2024年10月17日 更新

新人賞

第231回 短編小説新人賞

【入選】宝くじの行方(著:山田麻矢)

「長(は)谷(せ)川(がわ)さん宝くじ買いに行くんですか」 同僚の梅(うめ)木(き)萌(もえ)が、食べ終わった…

新人賞

第231回 短編小説新人賞

【佳作】夏の橋渡り(著:つなべ夏)

 やっぱりやめよ。私は投げやりな気持ちで橋の欄干(らんかん)にもたれかかり、ちろちろ流れる小川を見下ろしてポッ…

新人賞

第231回 短編小説新人賞

【最終選考作品】最後のご飯(著:瀬木逢涼)

 人生が終わる時、最後に食べたいものは――と何回か聞かれた。 決めているものはあっても、どうやっても叶わないし、そもそ…

新人賞

第231回 短編小説新人賞

【最終選考作品】怪物譚(著:秋畑義定)

 初めて踏む上(じょう)州(しゅう)伊香保(いかほ)の地は硫黄(いおう)臭(くさ)くて落ち着かないが、温泉歓楽街らしく…

新人賞

第231回 短編小説新人賞

【最終選考作品】24seconds(著:大槻華子)

 23,98秒  試合時間は残り24秒をきった。 勝てるか勝てないか今のお前等に聞く。 だが俺は、「勝てない」という言…

新人賞

第231回 短編小説新人賞

【最終選考作品】あいつの葬式、宗派なに?(著:薄田もなか)

『トシのやつ死んだらしいぞ』 もう三年ほど会っていない高校時代の親友の一人から届いたメール。四十七歳の内(ない)藤(と…

新人賞

第231回短編小説新人賞 選評 『最後のご飯』瀬木逢涼

編集E 職場で疲弊しすぎて死すら頭をよぎる状態の主人公が、不思議な居酒屋に辿り着き、心を癒されて生き方を変えるお話で…

新人賞

第231回短編小説新人賞 選評 『宝くじの行方』山田麻矢

編集A とてもかわいいお話ですね。私は大好きです。 編集B 私もです。 青木 「いいものを読ませてもらった…

新人賞

第231回短編小説新人賞 選評 『夏の橋渡り』つなべ夏

編集E 主人公が高校生だったときの、とある事件の真相が明らかになり、何年も抱え続けていた罪悪感が晴れるというお話で…

新人賞

第231回短編小説新人賞 選評 『あいつの葬式、宗派なに?』薄田もなか

編集A 高校時代に仲良し男子3人組だった内の一人が亡くなり、残る二人が、彼らなりのやり方で故人を見送るというお話です…

新人賞

第231回短編小説新人賞 選評 『24seconds』大槻華子

編集E 全国中学校バスケットボール大会の、決勝戦を描いた作品です。それも、ラストの24秒間をです。「あと24秒の間…

新人賞

第231回短編小説新人賞 選評 『怪物譚』秋畑義定

編集B 江戸時代の、にんぎょう作りの職人のお話です。「にんぎょう」とは、見世物小屋に卸す、作り物の怪物の剥製のこと。…

2024年9月10日 更新

新人賞

2024年ノベル大賞 選評

三浦 しをん / 今野 緒雪 / 似鳥 鶏 / 丑尾健太郎

2024年ノベル大賞 選評/丑尾健太郎

どの作品も熱意や独自のセンスが感じられ、大いに刺激を受けました。  今回から、選考委員を担当させていただくことに…

新人賞

2024年ノベル大賞 選評

三浦 しをん / 今野 緒雪 / 似鳥 鶏 / 丑尾健太郎

2024年ノベル大賞 選評/似鳥 鶏

自分の「好き」を読者の「面白い」に変えるためには。  今回も激戦でした。選考委員ごとにいち推しの作品が違い、三作…

新人賞

2024年ノベル大賞 選評

三浦 しをん / 今野 緒雪 / 似鳥 鶏 / 丑尾健太郎

2024年ノベル大賞 選評/今野緒雪

疑問に思ったら、まず調べてみましょう。恐ろしいのは、疑問に思わないことです。  暴力、虐待、だめな親、年下の男の…

新人賞

2024年ノベル大賞 選評

三浦 しをん / 今野 緒雪 / 似鳥 鶏 / 丑尾健太郎

2024年ノベル大賞 選評/三浦しをん

登場人物たちに寄り添いつつ、きちんとストーリーを構築しようという作者の姿勢は、書くうえでものすごく大切な資質だ。 …

2024年8月30日 更新

小説 新人賞

短編小説新人賞 2023年年間最優秀賞 受賞記念作

樹 れん / doi  装画:葵 装画:mashu

続きはないよ、それだけ。(著/doi)

‌ 逸(いつ)子(こ)が元恋人のその投稿を目にしたのは、一人暮らしのアパートで、浴室の湯船に浸かっている時だっ…

小説 新人賞

短編小説新人賞 2023年年間最優秀賞 受賞記念作

樹 れん / doi  装画:葵 装画:mashu

月人おすすめ地球観光ツアー(著/樹 れん)

‌「ジョー、あそこに飛行している個体がいる。近くで見たい、捕ってきたまえ」‌ 地球には本当に『鳥』が実在するの…

2024年8月1日 更新

新人賞

第230回 短編小説新人賞

【佳作】望月の下人語る(著:本江蛹子)

‌ そこなお方、今、安(やす)田(だ)家の仇(あだ)討(う)ちの話をしておられたな。待て、待て、居(い)酒(ざ…

新人賞

第230回 短編小説新人賞

【佳作】転生したら超つまらないOLになってしまったと嘆く人物が、私の後輩になった件(著:白坂小深)

‌ その日、わが社に王女様が入社した、と社内中がざわついた。‌‌ ことの発(ほっ)端(たん)は、社長の一言だっ…

新人賞

第230回短編小説新人賞 選評『転生したら超つまらないOLになってしまったと嘆く人物が、私の後輩になった件』白坂小深

編集B ユーモアにあふれた作風が、とても魅力的でした。語り手がセルフツッコミをするというのは、やり方次第では空回ってし…

新人賞

第230回 短編小説新人賞

【最終選考作品】左回りのイワシ(著:度会メグ)

 付き合ってもうすぐ半年の恋人である、福(ふく)永(なが)俊(しゅん)介(すけ)と同棲(どうせい)している部屋は、大学…

新人賞

第230回 短編小説新人賞

【最終選考作品】三連符(著:高代旭)

‌ 火葬場の待合室で紙コップに入った緑茶を持ち上げた。温(ぬる)くなった緑茶はどこか黄色味がかって見えて、先日行った健…

新人賞

第230回 短編小説新人賞

【最終選考作品】少女はサファイアの涙を流す(著:荒野羊仔)

‌ 幾重にも重ねられた薄絹のヴェールのような夜の帳(とばり)が一枚ずつ剥(は)がれ、埃(ほこり)っぽい部屋に光が射し込…

新人賞

第230回 短編小説新人賞

【最終選考作品】風景画の解釈(著:大橋項)

‌「……え?」‌ フリーマーケットが催(もよお)されている公園の一角で、俺は大(おお)袈(げ)裟(さ)に驚いてみせた。…

新人賞

第230回短編小説新人賞 選評『風景画の解釈』大橋項

編集A イチ推ししている人もいれば、低い点数をつけている人もいます。評価はかなり分かれていますね。 編集B かな…

新人賞

第230回短編小説新人賞 選評 『少女はサファイアの涙を流す』荒野羊仔

編集E 非常に美しい世界観を持ったファンタジー作品です。私はイチ押しにしました。 編集D 「宝石の涙を流す少女」…

新人賞

第230回短編小説新人賞 選評『三連符』高代旭

編集D とても親しい友人、それも、兄のように慕っていた人を亡くした主人公の、心の内が描かれた作品でした。一人称の語りの…

新人賞

第230回短編小説新人賞 選評 『左回りのイワシ』度会メグ

編集C 主人公は、大学生の女の子。同棲している恋人の俊介のなにもかもが大好きで、幸福な毎日を満喫中なのですが、ある日、…

新人賞

第230回短編小説新人賞 選評 『望月の下人語る』本江蛹子

編集B とても書き慣れてますよね。しかも、客観性を持って書けているなと思います。だから、話に入り込みやすかった。 …

2024年7月10日 更新

新人賞

方言恋愛小説賞

【佳作】このちっぽけな青の向こうに(著:辻すずり)

‌〝世間は狭い〟‌ 東真子(あずままこ)はこの言葉の意味を、ずっと勘違いしていた。‌「なあ知っとる? 隣のクラスのアイ…

新人賞

方言恋愛小説賞

【佳作】くろいの(著:ととり)

‌ 最初は、なんじゃぁ黒い小さい奴が、柴(しば)をかついで山道ふらふらあるいとった。‌ あんまり小さいもんじゃから、荷…