拡大

Web限定

荒野は群青に染まりて 番外編

焼け跡のひなまつり

終戦直後に朝鮮から引き上げる途上、母が失踪し天涯孤独となった少年・阪上群青は、引揚げ船で出会った謎の男・赤城壮一郎、そして東京で出会った近江勇吉・佳世子の兄妹とともに、バラックで暮らしている。ある日、群青とともに錦糸町へ出かけた佳世子が、闇市の店先に並べられている女雛に目を留める。それは、空襲で男雛を失い、一体だけ残った女雛だった。佳世子は、その女雛が欲しいというのだが、兄の勇吉は「女雛だけのひな飾りなんて縁起が悪い」と、妹の言葉を聞き入れようとはせず――。
昭和二十一年、早春。未だ敗戦の爪跡が深く残る東京で、それでも立ち上がろうともがく男達の物語『荒野は群青に染まりて』番外編!

著者プロフィール

桑原 水菜(くわばら みずな)

千葉県出身。1989年下期コバルト・ノベル大賞読者大賞を受賞。コバルト文庫『炎の蜃気楼』シリーズ、『赤の神紋』シリーズ、角川文庫『遺跡発掘師は笑わない』シリーズなど著書多数。

この作品をシェアする

桑原 水菜