第235回 短編小説新人賞
【入選】B駅行き愚者のバス(著:遠窓ヒスイ)
「またこの人か」と思って、私はおばさんを見上げた。 次のバス停で降りるために、私は座ったまま手を伸ばして、降車…
2025年10月17日 更新
「またこの人か」と思って、私はおばさんを見上げた。 次のバス停で降りるために、私は座ったまま手を伸ばして、降車…
「ゆうりちゃんにお願いがあるんだけど」 帰りの会が終わり、ランドセルを背負って四年二組の教室を出ようとすると、…
一人で神(じん)保(ぼう)町(ちょう)の喫(きっ)茶(さ)店(てん)に来た。 まだ注文は来ていない。でも、もう出てし…
いつだって冬は寒い。今年の冬は例年よりさらに寒かった。デパートの外商が持ってきたハイブランドのコートを冷たい風にはた…
昼に発令された梅雨(つゆ)入り宣言を裏打ちするかのように、やむ気配を見せない雨が降り続いている。雑居ビル特有の閉鎖的…
2 水族館なんて何が楽しいかわからないけど、心(ここ)愛(あ)がはしゃいで嬉しそうにしているから、まあいっかって思った…
編集A 主人公は、事故死した子供のクローンとして作られた女の子。コピー元の少女と寸分たがわぬ思考や振る舞いを要求さ…
編集A これはもう、すごくかわいらしい作品でした。私は大好きです。 編集E 私もです。大学2年の女の子が主人公の…
編集A これはもう、抜群に面白かったです。 編集B 「バスの席に座る」ことが、ここまでの作品になりうるとは、びっ…
編集D 主人公は、アラサーの女性会社員です。さまざまなセクシュアリティを持つ人が集まる、とあるミュージックバーを気に入…
編集A 母親が妹にかかりきりになって寂しさを感じている主人公と、娘を事故で亡くして以来、世捨て人のように暮らしている女…
編集A ひなびた地方都市に生まれ、夢や希望を持てずに生きてきた現代の若い女性の半生を、ある日忽然と姿を消した親友との思…
2025年9月1日 更新
三浦 しをん / 今野 緒雪 / 似鳥 鶏 / 丑尾 健太郎
荒ぶる魂の手綱を取り、情熱を「小説」という形に結晶させられているか、という観点で最終候補作を拝読した。 今回の…
三浦 しをん / 今野 緒雪 / 似鳥 鶏 / 丑尾 健太郎
選考会を終えての感想は、「よかった」でした。 二〇二五年は、今後ノベル大賞を語る上で間違いなく「特別な年」にな…
三浦 しをん / 今野 緒雪 / 似鳥 鶏 / 丑尾 健太郎
大賞受賞作はどちらも既存のジャンルに収まりきらないものでした。それは裏を返せば個性があり唯一無二だということです。 …
三浦 しをん / 今野 緒雪 / 似鳥 鶏 / 丑尾 健太郎
大賞に輝いた二作品は、世界観も作風もまったく異なりますが、いずれも発想の独自性に富んでいて、読者を最後まで惹きつける力…
2025年7月17日 更新
ポストに届いた葉書きを見て、来年以降の暑中見舞いはメールにしようと心に決めた。去年までは祖母と小学校時代の担任の先生…
二十二時のワイドショーで流れてきたそのニュースを見て、真っ先に浮かんだのはりりうむのことだった。 第一志望だったデザ…
吉(よし)岡(おか)は私に星座を与えて、それから地球を捨てた。彼が口にした星座の名前と声は、私の記憶の底に残り続けて…
話しかけてくるタイプの店が嫌いだ。 並べられた化(け)粧(しょう)品(ひん)たちに指先ひとつでも触れようもの…
あ、俺来週はオクガミ様の日だから駄目だわと佐(さ)倉(くら)が呟(つぶや)いた。今日バイトだから、のノリだっ…
どうやら父には彼女がいるらしい。 十七歳の佐(さ)倉(くら)遥(はるか)はうっすらとその存在に気が付いてはい…
編集C 大学四年生の主人公・司が、ラストで、怪しい「カミサマ」の形代にされてしまうというホラーなお話です。細かい粗がな…
編集A イチ推しの多い作品です。この作者は書き慣れた方でしょうね。読んでいて安心感があります。 青木 完成度がす…
編集D 「エキセントリック」という若手ボーイズグループが好きで、ファンアートを投稿したりしている「あたし」が主人公のお…
編集D 滅亡しかかった地球で暮らしている、高校3年生の「私」のお話です。SF作品ってなんだかわくわくしますよね。 …
編集B 二十年もの間、年に数回ほどの連絡を取り合ってきた男女のお話です。男女の心の交流の話なのに、恋愛ではなくあくまで…
編集B 派遣社員として働いている「私」のお話です。収入も低く、パッとしない毎日を送っていて、常にどんよりとした鬱屈と劣…
2025年4月17日 更新
「チケットが買えなかったから、転売されているチケットでコンサートに行ってきたの」 目の前に座る「田(た)口(ぐち)弘(…
もう使わないからと言って、僕は長らく借りていた一眼レフカメラを父に返した。それは逆立ちしても高校生の手には届かない高…
耳元で鳴り響く爆音。布団を蹴(け)っ飛ばして起き上がったおれは、スマホの画面に浮かぶストップのアイコンを素早くタップ…
私の目が君をどんな風に見ていても、他言しなければ合法の範(はん)疇(ちゅう)だ。 視力の違いといった単純な理…