2025年7月17日 更新

新人賞

第234回 短編小説新人賞

【最終選考作品】ビードロの便り(著:渡辺梨花)

 ポストに届いた葉書きを見て、来年以降の暑中見舞いはメールにしようと心に決めた。去年までは祖母と小学校時代の担任の先生…

新人賞

第234回 短編小説新人賞

【最終選考作品】りりうむ(著:波止場裕)

 二十二時のワイドショーで流れてきたそのニュースを見て、真っ先に浮かんだのはりりうむのことだった。 第一志望だったデザ…

新人賞

第234回 短編小説新人賞

【最終選考作品】惑星を捨てる(著:水野すきま)

 吉(よし)岡(おか)は私に星座を与えて、それから地球を捨てた。彼が口にした星座の名前と声は、私の記憶の底に残り続けて…

新人賞

第234回 短編小説新人賞

【佳作】プラムレッドの行方(著:豆倉炎々)

 話しかけてくるタイプの店が嫌いだ。 並べられた化(け)粧(しょう)品(ひん)たちに指先ひとつでも触れようもの…

新人賞

第234回 短編小説新人賞

【佳作】オクガミサマ(著:波之間之泡)

 あ、俺来週はオクガミ様の日だから駄目だわと佐(さ)倉(くら)が呟(つぶや)いた。今日バイトだから、のノリだっ…

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第234回 短編小説新人賞

【入選】グリル並木のオムライス(著:中野 直)

 どうやら父には彼女がいるらしい。 十七歳の佐(さ)倉(くら)遥(はるか)はうっすらとその存在に気が付いてはい…

新人賞

第234回短編小説新人賞 選評『オクガミサマ』波之間之泡

編集C 大学四年生の主人公・司が、ラストで、怪しい「カミサマ」の形代にされてしまうというホラーなお話です。細かい粗がな…

新人賞

第234回短編小説新人賞 選評 『グリル並木のオムライス』中野直

編集A イチ推しの多い作品です。この作者は書き慣れた方でしょうね。読んでいて安心感があります。 青木 完成度がす…

新人賞

第234回短編小説新人賞 選評『りりうむ』波止場裕

編集D 「エキセントリック」という若手ボーイズグループが好きで、ファンアートを投稿したりしている「あたし」が主人公のお…

新人賞

第234回短編小説新人賞 選評『惑星を捨てる』水野すきま

編集D 滅亡しかかった地球で暮らしている、高校3年生の「私」のお話です。SF作品ってなんだかわくわくしますよね。 …

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第234回短編小説新人賞 選評『ビードロの便り』渡辺梨花

編集B 二十年もの間、年に数回ほどの連絡を取り合ってきた男女のお話です。男女の心の交流の話なのに、恋愛ではなくあくまで…

新人賞

第234回短編小説新人賞 選評『プラムレッドの行方』豆倉炎々

編集B 派遣社員として働いている「私」のお話です。収入も低く、パッとしない毎日を送っていて、常にどんよりとした鬱屈と劣…

2025年4月17日 更新

新人賞

第233回 短編小説新人賞

【最終選考作品】田口弘美という人

「チケットが買えなかったから、転売されているチケットでコンサートに行ってきたの」 目の前に座る「田(た)口(ぐち)弘(…

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第233回 短編小説新人賞

【最終選考作品】奇跡の一枚(著:あいうちあい)

 もう使わないからと言って、僕は長らく借りていた一眼レフカメラを父に返した。それは逆立ちしても高校生の手には届かない高…

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第233回 短編小説新人賞

【最終選考作品】まちがいさがし(著:ラム・и)

 耳元で鳴り響く爆音。布団を蹴(け)っ飛ばして起き上がったおれは、スマホの画面に浮かぶストップのアイコンを素早くタップ…

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第233回 短編小説新人賞

【佳作】発光する車谷くん(著:岡林石子)

 私の目が君をどんな風に見ていても、他言しなければ合法の範(はん)疇(ちゅう)だ。 視力の違いといった単純な理…

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第233回 短編小説新人賞

【佳作】もしもの同居人(著:明海透)

         &…

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第233回短編小説新人賞 選評『田口弘美という人』 春野陽

編集D タイプが違う二人の女性の、微妙な関係性が描かれた話でした。一人称で語られている物語ですが、主人公の「私」は…

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第233回短編小説新人賞 選評『奇跡の一枚』 あいうちあい

編集B カメラ好きの高校生、「僕」のお話です。ある日主人公は、自分には出生時に亡くなった双子の弟がいたことを知らさ…

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第233回短編小説新人賞 選評『発光する車谷くん』 岡林石子

編集E 作品の内容が内容だけに、最初はイチ推しするのをためらいました……。でも、やっぱり勇気をもって正直に言うこと…

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第233回短編小説新人賞 選評 『もしもの同居人』明海透

編集A パラレルワールド系のお話ですね。私はイチ推しにしました。ある日、アパートに帰ってみたら、そこにもう一人の「…

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第233回短編小説新人賞 選評『まちがいさがし』 ラム・И

編集A 202X年7月18日を何度も繰り返すたび、間違いを一つずつ見つけ出していくという、ループ系のお話です。ゆる…

2025年1月20日 更新

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第232回 短編小説新人賞

【最終選考作品】蒼穹へ泳げ(著:水鳥たま季)

age39. ここに、一本のボールペンがある。 ペンの軸(じく)は透明だ。持つ角度を変えると、魚のキャラクターのフロー…

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第232回 短編小説新人賞

【最終選考作品】川沿いに桜(著:寝癖)

 二度目の賃貸契約更新の紙切れが届いて、当たり前みたいにあたしたちの関係も更新されないことが決まった。 四年前、大学を…

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第232回 短編小説新人賞

【最終選考作品】わたしは回転木馬(著:堀祐貴)

〈一〉  近ごろ私は、馬に乗っている。 なんということはない。他にすることがないので、仕方なくだ。夜もすがら…

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第232回 短編小説新人賞

【佳作】さいごのひともじ(著:瀬野那成)

 夏休みが明けると必ず全校集会があるのはどうしてなのか。三学期制ではないから始業式でもないし、夏休み前のように…

新人賞

第232回 短編小説新人賞

【佳作】ぴしゅたこの墨(著:蛯原テトラ)

 幽(ゆう)煙(えん)の自宅に辿(たど)り着いた時、辺りにはまだ強い雨が降っていた。 悪天候で新幹線の運行に影…

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第232回 短編小説新人賞

【入選】兄の鳥葬(著:飛鳥休暇)

   おにいの死体には今日も鳥が群がっている。 丘の上の平たい大岩に放置されたおにいの身体(からだ)は、…

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第232回短編小説新人賞 選評 『さいごのひともじ』瀬野那成

編集A 高評価している人が多い作品です。私も高い点数を付けました。多感な少年時代の、忘れがたい出来事のお話。淡くて…

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第232回短編小説新人賞 選評 『ぴしゅたこの墨』蛯原テトラ

編集A すごく雰囲気のある作品ですね。独自の世界観を描き出せています。 編集C 「何かが起こりそう」という期…

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第232回短編小説新人賞 選評 『わたしは回転木馬』堀祐貴

編集B 毎晩夢の中で遊園地に行っている主人公が、その遊園地の管理人だという人物を現実世界で偶然見つけて……というお…

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第232回短編小説新人賞 選評 『兄の鳥葬』飛鳥休暇

編集A 昔からの掟に従って皆が暮らしている、とある辺境の村。そこに生まれ、そこで生きる少女の、一人称で語られる物語…