2025年1月20日 更新

新人賞

第232回 短編小説新人賞

【最終選考作品】わたしは回転木馬(著:堀祐貴)

〈一〉  近ごろ私は、馬に乗っている。 なんということはない。他にすることがないので、仕方なくだ。夜もすがら…

新人賞

第232回 短編小説新人賞

【最終選考作品】川沿いに桜(著:寝癖)

 二度目の賃貸契約更新の紙切れが届いて、当たり前みたいにあたしたちの関係も更新されないことが決まった。 四年前、大学を…

新人賞

第232回 短編小説新人賞

【最終選考作品】蒼穹へ泳げ(著:水鳥たま季)

age39. ここに、一本のボールペンがある。 ペンの軸(じく)は透明だ。持つ角度を変えると、魚のキャラクターのフロー…

新人賞

第232回 短編小説新人賞

【佳作】ぴしゅたこの墨(著:蛯原テトラ)

 幽(ゆう)煙(えん)の自宅に辿(たど)り着いた時、辺りにはまだ強い雨が降っていた。 悪天候で新幹線の運行に影…

新人賞

第232回 短編小説新人賞

【佳作】さいごのひともじ(著:瀬野那成)

 夏休みが明けると必ず全校集会があるのはどうしてなのか。三学期制ではないから始業式でもないし、夏休み前のように…

新人賞

第232回 短編小説新人賞

【入選】兄の鳥葬(著:飛鳥休暇)

   おにいの死体には今日も鳥が群がっている。 丘の上の平たい大岩に放置されたおにいの身体(からだ)は、…

新人賞

第232回短編小説新人賞 選評 『兄の鳥葬』飛鳥休暇

編集A 昔からの掟に従って皆が暮らしている、とある辺境の村。そこに生まれ、そこで生きる少女の、一人称で語られる物語…

新人賞

第232回短編小説新人賞 選評 『さいごのひともじ』瀬野那成

編集A 高評価している人が多い作品です。私も高い点数を付けました。多感な少年時代の、忘れがたい出来事のお話。淡くて…

新人賞

第232回短編小説新人賞 選評 『ぴしゅたこの墨』蛯原テトラ

編集A すごく雰囲気のある作品ですね。独自の世界観を描き出せています。 編集C 「何かが起こりそう」という期…

新人賞

第232回短編小説新人賞 選評 『わたしは回転木馬』堀祐貴

編集B 毎晩夢の中で遊園地に行っている主人公が、その遊園地の管理人だという人物を現実世界で偶然見つけて……というお…

新人賞

第232回短編小説新人賞 選評 『蒼穹へ泳げ』水鳥たま季

編集A 辛い家庭環境にいる女の子が、不思議と心の通じ合う祖父の存在に支えられ、大人になっていく様を描いたお話です。…

新人賞

第232回短編小説新人賞 選評 『川沿いに桜』寝癖

編集D 同棲していた若いカップルがマンネリに陥って、「もう別れよう」と決まったところから始まる物語です。別々の場所…

2024年10月17日 更新

新人賞

第231回 短編小説新人賞

【入選】宝くじの行方(著:山田麻矢)

「長(は)谷(せ)川(がわ)さん宝くじ買いに行くんですか」 同僚の梅(うめ)木(き)萌(もえ)が、食べ終わった…

新人賞

第231回 短編小説新人賞

【佳作】夏の橋渡り(著:つなべ夏)

 やっぱりやめよ。私は投げやりな気持ちで橋の欄干(らんかん)にもたれかかり、ちろちろ流れる小川を見下ろしてポッ…

新人賞

第231回 短編小説新人賞

【最終選考作品】怪物譚(著:秋畑義定)

 初めて踏む上(じょう)州(しゅう)伊香保(いかほ)の地は硫黄(いおう)臭(くさ)くて落ち着かないが、温泉歓楽街らしく…

新人賞

第231回 短編小説新人賞

【最終選考作品】最後のご飯(著:瀬木逢涼)

 人生が終わる時、最後に食べたいものは――と何回か聞かれた。 決めているものはあっても、どうやっても叶わないし、そもそ…

新人賞

第231回 短編小説新人賞

【最終選考作品】24seconds(著:大槻華子)

 23,98秒  試合時間は残り24秒をきった。 勝てるか勝てないか今のお前等に聞く。 だが俺は、「勝てない」という言…

新人賞

第231回 短編小説新人賞

【最終選考作品】あいつの葬式、宗派なに?(著:薄田もなか)

『トシのやつ死んだらしいぞ』 もう三年ほど会っていない高校時代の親友の一人から届いたメール。四十七歳の内(ない)藤(と…

新人賞

第231回短編小説新人賞 選評 『最後のご飯』瀬木逢涼

編集E 職場で疲弊しすぎて死すら頭をよぎる状態の主人公が、不思議な居酒屋に辿り着き、心を癒されて生き方を変えるお話で…

新人賞

第231回短編小説新人賞 選評 『宝くじの行方』山田麻矢

編集A とてもかわいいお話ですね。私は大好きです。 編集B 私もです。 青木 「いいものを読ませてもらった…

新人賞

第231回短編小説新人賞 選評 『夏の橋渡り』つなべ夏

編集E 主人公が高校生だったときの、とある事件の真相が明らかになり、何年も抱え続けていた罪悪感が晴れるというお話で…

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第231回短編小説新人賞 選評 『あいつの葬式、宗派なに?』薄田もなか

編集A 高校時代に仲良し男子3人組だった内の一人が亡くなり、残る二人が、彼らなりのやり方で故人を見送るというお話です…

新人賞

第231回短編小説新人賞 選評 『24seconds』大槻華子

編集E 全国中学校バスケットボール大会の、決勝戦を描いた作品です。それも、ラストの24秒間をです。「あと24秒の間…

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第231回短編小説新人賞 選評 『怪物譚』秋畑義定

編集B 江戸時代の、にんぎょう作りの職人のお話です。「にんぎょう」とは、見世物小屋に卸す、作り物の怪物の剥製のこと。…

2024年9月10日 更新

新人賞

2024年ノベル大賞 選評

三浦 しをん / 今野 緒雪 / 似鳥 鶏 / 丑尾 健太郎

2024年ノベル大賞 選評/丑尾健太郎

どの作品も熱意や独自のセンスが感じられ、大いに刺激を受けました。  今回から、選考委員を担当させていただくことに…

新人賞

2024年ノベル大賞 選評

三浦 しをん / 今野 緒雪 / 似鳥 鶏 / 丑尾 健太郎

2024年ノベル大賞 選評/似鳥 鶏

自分の「好き」を読者の「面白い」に変えるためには。  今回も激戦でした。選考委員ごとにいち推しの作品が違い、三作…

新人賞

2024年ノベル大賞 選評

三浦 しをん / 今野 緒雪 / 似鳥 鶏 / 丑尾 健太郎

2024年ノベル大賞 選評/今野緒雪

疑問に思ったら、まず調べてみましょう。恐ろしいのは、疑問に思わないことです。  暴力、虐待、だめな親、年下の男の…

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2024年ノベル大賞 選評

三浦 しをん / 今野 緒雪 / 似鳥 鶏 / 丑尾 健太郎

2024年ノベル大賞 選評/三浦しをん

登場人物たちに寄り添いつつ、きちんとストーリーを構築しようという作者の姿勢は、書くうえでものすごく大切な資質だ。 …

2024年8月30日 更新

新人賞

短編小説新人賞 2023年年間最優秀賞 受賞記念作

樹 れん / doi  装画:葵 装画:mashu

続きはないよ、それだけ。(著/doi)

‌ 逸(いつ)子(こ)が元恋人のその投稿を目にしたのは、一人暮らしのアパートで、浴室の湯船に浸かっている時だっ…

新人賞

短編小説新人賞 2023年年間最優秀賞 受賞記念作

樹 れん / doi  装画:葵 装画:mashu

月人おすすめ地球観光ツアー(著/樹 れん)

‌「ジョー、あそこに飛行している個体がいる。近くで見たい、捕ってきたまえ」‌ 地球には本当に『鳥』が実在するの…

2024年8月1日 更新

新人賞

第230回 短編小説新人賞

【佳作】転生したら超つまらないOLになってしまったと嘆く人物が、私の後輩になった件(著:白坂小深)

‌ その日、わが社に王女様が入社した、と社内中がざわついた。‌‌ ことの発(ほっ)端(たん)は、社長の一言だっ…

新人賞

第230回 短編小説新人賞

【佳作】望月の下人語る(著:本江蛹子)

‌ そこなお方、今、安(やす)田(だ)家の仇(あだ)討(う)ちの話をしておられたな。待て、待て、居(い)酒(ざ…