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荒野は群青に染まりて 番外編

焼け跡のひなまつり

終戦直後に朝鮮から引き上げる途上、母が失踪し天涯孤独となった少年・阪上群青は、引揚げ船で出会った謎の男・赤城壮一郎、そして東京で出会った近江勇吉・佳世子の兄妹とともに、バラックで暮らしている。ある日、群青とともに錦糸町へ出かけた佳世子が、闇市の店先に並べられている女雛に目を留める。それは、空襲で男雛を失い、一体だけ残った女雛だった。佳世子は、その女雛が欲しいというのだが、兄の勇吉は「女雛だけのひな飾りなんて縁起が悪い」と、妹の言葉を聞き入れようとはせず――。
昭和二十一年、早春。未だ敗戦の爪跡が深く残る東京で、それでも立ち上がろうともがく男達の物語『荒野は群青に染まりて』番外編!

著者プロフィール

桑原 水菜(くわばら みずな)

9月23日千葉県生まれ。中央大学文学部史学科卒業。1989年下期コバルト読者大賞受賞。「炎の蜃気楼」シリーズ、「赤の神紋」シリーズ、「シュバルツ・ヘルツ――黒い心臓」シリーズ(コバルト文庫)、『カサンドラ』「遺跡発掘師は笑わない」シリーズ(角川文庫)他、著書多数。

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桑原 水菜