2024年11月19日 更新

小説

朱色の幻影

あやかし乙女のご縁組 ~神託から始まる契約結婚~ 番外編

七沢 ゆきの  装画:榊 空也

朱色の幻影

 美貌の男が土間に立っている。その場に二つ並んだかまどは、そこが現代の少し前の台所なのを示していた。 男の目の…

小説

しのぶれば

あやかし姫のかしまし入内(エンゲージ) 番外編

後白河 安寿  装画:後藤 星

しのぶれば

 北山の端はが茜と金に色づき始めた。日中の仕事を終えた人間たちは、黄土色の乾いた大地に紺青色の影を残して帰路を…

小説

もののけ寺に朝が来て

もののけ寺の白菊丸 桜花の稚児舞 番外編

瀬川 貴次  装画:大西 実生子

もののけ寺に朝が来て

 東の空が微(かす)かに白み始め、今日も勿(もっ)径(けい)寺(じ)に朝がやってきた。 数えで十二歳の小坊主、…

2024年11月1日 更新

小説

荒野は群青に染まりて 番外編

マムシとりんご

桑原 水菜  装画:Re°

マムシとりんご 後編

 タケオが闇市やみいちで敦子を見かけたのは、その数日後のことだった。 竹かご屋の店先に、ひとりで座っていた。 …

2024年10月17日 更新

小説

荒野は群青に染まりて 番外編

マムシとりんご

桑原 水菜  装画:Re°

マムシとりんご 前編

「ケンカのやり方を教えてくれ、だと?」 赤あか城ぎが怪け訝げんそうに聞き返した。 ああ、と群ぐん青じょうはうな…

小説

目指せ、伊勢弁マスター!

ようこそ伊勢やなぎみち商店街へ  瓦版とあおさのみそ汁 番外編

秋杜 フユ  装画:彩田 花道

目指せ、伊勢弁マスター!

 カフェレスト岬みさきに、岡おか島じまだけでなく晴はる人とと充みつ美みも来店し、賑やかな時間をすごしていた、あ…

小説

雨降る夜の遊戯室

異世界歯医者はいそがしい ~運命の患者と呪われた王国~ 番外編

森 りん  装画:睦月 ムンク

雨降る夜の遊戯室

「……うーん、間が悪い。雨かぁ……」 葵(あおい)がロッカーの扉の隙間から中庭を覗くと、大粒の雨粒が天から降り…

小説

十月の田倉勇太郎

これは経費で落ちません! 12 ~経理部の森若さん~ 番外編

青木 祐子  装画:uki

十月の田倉勇太郎

 もうすぐハロウィンなんですね。 いえ、特に意味はありません。画面のうしろのほうに、カボチャの飾りが見えたから…

2024年9月19日 更新

小説

家政婦ふみさんの悩み

駒月小毬は困ってる 転生者問題対策室≪天紋堂≫の残業 番外編

我鳥 彩子  装画:梶山 ミカ

家政婦ふみさんの悩み

 私の名は天てん堂どうふみ。天堂家の分家に育ち、本家のお屋敷に家政婦として勤めて三十年。目下の悩みは、当家の坊…

小説

これからも

ホテルクラシカル猫番館 横浜山手のパン職人 8 番外編

小湊 悠貴  装画:井上 のきあ

これからも

(旅行、楽しかったなぁ……) 大いに盛り上がったブライダルフェアからひと月が過ぎた、六月の下旬。羽(はね)田(…

小説

プディングとプリン

宝石商リチャード氏の謎鑑定 番外編

辻村 七子  装画:雪広 うたこ

プディングとプリン

 みのるが同居している二人の大人の一人、リチャードの好物は、プリンである。 卵と砂糖が原材料で、山形のゆるんと…

小説

吸血鬼と静かな隣人

赤川 次郎  装画:ひだか なみ

吸血鬼と静かな隣人 最終回

見舞い客  入院して、じっと寝ていると、いつも半分眠って、半分起きているような気持ちになる。 久く保ぼ山…

2024年9月10日 更新

小説

吸血鬼と静かな隣人

赤川 次郎  装画:ひだか なみ

吸血鬼と静かな隣人 第三回

引越し 「だから、お父さんはしばらく入院するの。何かあんたにも手伝ってもらうことがあるかもしれないから、…

2024年8月30日 更新

小説

吸血鬼と静かな隣人

赤川 次郎  装画:ひだか なみ

吸血鬼と静かな隣人 第二回

まさかのとき  ぎりぎり、会社へ滑り込んだ久く保ぼ山やま徹とおるは、しばらく席を立てなかった。「久保…

小説 新人賞

短編小説新人賞 2023年年間最優秀賞 受賞記念作

樹 れん / doi  装画:葵 装画:mashu

続きはないよ、それだけ。(著/doi)

‌ 逸(いつ)子(こ)が元恋人のその投稿を目にしたのは、一人暮らしのアパートで、浴室の湯船に浸かっている時だっ…

小説 新人賞

短編小説新人賞 2023年年間最優秀賞 受賞記念作

樹 れん / doi  装画:葵 装画:mashu

月人おすすめ地球観光ツアー(著/樹 れん)

‌「ジョー、あそこに飛行している個体がいる。近くで見たい、捕ってきたまえ」‌ 地球には本当に『鳥』が実在するの…

2024年8月20日 更新

小説

吸血鬼と静かな隣人

赤川 次郎  装画:ひだか なみ

吸血鬼と静かな隣人 第一回

釘  何だろう? コン、コン、コン……。 ――何かを叩いているような音。 それほど大きな音ではないが、茜…

小説

みつば百貨店おりおり便り

久賀 理世

みつば百貨店おりおり便り 第三回

 六月といえば衣替え。 そして梅雨の到来だ。 常に季節を先取りするみつば百貨店では、五月上旬にしてすでに涼しげ…

小説

ハッピーサマーゾンビソーダ

氏家 仮名子  装画:丸千代

ハッピーサマーゾンビソーダ

 少女が一人、駆けていく。 金の髪を揺らし、必死の形(ぎょう)相(そう)でストリートを走り抜ける。時お…

小説

千鳥と水琴窟

柳井 はづき  装画:倉秦

千鳥と水琴窟

「浦安(うらやす)さん」 さざ波のようだった無数の絃(げん)の音が、その一言で止んだ。 和室の天井に気まずい余…

小説

あなたの退職、代行します!

七沢 ゆきの  装画:もぽろ

あなたの退職、代行します! ~見習い退職代行の業務録~

「頼むよ!」 私の前で、顔だけはいいロクデナシが必死に手を合わせている。 彼は村雨むらさめ久利生くりゅう。私の…

小説

黒い跫音

推しと私の怪異調査 番外篇

鳥谷 綾斗  装画:中原 アヤ

黒い跫音

「ただいまっ!」 四月下旬、金曜日の夜。 私――椎しい葉ば里さと瑠るは、ファミレスのバイトを終えて早足で帰…

小説

瑞鳥は霹靂を呼ぶ

廃嫡皇子・珠怜永の中華宮廷推理録 番外編

希多 美咲  装画:藤 未都也

瑞鳥は霹靂を呼ぶ

 香こう綺き国こくの中央に位置する帝都『蓮れん陽よう』。皇帝が住まう龍りゅう栄えい城じょうの近くに門を構える湊…

小説

それから

軽井沢探偵譚 番外編

愁堂 れな  装画:Engawa

それから

‌‌ 忌き引びき開けに、隼(はや)人(と)は早速課長に退職したい旨(むね)を伝えたのだが、課長は一旦持ち帰ると…

小説

五道転輪王の素顔

冥府の花嫁 番外編

高山 ちあき  装画:縞

五道転輪王の素顔

「あー、今日の会食は空気が悪そうだから御給仕するのが億(おっ)劫(くう)だわ」 豪華な高級料理のならんだ御(お…

2024年8月9日 更新

小説

荒野は群青に染まりて 番外編

焼け跡のひなまつり

桑原 水菜  装画:Re°

焼け跡のひなまつり 後編

‌‌ こうなると、やはり赤(あか)城(ぎ)に相談するしかないのだ。‌ 廃材をのこぎりで切っていた赤城は、手を止…

小説

みつば百貨店おりおり便り

久賀 理世

みつば百貨店おりおり便り 第二回

「なに。わたしにとっておきの考えがあるのだよ」 ご機嫌にのたまった日ひ野の友ゆう之の助すけ会長は、おもむろに三…

2024年8月1日 更新

小説

荒野は群青に染まりて 番外編

焼け跡のひなまつり

桑原 水菜  装画:Re°

焼け跡のひなまつり 前編

‌  ことの起こりは、錦きん糸し町ちょうの闇やみ市いちでのことだった。‌ 阪さか上がみ群ぐん青じょうはこ…

小説 文庫試し読み

【特別試し読み】荒野は群青に染まりて ―暁闇編―

桑原 水菜  装画:Re°

【特別試し読み】荒野は群青に染まりて ―暁闇編―

序章  この景色を目に焼き付けておくのよ、群ぐん青じょう。‌ この世界に確かなものなど何もない。信じていいものと…

小説

あたしの友だちは訳ありバイト中

訳あってあやかし風水師の助手になりました 番外編

櫻井 千姫  装画:明菜

あたしの友だちは訳ありバイト中

‌‌ しとしと、今日も鬱(うっ)陶(とう)しい雨が世界を暗くしている。‌ あたしは雨の日が好きだ。普通の女の子…

小説

みつば百貨店おりおり便り

久賀 理世

みつば百貨店おりおり便り 第一回

 なにもこの世の終わりというわけではない。 そもそもが無謀な賭けだったのだ。「さてどうしたものかしら」 ひとり…

2024年7月18日 更新

小説

ふたりの、そのあと

今日伏見は水神さまのいたはるところ ずっと一緒 番外編

相川 真  装画:白谷 ゆう

ふたりの、そのあと

 京(きょう)都(と)伏(ふし)見(み)の酒蔵『清(きよ)花(はな)蔵(ぐら)』の跡取り、清(きよ)尾(お)拓…