迷子の迷子の吸血鬼ちゃん
赤川 次郎 装画:ひだか なみ
迷子の迷子の吸血鬼ちゃん 第三回
トラブル その後は――当然、なるべくしてなったのである。 夜十二時に、クロロック家のチャイムが鳴り、「…
2025年12月26日 更新
赤川 次郎 装画:ひだか なみ
トラブル その後は――当然、なるべくしてなったのである。 夜十二時に、クロロック家のチャイムが鳴り、「…
奥乃 桜子
東(とう)京(きょう)駅(えき)のすぐそば、再開発の進む八(や)重(え)洲(す)の一等地を見下ろす高層フロアにて、御…
奥乃 桜子
ますます小(こ)夏(なつ)はうろたえた。さすがに話が違うではないか。「……これってネコダマ案件ではないですよね。わた…
奥乃 桜子
「やっちゃえよ」 芽め吹ぶき朋とも也やがはじめてその声を聞いたのは、職場の最寄り駅だった。終電間際に若い男とすれ違…
奥乃 桜子
黄(よ)泉(み)鳥(どり)はどのデスクにも近寄らず、漫画本を携(たずさ)えたまま突きあたりへ歩を進めた。「……エース…
2025年12月18日 更新
氏家 仮名子 装画:リック
「……おはようございます」「おはよ」と運転席で答えるジャスミンは、心なしか顔色が悪いように見える。 かくいうあ…
後宮真誌怪 あやかし好事家の空白異変 番外編
希多 美咲 装画:花守
紅(こう)紗(さ)族を代表して和(わ)南(なみ)島から帝都『蓮(れん)陽(よう)』に渡って早半年。香(こう)…
相棒は犬 3 転生探偵マカロンの事件簿 番外編
愁堂 れな 装画:奈良 千春
運命の出会い。組長と盃(さかずき)を交わした以外にそんな出会いが自分に訪れることなどあるまいと、二年前のあの…
争族なんて聞いてない! 新米税理士、初仕事は女たちの戦場で 番外編
ひずき 優 装画:加藤木 麻莉
藤(ふじ)村(むら)税理士事務所は、銀(ぎん)座(ざ)の路地裏にある雑居ビルの二階に看板を出している。 ドア…
京都岡崎、月白さんとこ 秋染まる嵐と静かの月 番外編
相川 真 装画:くじょう
リビングの時計は、先ほどから遅々として進まない。 ため息交じりに立ち上がった青(せい)藍(らん)は、空(から…
掌侍・大江荇子の宮中事件簿 八 番外編
小田 菜摘 装画:ペキォ
かぐわしい梅の香りが漂う庭に、鶯(うぐいす)の鳴き声が響いた。 荇(こう)子(こ)は雑巾を握る手を止め、簀子…
赤川 次郎 装画:ひだか なみ
空中の出来事 「にぎやかでよろしい」 と、フォン・クロロックは言った。「ワア」 と、虎(とら)ちゃん、こ…
2025年12月10日 更新
赤川 次郎 装画:ひだか なみ
消える 「人間が一人、消えて失くなるなんてこと、あると思う?」 いきなりそう訊かれて、どう答えればいいの…
2025年11月19日 更新
氏家 仮名子 装画:リック
暗い廊ろう下かを歩いている。 明かりは外から漏もれ入るかすかな街灯と、スマホのライトだけ。 視界が暗い分、響…
ハルシネーションの庭 番外編
村崎 なつ生 装画:紀伊 カンナ
髪ってここまで傷(いた)むものなんだなあ、と牡(ぼ)丹(たん)の頭部を濡らしながら七(なな)緒(お)は考える…
ワケあっておチビと暮らしてます 夏休み 番外編
鈴森 丹子 装画:雨宮 うり
小さな靴箱が備え付けられた、コンパクトな玄関。 短い廊下の右手にはトイレ、左手には洗面台と浴室。 奥へ進むと…
2025年10月31日 更新
岡林 石子 装画:田中 舞
2 丈子 蒼そうちゃんは赤ちゃんの頃から、ウチの顔になんとなく似とった。そやけど、子供って顔変わるっ…
2025年10月17日 更新
岡林 石子 装画:田中 舞
1 蒼馬 僕、間(ま)山(やま)蒼(そう)馬(ま)は、自分の顔が嫌いだ。 特にこの、腫(は)れぼった…
術式結晶は闇に歌う 帝都術式捜査録 番外編
森 りん 装画:春野 薫久
術(じゅつ)式(しき)捜査三課の勤務棟は、真冬であっても温かい。壁に組み込まれた術式結晶が、建物全体を温めて…
2025年10月10日 更新
2025年10月1日 更新
水曜日は〈ベイベリー〉で 森のカフェでいただきます 番外編
高山 ちあき 装画:おとない ちあき
梅雨の真っただ中の、小雨のぱらつくある水曜日の午後。 森のカフェ〈ベイベリー〉のキッチンで、萌(め)衣(い)…
赤川 次郎 装画:ひだか なみ
土砂崩れ 「こうはしていられません」 と、久く保ぼ刑事が言った。「一刻も早く検死をしなくては!」「でも、…
2025年9月18日 更新
【コミカライズ開始記念!】冥府の花嫁 番外編
高山 ちあき 装画:縞
物見窓の向こうには、ごつごつした黒岩の小山がいくつも連なって見えた。 閻(えん)魔(ま)庁(ちょう)のある冥…
居酒屋のんの 今夜のおすすめ
新樫 樹 装画:ふろく
「あの……実はお願いがありまして」 いつもどおりに嶺(みね)と並んで飯を食って、和やかな時間を過ごしたあと。 …
さよならにうってつけの日 エンディングプランナーの備忘録 番外編
森ノ薫 装画:せき やよい
ママの倒れ方はギャグだった。店の床で大の字になって右手に酒瓶、左手にグラス。溢れ出したヘネシーは髪と赤いニッ…
百番様の花嫁御寮 4 ~神在片恋祈譚~ 番外編
東堂 燦 装画:白谷 ゆう
百(もも)生(せ)邸の離れ屋には、燃えるような夕焼けが差し込んでいた。 紗(さ)恵(え)は障子戸越しでもまぶ…
赤川 次郎 装画:ひだか なみ
正体 「私はM大の教授でね。徳とく永なが栄えい一いち郎ろうというんだ。知ってるだろ?」 という言葉にも、…
2025年9月10日 更新
瀬野 那成 装画:mugico
七月六日生まれなんだって言ったら、だいたい「惜しかったね」って言われる。あと一日遅かったら、七夕(たなばた)…
赤川 次郎 装画:ひだか なみ
事件 ドアの外から、クロロックの声がした。「エリカ、起きろ」 普通の人間の耳には全(まった)く聞こえな…
2025年9月1日 更新
瀬野 那成 装画:mugico
肩まで布団を被ったまま、手のひらを見つめる。常夜灯でぼんやりとオレンジに照らされた手相の線を意味もなく指でな…
赤川 次郎 装画:ひだか なみ
豪雨 「何よ、これ!」 エリカが思わず口走った。「どうなってるの?」 エリカは車のスピードを落とした。 …
2025年8月20日 更新