2025年10月31日 更新

小説

Hello!Expo Ring

岡林 石子  装画:田中 舞

Hello! Expo Ring 後編

 2 丈子  蒼そうちゃんは赤ちゃんの頃から、ウチの顔になんとなく似とった。そやけど、子供って顔変わるっ…

2025年10月17日 更新

小説

【奇譚】都市伝説解体センター

氏家 仮名子  装画:リック

#3 【取材・文/山田ガスマスク】

 時刻がちょうど二十時になったのを確認して、PC画面を更新する。 すると馴(な)染(じ)みのウェブメディアのト…

小説

Hello!Expo Ring

岡林 石子  装画:田中 舞

Hello! Expo Ring 前編

 1 蒼馬  僕、間(ま)山(やま)蒼(そう)馬(ま)は、自分の顔が嫌いだ。 特にこの、腫(は)れぼった…

小説

歳の市の幻花

術式結晶は闇に歌う 帝都術式捜査録 番外編

森 りん  装画:春野 薫久

歳の市の幻花

 術(じゅつ)式(しき)捜査三課の勤務棟は、真冬であっても温かい。壁に組み込まれた術式結晶が、建物全体を温めて…

2025年10月10日 更新

小説

振って降られて吸血鬼

赤川 次郎  装画:ひだか なみ

振って降られて吸血鬼 最終回

振られた思い 「けしからん!」 と、文句を言っているのは徳(とく)永(なが)栄(えい)一(いち)郎(ろう…

2025年10月1日 更新

小説

雨夜のタルト

水曜日は〈ベイベリー〉で 森のカフェでいただきます 番外編

高山 ちあき  装画:おとない ちあき

雨夜のタルト

 梅雨の真っただ中の、小雨のぱらつくある水曜日の午後。 森のカフェ〈ベイベリー〉のキッチンで、萌(め)衣(い)…

小説

振って降られて吸血鬼

赤川 次郎  装画:ひだか なみ

振って降られて吸血鬼 第五回

土砂崩れ 「こうはしていられません」 と、久く保ぼ刑事が言った。「一刻も早く検死をしなくては!」「でも、…

2025年9月18日 更新

小説

【奇譚】都市伝説解体センター

氏家 仮名子  装画:リック

#2 【111号室のメリーさん】

「ミユに霊感あるってことは、昔からわかってたの。小っちゃい時からそうで、ママの後ろにおじいちゃんの顔が浮かんで…

小説

詫び針という拷問具

【コミカライズ開始記念!】冥府の花嫁 番外編

高山 ちあき  装画:縞

詫び針という拷問具 

 物見窓の向こうには、ごつごつした黒岩の小山がいくつも連なって見えた。 閻(えん)魔(ま)庁(ちょう)のある冥…

小説

居酒屋のんの 今夜のおすすめ

~手のひら小話~

新樫 樹  装画:ふろく

居酒屋のんの 今夜のおすすめ ~手のひら小話~

「あの……実はお願いがありまして」 いつもどおりに嶺(みね)と並んで飯を食って、和やかな時間を過ごしたあと。 …

小説

今生の別れじゃあるまいし

さよならにうってつけの日 エンディングプランナーの備忘録 番外編

森ノ薫  装画:せき やよい

今生の別れじゃあるまいし

 ママの倒れ方はギャグだった。店の床で大の字になって右手に酒瓶、左手にグラス。溢れ出したヘネシーは髪と赤いニッ…

小説

花のたより

百番様の花嫁御寮 4 ~神在片恋祈譚~ 番外編

東堂 燦  装画:白谷 ゆう

花のたより

 百(もも)生(せ)邸の離れ屋には、燃えるような夕焼けが差し込んでいた。 紗(さ)恵(え)は障子戸越しでもまぶ…

小説

振って降られて吸血鬼

赤川 次郎  装画:ひだか なみ

振って降られて吸血鬼 第四回

正体 「私はM大の教授でね。徳とく永なが栄えい一いち郎ろうというんだ。知ってるだろ?」 という言葉にも、…

2025年9月10日 更新

小説

手のひらに月でも乗せたげる

瀬野 那成  装画:mugico

第三話「雨音を喫んで、おやすみ」

 七月六日生まれなんだって言ったら、だいたい「惜しかったね」って言われる。あと一日遅かったら、七夕(たなばた)…

小説

振って降られて吸血鬼

赤川 次郎  装画:ひだか なみ

振って降られて吸血鬼 第三回

事件  ドアの外から、クロロックの声がした。「エリカ、起きろ」 普通の人間の耳には全(まった)く聞こえな…

2025年9月1日 更新

小説

手のひらに月でも乗せたげる

瀬野 那成  装画:mugico

第二話「夜道を駆けて、おやすみ」

 肩まで布団を被ったまま、手のひらを見つめる。常夜灯でぼんやりとオレンジに照らされた手相の線を意味もなく指でな…

小説

振って降られて吸血鬼

赤川 次郎  装画:ひだか なみ

振って降られて吸血鬼 第二回

豪雨 「何よ、これ!」 エリカが思わず口走った。「どうなってるの?」 エリカは車のスピードを落とした。 …

2025年8月20日 更新

小説

手のひらに月でも乗せたげる

瀬野 那成  装画:mugico

第一話「火花を掬って、おやすみ」

 寝転がったまま手のひらを重力に逆らって伸ばしてみても、天井にぶら下がったまん丸い蛍光灯にすら届かない。空気を…

小説

魔法の剣と銀の剣

泉 サリ  装画:梨本 つみれ

魔法の剣と銀の剣 後編

【3】 記憶の湖で有名になるまで、この村はとても人が少なかった。豊かではないが平和な場所で、鹿や猪に作物を荒ら…

小説

のっぺらぼう

いろはに狼 猫と鬼と勝烏 番外編

栢山 シキ  装画:淵゛

のっぺらぼう

「あ」 下駄箱の扉を開けたいろはは、外履き用の靴の上にちょこんと置かれた封筒を見つけて小さく声を上げた。 神(…

小説

胡家の双子の意見が分れた日

冥官の愛妻 怪談寺のおくりびと 番外編

喜咲 冬子  装画:ねぎし きょうこ

胡家の双子の意見が分れた日

 胡(こ)家の承(しょう)恩(おん)と承(しょう)慈(じ)は、双子である。 見た目もそっくりなら、そっくりであ…

小説

犬とヒマワリ

『魔法使いのお留守番 シロガネ編』刊行記念『魔法使いのお留守番』番外編

白洲 梓  装画:kokuno

犬とヒマワリ

 ヒマワリが初めて終(はて)島(じま)にやってきてから、半年が経っていた。 時折、不老不死を求めてやってくる歓…

小説

振って降られて吸血鬼

赤川 次郎  装画:ひだか なみ

振って降られて吸血鬼 第一回

嵐の予感  予感は、冷たくじっとりとした空気の中にあった。「台風が急に進路を変えたらしいわよ」 サービス…

2025年8月8日 更新

小説

【奇譚】都市伝説解体センター

氏家 仮名子  装画:リック

#1 【三名様だと思いました】

『先週な、食べてきたんすわ。けっこうな有名店の鰻(うなぎ)を』『いいですねー、夏といえば鰻ですよね。僕誘われて…

小説

魔法の剣と銀の剣

泉 サリ  装画:梨本 つみれ

魔法の剣と銀の剣 前編

【1】 運命なんて信じないけれど、一年前、呼び込みを振り切れずに入ってしまった占い館で、めくったタロットカード…

小説

仏蘭西(フランス)より死の舞踏(ダンス・マカブル)来(きた)る

あやかし開化の音がして 降魔の家に嫁に行く 番外編

尼野 ゆたか  装画:篁 ふみ

仏蘭西より死の舞踏来る 後編

 骸がい骨こつたちとの距離は、それなり以上に離れている。しかし、明あき子こは一瞬にして骸骨の群れへと飛び込んだ…

2025年8月1日 更新

小説

恋愛事変

~謎解きの助手も漫画家アシスタントの仕事なんですか?~

如月 新一  装画:shiho

恋愛事変 ~謎解きの助手も漫画家アシスタントの仕事なんですか?~

     1  漫画家アシスタントの仕事は多た岐きにわたる。 ネームを基にパースを取って背景を描き、漫画…

小説

仏蘭西(フランス)より死の舞踏(ダンス・マカブル)来(きた)る

あやかし開化の音がして 降魔の家に嫁に行く 番外編

尼野 ゆたか  装画:篁 ふみ

仏蘭西より死の舞踏来る 前編

 四し方お津つ明あき子この一日は、西洋寝台ベッドの上で目覚めるところから始まる。天てん蓋がいつきで、ふかふかと…

2025年7月17日 更新

小説

「今日はここまで」

ピクニックはおしまい 番外編

透野 すい  装画:萩森 じあ

「今日はここまで」

 音符が描かれたクリーム色のボタンを前に、私はいつも緊張してしまう。 ――呼び鈴を鳴らしてもハヅキさんがいなか…

小説

山梨より槍使い来(きた)る

あやかし開化の音がして 降魔の家に嫁に行く 番外編

尼野 ゆたか  装画:篁 ふみ

山梨より槍使い来(きた)る

 ――日本人は身投げか首くくりである ジョルジュ・ビゴー  一瞬なのだな、とさよは思う。 太い旦那…

小説

化生の恋

十番様の縁結び 8 神在花嫁綺譚 番外編

東堂 燦  装画:白谷 ゆう

化生の恋

 止(や)むことのない雨と、あたりを覆うような深い霧。 まさしく《雨(あま)霧(ぎり)》の名がふさわしい土地は…

2025年7月1日 更新

小説

宝石商リチャード氏の謎鑑定

比翼のマグル・ガル

辻村 七子

宝石商リチャード氏の謎鑑定 比翼のマグル・ガル 第八回

4 比翼のマグル・ガル  正せい義ぎは二度と意識を失うことはなかった。元気に自力でごはんも食べ、すぐトイ…