2023年9月19日 更新

小説

もののけ寺の白菊丸

瀬川 貴次

もののけ寺の白菊丸 第二回

「では、白しら菊ぎく丸まるはわたしたちが勿もっ径けい寺じに連れて参りますので、乳母めのとどのはここから都にお戻…

小説

僕の恋、思い出と勝負するのは分が悪すぎる

我鳥 彩子  装画:加藤 綾華

僕の恋、思い出と勝負するのは分が悪すぎる 第二回

   3  僕の住むマンションの近くには大きな公園があり、そこを散歩しながら小説の構想を練ねるのが僕の習…

小説

莉国の都・景京

珠華杏林医治伝 乙女の大志は未来を癒す 番外編

小田 菜摘  装画:ペキォ

莉国の都・景京

珠華杏林医治伝 乙女の大志は未来を癒す 番外編

 中ちゅう原げんを支配する大帝国・莉り王朝。 今上の即位より六年目のその日、この国に女子のための医学校が開校し…

2023年9月8日 更新

小説

『宝石商リチャード氏の謎鑑定』番外編

真砂なす

辻村 七子  装画:雪広 うたこ

真砂なす 第三回

『宝石商リチャード氏の謎鑑定』番外編

 リチャードは何も言わず、静かに目礼した。俺もならう。 シャウルさんはややあってから、オーバーに腕を広げた。「…

小説

たかが恋の話

阿部 暁子  装画:倉秦

たかが恋の話 第二回

 今年度の東北高校弓道選手権大会の開催地は福島。R大付属高校弓道部からは、二年生男子重野、三年生女子及川おいか…

小説

もののけ寺の白菊丸

瀬川 貴次

もののけ寺の白菊丸 第一回

 泣いてはいけない。 数えの十二歳になって間もない白しら菊ぎくは、そう自分に言い聞かせつつ、寝殿造しんでんづく…

小説

僕の恋、思い出と勝負するのは分が悪すぎる

我鳥 彩子  装画:加藤 綾華

僕の恋、思い出と勝負するのは分が悪すぎる 第一回

   1 『書けない!?』 電話の向こうで、知らない宇宙人からお中元でも届いたかのような声が上がった。 …

2023年9月1日 更新

小説

『宝石商リチャード氏の謎鑑定』番外編

真砂なす

辻村 七子  装画:雪広 うたこ

真砂なす 第二回

『宝石商リチャード氏の謎鑑定』番外編

 シャウルさんはかつて医者であった。イギリスの医大を卒業し、スリランカに戻って開業もした、れっきとした専門医で…

小説

たかが恋の話

阿部 暁子  装画:倉秦

たかが恋の話 第一回

 忘れもしない五月三十日、教育実習が始まって二度目の月曜日だ。 明け方から、夏の匂いをおびてきた空気を撃ち…

2023年8月18日 更新

小説

『宝石商リチャード氏の謎鑑定』番外編

真砂なす

辻村 七子  装画:雪広 うたこ

真砂なす 第一回

『宝石商リチャード氏の謎鑑定』番外編

 ミュンヘン・ミネラルショーを訪れるのはこれで三度目だ。ミュンヘン国際空港からUバーンと呼ばれる地下鉄に乗り、…

小説

『ハケン飯友 僕と猫の、小さな食卓』番外編

ずっと一緒に

椹野 道流  装画:内田 美奈子

ずっと一緒に

『ハケン飯友 僕と猫の、小さな食卓』番外編

「はー、食った食った」 満足げにそう言って、猫……トラキチは、両手を元気よく合わせ、ごちそうさまの挨(あい)拶…

小説

『映画みたいな、この恋を』ショートストーリー

「ぜんぶ、夏のせい」

いぬじゅん  装画:飴村

「ぜんぶ、夏のせい」

『映画みたいな、この恋を』ショートストーリー

 今日も翔(しょう)太(た)は元気だ。「実(み)緒(お)、見て。魚がいる!」 波打ち際で制服のパンツのすそが濡…

2023年2月10日 更新

小説

払暁前夜――嚆矢、北方より

双蛇に嫁す 番外編

氏家 仮名子  装画:田村 由美

払暁前夜――嚆矢、北方より

‌‌「また、双子の妃か」‌ 長い黒髪を結い上げた男は、そう言って顔をしかめた。眉(み)間(けん)に寄った皺(し…

2022年12月6日 更新

小説

意識高い系第二新卒の憂鬱

このビル、空きはありません! オフィス仲介戦線、異常あり 番外編

森ノ 薫  装画:ゆき哉

意識高い系第二新卒の憂鬱

 会議室で六名の男女が話し込んでいる。 ガラス張りのパーテーション越しに、議論が白熱しているさまが見える。社員…