2025年9月20日 更新

その他

柑橘の文字をかじる

大友 花恋

柑橘の文字をかじる 第10回『さよならにうってつけの日 エンディングプランナーの備忘録』

第10回 私事なので世の…

2025年9月18日 更新

小説

【奇譚】都市伝説解体センター

氏家 仮名子  装画:リック

#2 【111号室のメリーさん】

「ミユに霊感あるってことは、昔からわかってたの。小っちゃい時からそうで、ママの後ろにおじいちゃんの顔が浮かんで…

小説

詫び針という拷問具

【コミカライズ開始記念!】冥府の花嫁 番外編

高山 ちあき  装画:縞

詫び針という拷問具 

 物見窓の向こうには、ごつごつした黒岩の小山がいくつも連なって見えた。 閻(えん)魔(ま)庁(ちょう)のある冥…

小説

居酒屋のんの 今夜のおすすめ

~手のひら小話~

新樫 樹  装画:ふろく

居酒屋のんの 今夜のおすすめ ~手のひら小話~

「あの……実はお願いがありまして」 いつもどおりに嶺(みね)と並んで飯を食って、和やかな時間を過ごしたあと。 …

小説

今生の別れじゃあるまいし

さよならにうってつけの日 エンディングプランナーの備忘録 番外編

森ノ薫  装画:せき やよい

今生の別れじゃあるまいし

 ママの倒れ方はギャグだった。店の床で大の字になって右手に酒瓶、左手にグラス。溢れ出したヘネシーは髪と赤いニッ…

小説

花のたより

百番様の花嫁御寮 4 ~神在片恋祈譚~ 番外編

東堂 燦  装画:白谷 ゆう

花のたより

 百(もも)生(せ)邸の離れ屋には、燃えるような夕焼けが差し込んでいた。 紗(さ)恵(え)は障子戸越しでもまぶ…

小説

振って降られて吸血鬼

赤川 次郎  装画:ひだか なみ

振って降られて吸血鬼 第四回

正体 「私はM大の教授でね。徳とく永なが栄えい一いち郎ろうというんだ。知ってるだろ?」 という言葉にも、…

2025年9月10日 更新

小説

手のひらに月でも乗せたげる

瀬野 那成  装画:mugico

第三話「雨音を喫んで、おやすみ」

 七月六日生まれなんだって言ったら、だいたい「惜しかったね」って言われる。あと一日遅かったら、七夕(たなばた)…

小説

振って降られて吸血鬼

赤川 次郎  装画:ひだか なみ

振って降られて吸血鬼 第三回

事件  ドアの外から、クロロックの声がした。「エリカ、起きろ」 普通の人間の耳には全(まった)く聞こえな…

2025年9月1日 更新

小説

手のひらに月でも乗せたげる

瀬野 那成  装画:mugico

第二話「夜道を駆けて、おやすみ」

 肩まで布団を被ったまま、手のひらを見つめる。常夜灯でぼんやりとオレンジに照らされた手相の線を意味もなく指でな…

小説

振って降られて吸血鬼

赤川 次郎  装画:ひだか なみ

振って降られて吸血鬼 第二回

豪雨 「何よ、これ!」 エリカが思わず口走った。「どうなってるの?」 エリカは車のスピードを落とした。 …

新人賞

2025年ノベル大賞 選評

三浦 しをん / 今野 緒雪 / 似鳥 鶏 / 丑尾 健太郎

2025年ノベル大賞 選評/三浦しをん

荒ぶる魂の手綱を取り、情熱を「小説」という形に結晶させられているか、という観点で最終候補作を拝読した。  今回の…

新人賞

2025年ノベル大賞 選評

三浦 しをん / 今野 緒雪 / 似鳥 鶏 / 丑尾 健太郎

2025年ノベル大賞 選評/今野緒雪

選考会を終えての感想は、「よかった」でした。  二〇二五年は、今後ノベル大賞を語る上で間違いなく「特別な年」にな…

新人賞

2025年ノベル大賞 選評

三浦 しをん / 今野 緒雪 / 似鳥 鶏 / 丑尾 健太郎

2025年ノベル大賞 選評/似鳥 鶏

大賞受賞作はどちらも既存のジャンルに収まりきらないものでした。それは裏を返せば個性があり唯一無二だということです。 …

新人賞

2025年ノベル大賞 選評

三浦 しをん / 今野 緒雪 / 似鳥 鶏 / 丑尾 健太郎

2025年ノベル大賞 選評/丑尾健太郎

大賞に輝いた二作品は、世界観も作風もまったく異なりますが、いずれも発想の独自性に富んでいて、読者を最後まで惹きつける力…

2025年8月20日 更新

小説

手のひらに月でも乗せたげる

瀬野 那成  装画:mugico

第一話「火花を掬って、おやすみ」

 寝転がったまま手のひらを重力に逆らって伸ばしてみても、天井にぶら下がったまん丸い蛍光灯にすら届かない。空気を…

小説

魔法の剣と銀の剣

泉 サリ  装画:梨本 つみれ

魔法の剣と銀の剣 後編

【3】 記憶の湖で有名になるまで、この村はとても人が少なかった。豊かではないが平和な場所で、鹿や猪に作物を荒ら…

小説

のっぺらぼう

いろはに狼 猫と鬼と勝烏 番外編

栢山 シキ  装画:淵゛

のっぺらぼう

「あ」 下駄箱の扉を開けたいろはは、外履き用の靴の上にちょこんと置かれた封筒を見つけて小さく声を上げた。 神(…

小説

胡家の双子の意見が分れた日

冥官の愛妻 怪談寺のおくりびと 番外編

喜咲 冬子  装画:ねぎし きょうこ

胡家の双子の意見が分れた日

 胡(こ)家の承(しょう)恩(おん)と承(しょう)慈(じ)は、双子である。 見た目もそっくりなら、そっくりであ…

小説

犬とヒマワリ

『魔法使いのお留守番 シロガネ編』刊行記念『魔法使いのお留守番』番外編

白洲 梓  装画:kokuno

犬とヒマワリ

 ヒマワリが初めて終(はて)島(じま)にやってきてから、半年が経っていた。 時折、不老不死を求めてやってくる歓…

小説

振って降られて吸血鬼

赤川 次郎  装画:ひだか なみ

振って降られて吸血鬼 第一回

嵐の予感  予感は、冷たくじっとりとした空気の中にあった。「台風が急に進路を変えたらしいわよ」 サービス…

その他

柑橘の文字をかじる

大友 花恋

柑橘の文字をかじる 第9回『荒野は群青に染まりて 暁闇編』

第9回 酸素不足になった…

2025年8月8日 更新

小説

【奇譚】都市伝説解体センター

氏家 仮名子  装画:リック

#1 【三名様だと思いました】

『先週な、食べてきたんすわ。けっこうな有名店の鰻(うなぎ)を』『いいですねー、夏といえば鰻ですよね。僕誘われて…

小説

魔法の剣と銀の剣

泉 サリ  装画:梨本 つみれ

魔法の剣と銀の剣 前編

【1】 運命なんて信じないけれど、一年前、呼び込みを振り切れずに入ってしまった占い館で、めくったタロットカード…

小説

仏蘭西(フランス)より死の舞踏(ダンス・マカブル)来(きた)る

あやかし開化の音がして 降魔の家に嫁に行く 番外編

尼野 ゆたか  装画:篁 ふみ

仏蘭西より死の舞踏来る 後編

 骸がい骨こつたちとの距離は、それなり以上に離れている。しかし、明あき子こは一瞬にして骸骨の群れへと飛び込んだ…

まんが試し読み

魔法使いのお留守番

シロガネ編

誰も知らない過去と罪。

白洲 梓  装画:kokuno

魔法使いのお留守番 シロガネ編 まんが試し読み

2025年8月1日 更新

小説

恋愛事変

~謎解きの助手も漫画家アシスタントの仕事なんですか?~

如月 新一  装画:shiho

恋愛事変 ~謎解きの助手も漫画家アシスタントの仕事なんですか?~

     1  漫画家アシスタントの仕事は多た岐きにわたる。 ネームを基にパースを取って背景を描き、漫画…

小説

仏蘭西(フランス)より死の舞踏(ダンス・マカブル)来(きた)る

あやかし開化の音がして 降魔の家に嫁に行く 番外編

尼野 ゆたか  装画:篁 ふみ

仏蘭西より死の舞踏来る 前編

 四し方お津つ明あき子この一日は、西洋寝台ベッドの上で目覚めるところから始まる。天てん蓋がいつきで、ふかふかと…

2025年7月17日 更新

その他

柑橘の文字をかじる

大友 花恋

柑橘の文字をかじる 第8回『あやかし開化の音がして 降魔の家に嫁に行く』

第8回 怖いものが苦手で…

小説

「今日はここまで」

ピクニックはおしまい 番外編

透野 すい  装画:萩森 じあ

「今日はここまで」

 音符が描かれたクリーム色のボタンを前に、私はいつも緊張してしまう。 ――呼び鈴を鳴らしてもハヅキさんがいなか…

小説

山梨より槍使い来(きた)る

あやかし開化の音がして 降魔の家に嫁に行く 番外編

尼野 ゆたか  装画:篁 ふみ

山梨より槍使い来(きた)る

 ――日本人は身投げか首くくりである ジョルジュ・ビゴー  一瞬なのだな、とさよは思う。 太い旦那…

小説

化生の恋

十番様の縁結び 8 神在花嫁綺譚 番外編

東堂 燦  装画:白谷 ゆう

化生の恋

 止(や)むことのない雨と、あたりを覆うような深い霧。 まさしく《雨(あま)霧(ぎり)》の名がふさわしい土地は…