2026年8月10日 更新

新人賞

第238回短編小説新人賞

【最終選考作品】紫色の向こう側へ(著:片山史奈)

 初恋の人のスーツ姿は眩(まぶ)しかった。何度も夢に見たあのしーくんの姿が、そこにある。黒いスーツに合わせられた藤(ふ…

新人賞

第238回短編小説新人賞

【最終選考作品】堀内くんは嘘をつかない(著:藤城柚子)

 堀(ほり)内(うち)くんは嘘がつけない。 天(てん)真(しん)爛(らん)漫(まん)とか、歯に衣(きぬ)着(き)せぬと…

新人賞

第238回短編小説新人賞

【最終選考作品】放課後ラジオ(著:塩治優花)

「みなさん、こんにちは。放課後ラジオのお時間でーす。パーソナリティはひ(﹅)な(﹅)と……」「こんにちは。り(﹅)の(…

新人賞

第238回短編小説新人賞

【最終選考作品】イン・マリ・パックス(著:三嶋水琴)

「わたしゃ高い所は嫌いだよ」 ゴンドラの扉が閉められた途端、祖母はそんなことを言った。 今まさに孫と観覧車に乗り込んだ…

新人賞

第238回短編小説新人賞

【佳作】卵をもらいに(著:西松洋子)

「卵、要(い)りますか?」 今日が最終出勤日の、つまりは今日を最後に二度と会わない人であるところの萩(はぎ)原…

新人賞

第238回短編小説新人賞

【入選】三日後の天気は晴れ(著:猫街 文)

「三日後は雨だよ」 店長が言った。 別にどうでもいい情報だった。三日後の天気なんて気象庁のサイトを見れば載(の…

新人賞

第238回短編小説新人賞 選評『堀内くんは嘘をつかない』藤城柚子

編集E 「どんなときも嘘をつかない」という、堀内君というキャラクターが面白かったです。 編集A それに主人公も、…

新人賞

第238回短編小説新人賞 選評『紫色の向こう側へ』片山史奈

編集D 主人公の女子大生が失恋するお話です。明確にフられるというわけではないのですが、成人式の日に、主人公は長い…

新人賞

第238回短編小説新人賞 選評『卵をもらいに』西松洋子

編集A 職場の女性同士の絶妙な関係性を描いている作品で、すごくいいなと思いました。友情とまでも言えないけれど、確…

新人賞

第238回短編小説新人賞 選評『イン・マリ・パックス』三嶋水琴

編集A 不思議な魅力のある作品ですね。 編集B 私は、このおばあちゃんのキャラがすごく好きです。ピシッと背筋の伸…

新人賞

第238回短編小説新人賞 選評『三日後の天気は晴れ』猫街 文

編集A なんとも微妙な超常能力を持ったコンビニ店長と、そのコンビニでアルバイトをしている大学生の「俺」との物語で…

新人賞

第238回短編小説新人賞 選評『放課後ラジオ』塩治優花

編集A 短編には珍しい、オムニバスっぽい作りの作品です。 青木 4パターンのエピソードが並んでいますよね。「放課…

2026年5月8日 更新

新人賞

第237回短編小説新人賞

【最終選考作品】松風荘の暗がりで(著:御子柴あやな)

「死ねばいいのにね」 耳のすぐそばで声を聞いた時、私は初め自分の心が漏(も)れて、音になったのかと思った。だってそれは…

新人賞

第237回短編小説新人賞

【最終選考作品】小晦日(著:夜澄大曜)

 小晦日。こつごもり。十二月三十日。大(おお)晦日(みそか)の前日。 私はその言葉を常連客のハビさんに教えてもらった。…

新人賞

第237回短編小説新人賞

【最終選考作品】めざわり(著:下田悠子)

 夕焼けチャイムに起こされて今日も絶望する。俺はあの音が今、なによりも憎い。正しい人間であれば朝からの活動が終了し、よ…

新人賞

第237回短編小説新人賞

【最終選考作品】天藤教授の研究(著:遠藤駿二)

 アデリーペンギンの雄(おす)は気に入った雌(めす)に小石を差し出す。あなたと一緒に巣を作りたい、繁(はん)殖(しょく…

新人賞

第237回短編小説新人賞

【佳作】ひとの煙(著:藤みのる)

 そびえ立つ一本の長い煙突は、建物の比率と比べるとはるかに細長く、今まで見たどんなものよりも、高く遠く異質なも…

新人賞

第237回短編小説新人賞

【佳作】しゃかしゃか(著:松あかり)

 ミーティングルームはやたらと空調が効いていて、今朝、迷いに迷ってヒートテックに貼ったカイロは完全に蛇(だ)足…

新人賞

第237回短編小説新人賞 選評『松風荘の暗がりで』御子柴あやな

編集C 母子家庭で、貧しい暮らしをしている女子中学生のお話です。住んでいるのはボロアパート。母親はスナック勤めをし…

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第237回短編小説新人賞 選評『ひとの煙』藤みのる

編集A 人の死、それも自分と同じくらいの歳の子供の死というものに初めて触れた、小学生の女の子のお話です。まだ9歳ぐ…

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第237回短編小説新人賞 選評『天藤教授の研究』遠藤駿二

編集A 主人公は、大学に助教として勤めているアラサー女性です。自分が学生として過ごした大学に就職し、当時から師事し…

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第237回短編小説新人賞 選評『小晦日』夜澄大曜

編集E すごく雰囲気のいい作品でしたね。 編集A 作中に漂っている空気が、なんだかおしゃれなんですよね。 青木…

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第237回短編小説新人賞 選評『しゃかしゃか』松あかり

編集A 主人公は、とある会社で営業事務の仕事をしている女性です。定時を過ぎた後で、営業担当の南君と一緒に資料を作る…

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第237回短編小説新人賞 選評『めざわり』下田悠子

編集B 就活に失敗して引きこもっている青年と、そんな弟に元気を出させようとやって来たお姉さん。でも実は、そんなお姉…

2026年2月10日 更新

新人賞

第236回 短編小説新人賞

【最終選考作品】奇天烈な一日(著:山口夏人)

 午前十一時二十五分。大さじ三の水。大さじ二のしょうゆ。大さじ一の酒。大さじ一の砂糖。大さじ一のオイスターソース。小さ…

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第236回 短編小説新人賞

【最終選考作品】快楽の境地(著:瀬川想)

「ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピーッ」 浮ついた身体(からだ)でバランスを崩さないように、足を上げる。真下は水面。地味に遠…

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第236回 短編小説新人賞

【最終選考作品】何も持たずに行こう(著:谷地雪)

 そうだ、終点まで行ってみよう。 ある日突然思いついたその案を実行すべく、俺は早朝、品(しな)川(がわ)駅に立っていた…

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第236回 短編小説新人賞

【最終選考作品】フモンカンの日(著:琵楼渓水)

「おい、フモンカン、取り壊されるって」 遅番の小(お)川(がわ)が最悪のニュースを連れて出勤した。「やばいじゃん」「や…

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第236回 短編小説新人賞

【佳作】問われる十畳(著:原沢青)

「まいったなあ……」「まいりましたね……」 二人がそんなやり取りをした回数も、そろそろ二桁(けた)に突入しかけ…

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第236回 短編小説新人賞

【入選】山本、誘拐される(著:山田結衣)

 月曜日。朝目を覚ますと、そこは助手席だった。知らない車だ。運転席には市役所総務課の同僚、原(はら)田(だ)さ…

新人賞

第236回短編小説新人賞 選評『問われる十畳』原沢青

編集A 深夜の山中で、友人を殺した犯人と閉鎖環境で二人きりになってしまうという、かなり究極のシチュエーションで進行…

新人賞

第236回短編小説新人賞 選評『奇天烈な一日』山口夏人

編集C これは、いわゆる「不条理もの」ですね。ストーリーの整合性に関する議論とは無縁です。「なんでそうなるの?」と…