第236回 短編小説新人賞
【最終選考作品】奇天烈な一日(著:山口夏人)
午前十一時二十五分。大さじ三の水。大さじ二のしょうゆ。大さじ一の酒。大さじ一の砂糖。大さじ一のオイスターソース。小さ…
2026年2月10日 更新
午前十一時二十五分。大さじ三の水。大さじ二のしょうゆ。大さじ一の酒。大さじ一の砂糖。大さじ一のオイスターソース。小さ…
「ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピーッ」 浮ついた身体(からだ)でバランスを崩さないように、足を上げる。真下は水面。地味に遠…
そうだ、終点まで行ってみよう。 ある日突然思いついたその案を実行すべく、俺は早朝、品(しな)川(がわ)駅に立っていた…
「おい、フモンカン、取り壊されるって」 遅番の小(お)川(がわ)が最悪のニュースを連れて出勤した。「やばいじゃん」「や…
「まいったなあ……」「まいりましたね……」 二人がそんなやり取りをした回数も、そろそろ二桁(けた)に突入しかけ…
月曜日。朝目を覚ますと、そこは助手席だった。知らない車だ。運転席には市役所総務課の同僚、原(はら)田(だ)さ…
編集A 深夜の山中で、友人を殺した犯人と閉鎖環境で二人きりになってしまうという、かなり究極のシチュエーションで進行…
編集C これは、いわゆる「不条理もの」ですね。ストーリーの整合性に関する議論とは無縁です。「なんでそうなるの?」と…
編集B 主人公は、順風満帆な人生を歩んでいる都会の青年です。仕事にもプライベートにも、何の不足も問題もない。でも、…
編集B 水泳部に所属している高校3年生の「僕」のお話です。昼休みも放課後も真っすぐにプールへと向かい、水泳に打ち込…
編集A タイトル通り、まさに「山本君が誘拐されるお話」です。しかも、宇宙人に誘拐される(笑)。 編集E 荒唐無稽な…
編集B 年に一度の団体客を受け入れることでかろうじて生き延びていた、万年経営難の貧相なホテルが、その収入源すら失う…
2026年1月19日 更新
2025年11月10日 更新
ゴウンゴウンと機械の稼働音が工場中に響き渡る。 ライン内では青い液体がタンクに満たされ、同僚の作業員が重そうにそのタ…
自動音声が『七十三階に到着しました』と淡々と告げ、エレベーターの銀の扉が涼やかな音を立てて開いた。りん。 降りたフロ…
神奈川県田綱郷亜(あ)土(ど)村の村民は、未知の味覚『ゆがい』を持っている。 その事実が急激に広まったのは、友人に料…
午前六時四十七分。アキラの体内センサーが最適な起床時刻を告げると同時に、部屋の照明が徐々に明るくなる。壁面のスクリー…
検査結果を聞いてスズキは肩を落とした。まだこの星に来て三年もたたないのにあの病気に感染してしまったのだ。それは一種の…
あれはまだ日本が平和だった頃、いや、既に精神面では暴発の一歩手前まで進んでいた頃の話だ。 大学一年生の夏。僕達クイズ…
目が覚めると小方ルミナと目が合った。一気に目が覚めた。「おはようございます」 と俺は朝の挨拶をする。 俺の部…
2025年10月17日 更新
「またこの人か」と思って、私はおばさんを見上げた。 次のバス停で降りるために、私は座ったまま手を伸ばして、降車…
「ゆうりちゃんにお願いがあるんだけど」 帰りの会が終わり、ランドセルを背負って四年二組の教室を出ようとすると、…
一人で神(じん)保(ぼう)町(ちょう)の喫(きっ)茶(さ)店(てん)に来た。 まだ注文は来ていない。でも、もう出てし…
いつだって冬は寒い。今年の冬は例年よりさらに寒かった。デパートの外商が持ってきたハイブランドのコートを冷たい風にはた…
昼に発令された梅雨(つゆ)入り宣言を裏打ちするかのように、やむ気配を見せない雨が降り続いている。雑居ビル特有の閉鎖的…
2 水族館なんて何が楽しいかわからないけど、心(ここ)愛(あ)がはしゃいで嬉しそうにしているから、まあいっかって思った…
編集A 主人公は、事故死した子供のクローンとして作られた女の子。コピー元の少女と寸分たがわぬ思考や振る舞いを要求さ…
編集A これはもう、すごくかわいらしい作品でした。私は大好きです。 編集E 私もです。大学2年の女の子が主人公の…
編集A これはもう、抜群に面白かったです。 編集B 「バスの席に座る」ことが、ここまでの作品になりうるとは、びっ…
編集D 主人公は、アラサーの女性会社員です。さまざまなセクシュアリティを持つ人が集まる、とあるミュージックバーを気に入…
編集A 母親が妹にかかりきりになって寂しさを感じている主人公と、娘を事故で亡くして以来、世捨て人のように暮らしている女…
編集A ひなびた地方都市に生まれ、夢や希望を持てずに生きてきた現代の若い女性の半生を、ある日忽然と姿を消した親友との思…