2024年8月1日 更新

新人賞

第230回短編小説新人賞 選評 『左回りのイワシ』度会メグ

編集C 主人公は、大学生の女の子。同棲している恋人の俊介のなにもかもが大好きで、幸福な毎日を満喫中なのですが、ある日、…

新人賞

第230回 短編小説新人賞

【最終選考作品】左回りのイワシ(著:度会メグ)

 付き合ってもうすぐ半年の恋人である、福(ふく)永(なが)俊(しゅん)介(すけ)と同棲(どうせい)している部屋は、大学…

新人賞

第230回 短編小説新人賞

【最終選考作品】三連符(著:高代旭)

‌ 火葬場の待合室で紙コップに入った緑茶を持ち上げた。温(ぬる)くなった緑茶はどこか黄色味がかって見えて、先日行った健…

新人賞

第230回 短編小説新人賞

【最終選考作品】少女はサファイアの涙を流す(著:荒野羊仔)

‌ 幾重にも重ねられた薄絹のヴェールのような夜の帳(とばり)が一枚ずつ剥(は)がれ、埃(ほこり)っぽい部屋に光が射し込…

新人賞

第230回 短編小説新人賞

【最終選考作品】風景画の解釈(著:大橋項)

‌「……え?」‌ フリーマーケットが催(もよお)されている公園の一角で、俺は大(おお)袈(げ)裟(さ)に驚いてみせた。…

新人賞

第230回短編小説新人賞 選評『三連符』高代旭

編集D とても親しい友人、それも、兄のように慕っていた人を亡くした主人公の、心の内が描かれた作品でした。一人称の語りの…

新人賞

第230回短編小説新人賞 選評『風景画の解釈』大橋項

編集A イチ推ししている人もいれば、低い点数をつけている人もいます。評価はかなり分かれていますね。 編集B かな…

新人賞

第230回短編小説新人賞 選評 『少女はサファイアの涙を流す』荒野羊仔

編集E 非常に美しい世界観を持ったファンタジー作品です。私はイチ押しにしました。 編集D 「宝石の涙を流す少女」…

新人賞

第230回短編小説新人賞 選評『転生したら超つまらないOLになってしまったと嘆く人物が、私の後輩になった件』白坂小深

編集B ユーモアにあふれた作風が、とても魅力的でした。語り手がセルフツッコミをするというのは、やり方次第では空回ってし…

新人賞

第230回短編小説新人賞 選評 『望月の下人語る』本江蛹子

編集B とても書き慣れてますよね。しかも、客観性を持って書けているなと思います。だから、話に入り込みやすかった。 …

2024年7月10日 更新

新人賞

方言恋愛小説賞

【佳作】勇者の恋人(著:黒瀬かすみ)

‌『僕の愛(いと)しいミルシュカ。早く君に会いたいです。周りは軍人ばかり。大勢の人の中にミルシュカがいても誰も気にしな…

新人賞

方言恋愛小説賞

【佳作】くろいの(著:ととり)

‌ 最初は、なんじゃぁ黒い小さい奴が、柴(しば)をかついで山道ふらふらあるいとった。‌ あんまり小さいもんじゃから、荷…

新人賞

方言恋愛小説賞

【佳作】このちっぽけな青の向こうに(著:辻すずり)

‌〝世間は狭い〟‌ 東真子(あずままこ)はこの言葉の意味を、ずっと勘違いしていた。‌「なあ知っとる? 隣のクラスのアイ…

新人賞

方言恋愛小説賞

【入賞】もう、好きちゃう。(著:杉本夏菜)

‌「卒業式終わったら、東京行くことなったわ」と健(けん)に言われたとき、わたしは当たり前に旅行だと思ったから、「ええな…

新人賞

方言恋愛小説賞

【入賞】名前のない『すき』(著:ばいお)

‌ 殺人的な暑さで夏の全国ニュースを騒がせる岐阜県東濃(とうのう)地方だが、今は十二月。恵(え)那(な)峡(きょう)の…

2024年4月18日 更新

小説

ミスター・ラスと金色の少年

レディ・ファントムと灰色の夢 番外編

栢山 シキ  装画:SNC

ミスター・ラスと金色の少年

‌ オルランド王国の首都・リーヴァイの中心からほど近い、それなりに裕福な中流階級が住んでいる地域に、そのテラス…

小説

清らで妙なる朝露のごとき

私のマリア 番外編

東雲 めめ子  装画:西條 ユリカ

清らで妙なる朝露のごとき

‌ 私の享(きょう)年(ねん)は十七だった。‌ 数え年ならば十九というべきだろうか。とにかく高三だったのだ。私…

小説

思い出は優しい味

天狐のテンコと葵くん たぬきケーキを探しておるのじゃ 番外編

西 東子  装画:サコ

思い出は優しい味

‌ 全国的に晴れ渡った、秋のある日。‌ 東京近郊の山(やま)間(あい)の町・山(さん)王(のう)町(ちょう)は…

新人賞

第229回 短編小説新人賞

【最終選考作品】増量する過去、減量する未来(著:八木真平)

‌ ケイスケは目覚めるとゴミ袋をベッドにしていた。ハトとカラスとネズミがかわるがわる訪問してくる人気スポットだった…

新人賞

第229回 短編小説新人賞

【最終選考作品】ねずみ花火

‌ 機械的な音を鳴らしながら火(か)葬(そう)炉(ろ)が開かれた。職員の人たちが台車に乗った棺(ひつぎ)をゆっくり…

新人賞

第229回 短編小説新人賞

【佳作】ゆにこぉん・プリン(著:白石 智)

‌ 容疑者は無職の二十代男性――。もし自分がいま罪を犯したらニュースでそう読み上げられるんだろう。‌ 男性は日…

新人賞

第229回 短編小説新人賞

【入選】祭りの夜に(著:金沢夜空)

‌ 学生の時分の話である。‌ うだるような暑い夏の夕方だった。アパートの六畳(じょう)間(ま)で効きの悪い…

新人賞

第229回短編小説新人賞 選評 『祭りの夜に』金沢夜空

編集A とても面白かったです。気になる点もいくつかあるのですが、とにかく引き込まれて読みました。 青木 すごく雰…

新人賞

第229回短編小説新人賞 総評

編集B 今回は「調べる」ということをテーマに話し合いたいと思います。投稿作を読んでいると、「これはちゃんと調べた上…

新人賞

第229回短編小説新人賞 選評 『ゆにこぉん・プリン』白石智

編集I 親の顔色ばかり窺って生きてきた二十代の男性が、自分の足で一歩踏み出すお話です。ストーリーにあっと驚くようなひ…

新人賞

第229回短編小説新人賞 選評 『ねずみ花火』鷹岡柊斗

編集A おじいちゃんが突然亡くなってしまった、中1の男の子のお話です。とはいっても、沈鬱なムードはありません。むしろ…

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第229回短編小説新人賞 選評 『増量する過去、減量する未来』八木真平

編集A タイムリープものですね。しかも、ほんの半日くらいのタイムリープ。この「ちょっとやり直す」というサイズ感が、短…

新人賞

2023年度年間最優秀賞 選評

『あの有馬記念』(第224回入選) 編集A 話がどんどんひっくり返っていく感じが、とても面白かったです。 …

2024年2月19日 更新

新人賞

第228回 短編小説新人賞

【最終選考作品】サクラメント(著:あむだ前歯)

‌ 横168cm、奥行と高さは大体80cm。‌ 押し入れの下の段、使い勝手が悪いからとうそぶいて空(から)にしたままだ…

新人賞

第228回 短編小説新人賞

【最終選考作品】あの日々/あの日々(著:上田しん)

‌ 視界が白くなるほどの大雨の中で、俺は佇(たたず)んでいた。ここがどこかわからない。どこに向かえばいいのか、どんな気…

新人賞

第228回 短編小説新人賞

【最終選考作品】冬乙女の口づけ(著:桐生燈子)

‌ アルドナは冬が好きだ。‌ 鼻が曲がるような汗と垢(あか)のこびりついた体臭も、糞(ふん)尿(にょう)の匂いも、床(…

新人賞

第228回 短編小説新人賞

【入選】浅ましき化け物(著:祇光瞭咲)

‌ 音(おと)助(すけ)は足を止め、遥(はる)か遠(えん)州(しゅう)灘(なだ)に臨(のぞ)む水平線を振り返っ…