第2回 ディストピア飯小説賞
【佳作】『と』はじめました(著:近藤太一)
ゴウンゴウンと機械の稼働音が工場中に響き渡る。 ライン内では青い液体がタンクに満たされ、同僚の作業員が重そうにそのタ…
2025年11月10日 更新
ゴウンゴウンと機械の稼働音が工場中に響き渡る。 ライン内では青い液体がタンクに満たされ、同僚の作業員が重そうにそのタ…
自動音声が『七十三階に到着しました』と淡々と告げ、エレベーターの銀の扉が涼やかな音を立てて開いた。りん。 降りたフロ…
神奈川県田綱郷亜(あ)土(ど)村の村民は、未知の味覚『ゆがい』を持っている。 その事実が急激に広まったのは、友人に料…
午前六時四十七分。アキラの体内センサーが最適な起床時刻を告げると同時に、部屋の照明が徐々に明るくなる。壁面のスクリー…
検査結果を聞いてスズキは肩を落とした。まだこの星に来て三年もたたないのにあの病気に感染してしまったのだ。それは一種の…
あれはまだ日本が平和だった頃、いや、既に精神面では暴発の一歩手前まで進んでいた頃の話だ。 大学一年生の夏。僕達クイズ…
目が覚めると小方ルミナと目が合った。一気に目が覚めた。「おはようございます」 と俺は朝の挨拶をする。 俺の部…
心ほどけるミルクポトフ
ほっとひと息つけると、幸せが見えてくる。
柴野 理奈子 装画:マメイケダ
2025年10月31日 更新
岡林 石子 装画:田中 舞
2 丈子 蒼そうちゃんは赤ちゃんの頃から、ウチの顔になんとなく似とった。そやけど、子供って顔変わるっ…
2025年10月20日 更新
2025年10月17日 更新
氏家 仮名子 装画:リック
時刻がちょうど二十時になったのを確認して、PC画面を更新する。 すると馴(な)染(じ)みのウェブメディアのト…
岡林 石子 装画:田中 舞
1 蒼馬 僕、間(ま)山(やま)蒼(そう)馬(ま)は、自分の顔が嫌いだ。 特にこの、腫(は)れぼった…
術式結晶は闇に歌う 帝都術式捜査録 番外編
森 りん 装画:春野 薫久
術(じゅつ)式(しき)捜査三課の勤務棟は、真冬であっても温かい。壁に組み込まれた術式結晶が、建物全体を温めて…
「またこの人か」と思って、私はおばさんを見上げた。 次のバス停で降りるために、私は座ったまま手を伸ばして、降車…
「ゆうりちゃんにお願いがあるんだけど」 帰りの会が終わり、ランドセルを背負って四年二組の教室を出ようとすると、…
一人で神(じん)保(ぼう)町(ちょう)の喫(きっ)茶(さ)店(てん)に来た。 まだ注文は来ていない。でも、もう出てし…
いつだって冬は寒い。今年の冬は例年よりさらに寒かった。デパートの外商が持ってきたハイブランドのコートを冷たい風にはた…
昼に発令された梅雨(つゆ)入り宣言を裏打ちするかのように、やむ気配を見せない雨が降り続いている。雑居ビル特有の閉鎖的…
2 水族館なんて何が楽しいかわからないけど、心(ここ)愛(あ)がはしゃいで嬉しそうにしているから、まあいっかって思った…
2025年10月10日 更新
赤川 次郎 装画:ひだか なみ
振られた思い 「けしからん!」 と、文句を言っているのは徳(とく)永(なが)栄(えい)一(いち)郎(ろう…
帝都術式捜査録
無才のエリート✕天才術者、運命の出逢い!?
森 りん 装画:春野 薫久
かわいい和菓子と甘くない謎
季節をめぐる、京都の和菓子ミステリー
杉元 晶子 装画:佳奈
悪女と聖女の異世界(代)シスターフッドコメディ‼
愁堂 れな 装画:ひだか なみ
2025年10月1日 更新
水曜日は〈ベイベリー〉で 森のカフェでいただきます 番外編
高山 ちあき 装画:おとない ちあき
梅雨の真っただ中の、小雨のぱらつくある水曜日の午後。 森のカフェ〈ベイベリー〉のキッチンで、萌(め)衣(い)…
赤川 次郎 装画:ひだか なみ
土砂崩れ 「こうはしていられません」 と、久く保ぼ刑事が言った。「一刻も早く検死をしなくては!」「でも、…
2025年9月20日 更新
2025年9月18日 更新
氏家 仮名子 装画:リック
「ミユに霊感あるってことは、昔からわかってたの。小っちゃい時からそうで、ママの後ろにおじいちゃんの顔が浮かんで…
【コミカライズ開始記念!】冥府の花嫁 番外編
高山 ちあき 装画:縞
物見窓の向こうには、ごつごつした黒岩の小山がいくつも連なって見えた。 閻(えん)魔(ま)庁(ちょう)のある冥…
居酒屋のんの 今夜のおすすめ
新樫 樹 装画:ふろく
「あの……実はお願いがありまして」 いつもどおりに嶺(みね)と並んで飯を食って、和やかな時間を過ごしたあと。 …
さよならにうってつけの日 エンディングプランナーの備忘録 番外編
森ノ薫 装画:せき やよい
ママの倒れ方はギャグだった。店の床で大の字になって右手に酒瓶、左手にグラス。溢れ出したヘネシーは髪と赤いニッ…
百番様の花嫁御寮 4 ~神在片恋祈譚~ 番外編
東堂 燦 装画:白谷 ゆう
百(もも)生(せ)邸の離れ屋には、燃えるような夕焼けが差し込んでいた。 紗(さ)恵(え)は障子戸越しでもまぶ…
赤川 次郎 装画:ひだか なみ
正体 「私はM大の教授でね。徳とく永なが栄えい一いち郎ろうというんだ。知ってるだろ?」 という言葉にも、…