鬼

赤川 次郎  装画:ひだか なみ

振って降られて吸血鬼 第一回

嵐の予感  予感は、冷たくじっとりとした空気の中にあった。「台風が急に進路を変えたらしいわよ」 サービス…

2025年8月8日 更新

小説

【奇譚】都市伝説解体センター

氏家 仮名子  装画:リック

#1 【三名様だと思いました】

『先週な、食べてきたんすわ。けっこうな有名店の鰻(うなぎ)を』『いいですねー、夏といえば鰻ですよね。僕誘われて…

小説

魔法の剣と銀の剣

泉 サリ  装画:梨本 つみれ

魔法の剣と銀の剣 前編

【1】 運命なんて信じないけれど、一年前、呼び込みを振り切れずに入ってしまった占い館で、めくったタロットカード…

小説

仏蘭西(フランス)より死の舞踏(ダンス・マカブル)来(きた)る

あやかし開化の音がして 降魔の家に嫁に行く 番外編

尼野 ゆたか  装画:篁 ふみ

仏蘭西より死の舞踏来る 後編

 骸がい骨こつたちとの距離は、それなり以上に離れている。しかし、明あき子こは一瞬にして骸骨の群れへと飛び込んだ…

2025年8月1日 更新

小説

恋愛事変

~謎解きの助手も漫画家アシスタントの仕事なんですか?~

如月 新一  装画:shiho

恋愛事変 ~謎解きの助手も漫画家アシスタントの仕事なんですか?~

     1  漫画家アシスタントの仕事は多た岐きにわたる。 ネームを基にパースを取って背景を描き、漫画…

小説

仏蘭西(フランス)より死の舞踏(ダンス・マカブル)来(きた)る

あやかし開化の音がして 降魔の家に嫁に行く 番外編

尼野 ゆたか  装画:篁 ふみ

仏蘭西より死の舞踏来る 前編

 四し方お津つ明あき子この一日は、西洋寝台ベッドの上で目覚めるところから始まる。天てん蓋がいつきで、ふかふかと…

2025年7月17日 更新

小説

「今日はここまで」

ピクニックはおしまい 番外編

透野 すい  装画:萩森 じあ

「今日はここまで」

 音符が描かれたクリーム色のボタンを前に、私はいつも緊張してしまう。 ――呼び鈴を鳴らしてもハヅキさんがいなか…

小説

山梨より槍使い来(きた)る

あやかし開化の音がして 降魔の家に嫁に行く 番外編

尼野 ゆたか  装画:篁 ふみ

山梨より槍使い来(きた)る

 ――日本人は身投げか首くくりである ジョルジュ・ビゴー  一瞬なのだな、とさよは思う。 太い旦那…

小説

化生の恋

十番様の縁結び 8 神在花嫁綺譚 番外編

東堂 燦  装画:白谷 ゆう

化生の恋

 止(や)むことのない雨と、あたりを覆うような深い霧。 まさしく《雨(あま)霧(ぎり)》の名がふさわしい土地は…

2025年7月1日 更新

小説

宝石商リチャード氏の謎鑑定

比翼のマグル・ガル

辻村 七子

宝石商リチャード氏の謎鑑定 比翼のマグル・ガル 第八回

4 比翼のマグル・ガル  正せい義ぎは二度と意識を失うことはなかった。元気に自力でごはんも食べ、すぐトイ…

小説

オレンジ文庫創刊10周年記念「魔法のある日常」リレー短編

似鳥 鶏 / 乙一 / 桑原 水菜 / 今野 緒雪 / 白川 紺子 / 三浦 しをん  装画:shiho

魚の神さま(著:三浦しをん)

 ほとんど日の光を浴びない私は、深海魚のような生活を送っている。 注文を受けたおにぎりの数にもよるが、だいたい…

2025年6月20日 更新

小説

宝石商リチャード氏の謎鑑定

比翼のマグル・ガル

辻村 七子

宝石商リチャード氏の謎鑑定 比翼のマグル・ガル 第七回

3 セレスタイトは歌う(3)  夢を見た。 当たり前のように、夢の中では正(せい)義(ぎ)が目覚めていた…

小説

青の目覚め

あやかし乙女のご縁組 2 ~神託から始まる契約結婚~ 番外編

七沢 ゆきの  装画:榊 空也

青の目覚め

 なにもかも、大嫌いだった。 今までも、きっとこれからも、 そして今日もまた、やっぱり嫌いだと、僕をこの部屋に…

小説

冬の狩猟祭にて

バートリ家の吸血姫(※誤解)とワルキア竜公のありえない婚礼 番外編

江本 マシメサ  装画:sena

冬の狩猟祭にて

 ワルキア公国では年に一度、冬に狩猟祭を開催する。 現ワルキア公ブラッド様の妻である私は、来(きた)る狩猟祭に…

小説

夏の終わりに、きみと出会う

京都岡崎、月白さんとこ 夏の終わりに、旅立つきみへ 番外編

相川 真  装画:くじょう

夏の終わりに、きみと出会う

 コーヒーの香ばしい匂いが、飴色の店内に穏やかに満ちている。 紀(き)伊(い)陽(はる)時(とき)は陶器のカッ…

2025年6月10日 更新

小説

宝石商リチャード氏の謎鑑定

比翼のマグル・ガル

辻村 七子

宝石商リチャード氏の謎鑑定 比翼のマグル・ガル 第六回

3 セレスタイトは歌う(2) 『ごめん。今ドバイ』「…………ジェフ」『何も考えるな。リッキー、何も考える…

小説

五月にはさくらんぼ

古池 ねじ  装画:田中 舞

五月にはさくらんぼ

 二十八歳の誕生日は実家で過ごすことにした。 金曜日なので木(き)村(むら)さんと会おうかと思ったのだけど、「…

小説

大江戸恋情本繁昌記 ~吉原の鮓~

大江戸恋情本繁昌記 巻ノ弐 蔦重と意地の本 番外編

ゆうき りん  装画:AiLeeN

大江戸恋情本繁盛記 ~吉原の鮓~

(ここへ来るのも、ずいぶんと久しぶりだ……) 大(おお)門(もん)までの五(ご)十(じっ)間(けん)に並ぶ店を…

2025年5月30日 更新

小説

宝石商リチャード氏の謎鑑定

比翼のマグル・ガル

辻村 七子

宝石商リチャード氏の謎鑑定 比翼のマグル・ガル 第五回

3 セレスタイトは歌う(1)  真(ま)鈴(りん)と一緒にファストフード店でねばっていたみのるは、夜の九…

小説

ビストロ・マエストロ

亡き王女のオペラシオン 1 番外編

ゆきた 志旗  装画:六七質

ビストロ・マエストロ

 白いものは何でも美味おいしい。美味しくないものを見たことがない。 たとえば、パンの柔らかいところ。これを真っ…

小説

オレンジ文庫創刊10周年記念「魔法のある日常」リレー短編

似鳥 鶏 / 乙一 / 桑原 水菜 / 今野 緒雪 / 白川 紺子 / 三浦 しをん  装画:shiho

レディ・マグノリアの生涯(著:白川紺子)

 わたくしのお嬢様、レディ・マグノリアがお生まれになったのは、八十二年前の春のことでした。 お嬢様のお父上であ…

2025年5月19日 更新

小説

ハッピーエンドにするって決めた

片付かないふたり 番外編

村崎 なつ生  装画:眩しい

ハッピーエンドにするって決めた

 あれ、なんでこの子急に走り出したんだっけ。 映画の終盤、主人公の女の子が部屋を飛び出して住宅街を走り抜けてい…

小説

黒猫探しの休日

京都御幸町トワイライト 星の試着室 番外編

相川 真  装画:みっ君

黒猫探しの休日

 その黒猫には、まだ名前がない。 だからみな、「猫」「黒猫」と、愛あい想そもそっけもない名前で呼んでいる。 御…

小説

動画を作ろう!

京橋骨董かげろう堂 番外編

辻村 七子  装画:野白 ぐり

動画を作ろう!

「突然だがPR動画を作ろうと思う。どうかな白(しら)澤(さわ)くん」「やめた方がいいと思いますね」 京橋に…

小説

宝石商リチャード氏の謎鑑定

比翼のマグル・ガル

辻村 七子

宝石商リチャード氏の謎鑑定 比翼のマグル・ガル 第四回

2 告白とペンダント(3)  マリンタワーは灯台を模してつくられた塔であるという。入学してすぐの頃、社会…

2025年5月9日 更新

小説

蒿里の曲

『後宮彩華伝 復讐の寵姫と皇子たちの謀略戦』発売記念 はるおかりの書き下ろし番外編

 聞き慣れた足音が背後で響き、東(とう)廠(しょう)督(とく)主(しゅ)・独(どく)囚(しゅう)蠅(よう)はふ…

小説

宝石商リチャード氏の謎鑑定

比翼のマグル・ガル

辻村 七子

宝石商リチャード氏の謎鑑定 比翼のマグル・ガル 第三回

2 告白とペンダント(2)  土曜日はすぐにやってきた。みのるはその日朝から生きた心地がしなかった。なん…