2025年9月18日 更新

小説

花のたより

百番様の花嫁御寮 4 ~神在片恋祈譚~ 番外編

東堂 燦  装画:白谷 ゆう

花のたより

 百(もも)生(せ)邸の離れ屋には、燃えるような夕焼けが差し込んでいた。 紗(さ)恵(え)は障子戸越しでもまぶ…

小説

振って降られて吸血鬼

赤川 次郎  装画:ひだか なみ

振って降られて吸血鬼 第四回

正体 「私はM大の教授でね。徳とく永なが栄えい一いち郎ろうというんだ。知ってるだろ?」 という言葉にも、…

2025年9月10日 更新

小説

手のひらに月でも乗せたげる

瀬野 那成  装画:mugico

第三話「雨音を喫んで、おやすみ」

 七月六日生まれなんだって言ったら、だいたい「惜しかったね」って言われる。あと一日遅かったら、七夕(たなばた)…

小説

振って降られて吸血鬼

赤川 次郎  装画:ひだか なみ

振って降られて吸血鬼 第三回

事件  ドアの外から、クロロックの声がした。「エリカ、起きろ」 普通の人間の耳には全(まった)く聞こえな…

2025年9月1日 更新

小説

手のひらに月でも乗せたげる

瀬野 那成  装画:mugico

第二話「夜道を駆けて、おやすみ」

 肩まで布団を被ったまま、手のひらを見つめる。常夜灯でぼんやりとオレンジに照らされた手相の線を意味もなく指でな…

小説

振って降られて吸血鬼

赤川 次郎  装画:ひだか なみ

振って降られて吸血鬼 第二回

豪雨 「何よ、これ!」 エリカが思わず口走った。「どうなってるの?」 エリカは車のスピードを落とした。 …

新人賞

2025年ノベル大賞 選評

三浦 しをん / 今野 緒雪 / 似鳥 鶏 / 丑尾 健太郎

2025年ノベル大賞 選評/三浦しをん

荒ぶる魂の手綱を取り、情熱を「小説」という形に結晶させられているか、という観点で最終候補作を拝読した。  今回の…

新人賞

2025年ノベル大賞 選評

三浦 しをん / 今野 緒雪 / 似鳥 鶏 / 丑尾 健太郎

2025年ノベル大賞 選評/今野緒雪

選考会を終えての感想は、「よかった」でした。  二〇二五年は、今後ノベル大賞を語る上で間違いなく「特別な年」にな…

新人賞

2025年ノベル大賞 選評

三浦 しをん / 今野 緒雪 / 似鳥 鶏 / 丑尾 健太郎

2025年ノベル大賞 選評/似鳥 鶏

大賞受賞作はどちらも既存のジャンルに収まりきらないものでした。それは裏を返せば個性があり唯一無二だということです。 …

新人賞

2025年ノベル大賞 選評

三浦 しをん / 今野 緒雪 / 似鳥 鶏 / 丑尾 健太郎

2025年ノベル大賞 選評/丑尾健太郎

大賞に輝いた二作品は、世界観も作風もまったく異なりますが、いずれも発想の独自性に富んでいて、読者を最後まで惹きつける力…

2025年8月20日 更新

小説

手のひらに月でも乗せたげる

瀬野 那成  装画:mugico

第一話「火花を掬って、おやすみ」

 寝転がったまま手のひらを重力に逆らって伸ばしてみても、天井にぶら下がったまん丸い蛍光灯にすら届かない。空気を…

小説

のっぺらぼう

いろはに狼 猫と鬼と勝烏 番外編

栢山 シキ  装画:淵゛

のっぺらぼう

「あ」 下駄箱の扉を開けたいろはは、外履き用の靴の上にちょこんと置かれた封筒を見つけて小さく声を上げた。 神(…

小説

胡家の双子の意見が分れた日

冥官の愛妻 怪談寺のおくりびと 番外編

喜咲 冬子  装画:ねぎし きょうこ

胡家の双子の意見が分れた日

 胡(こ)家の承(しょう)恩(おん)と承(しょう)慈(じ)は、双子である。 見た目もそっくりなら、そっくりであ…

小説

犬とヒマワリ

『魔法使いのお留守番 シロガネ編』刊行記念『魔法使いのお留守番』番外編

白洲 梓  装画:kokuno

犬とヒマワリ

 ヒマワリが初めて終(はて)島(じま)にやってきてから、半年が経っていた。 時折、不老不死を求めてやってくる歓…

小説

振って降られて吸血鬼

赤川 次郎  装画:ひだか なみ

振って降られて吸血鬼 第一回

嵐の予感  予感は、冷たくじっとりとした空気の中にあった。「台風が急に進路を変えたらしいわよ」 サービス…

2025年8月8日 更新

小説

【奇譚】都市伝説解体センター

氏家 仮名子  装画:リック

#1 【三名様だと思いました】

『先週な、食べてきたんすわ。けっこうな有名店の鰻(うなぎ)を』『いいですねー、夏といえば鰻ですよね。僕誘われて…

小説

仏蘭西(フランス)より死の舞踏(ダンス・マカブル)来(きた)る

あやかし開化の音がして 降魔の家に嫁に行く 番外編

尼野 ゆたか  装画:篁 ふみ

仏蘭西より死の舞踏来る 後編

 骸がい骨こつたちとの距離は、それなり以上に離れている。しかし、明あき子こは一瞬にして骸骨の群れへと飛び込んだ…

まんが試し読み

魔法使いのお留守番

シロガネ編

誰も知らない過去と罪。

白洲 梓  装画:kokuno

魔法使いのお留守番 シロガネ編 まんが試し読み

2025年8月1日 更新

小説

恋愛事変

~謎解きの助手も漫画家アシスタントの仕事なんですか?~

如月 新一  装画:shiho

恋愛事変 ~謎解きの助手も漫画家アシスタントの仕事なんですか?~

     1  漫画家アシスタントの仕事は多た岐きにわたる。 ネームを基にパースを取って背景を描き、漫画…

小説

仏蘭西(フランス)より死の舞踏(ダンス・マカブル)来(きた)る

あやかし開化の音がして 降魔の家に嫁に行く 番外編

尼野 ゆたか  装画:篁 ふみ

仏蘭西より死の舞踏来る 前編

 四し方お津つ明あき子この一日は、西洋寝台ベッドの上で目覚めるところから始まる。天てん蓋がいつきで、ふかふかと…

2025年7月17日 更新

小説

「今日はここまで」

ピクニックはおしまい 番外編

透野 すい  装画:萩森 じあ

「今日はここまで」

 音符が描かれたクリーム色のボタンを前に、私はいつも緊張してしまう。 ――呼び鈴を鳴らしてもハヅキさんがいなか…

小説

山梨より槍使い来(きた)る

あやかし開化の音がして 降魔の家に嫁に行く 番外編

尼野 ゆたか  装画:篁 ふみ

山梨より槍使い来(きた)る

 ――日本人は身投げか首くくりである ジョルジュ・ビゴー  一瞬なのだな、とさよは思う。 太い旦那…

小説

化生の恋

十番様の縁結び 8 神在花嫁綺譚 番外編

東堂 燦  装画:白谷 ゆう

化生の恋

 止(や)むことのない雨と、あたりを覆うような深い霧。 まさしく《雨(あま)霧(ぎり)》の名がふさわしい土地は…

新人賞

第234回 短編小説新人賞

【最終選考作品】ビードロの便り(著:渡辺梨花)

 ポストに届いた葉書きを見て、来年以降の暑中見舞いはメールにしようと心に決めた。去年までは祖母と小学校時代の担任の先生…

新人賞

第234回 短編小説新人賞

【最終選考作品】りりうむ(著:波止場裕)

 二十二時のワイドショーで流れてきたそのニュースを見て、真っ先に浮かんだのはりりうむのことだった。 第一志望だったデザ…

新人賞

第234回 短編小説新人賞

【最終選考作品】惑星を捨てる(著:水野すきま)

 吉(よし)岡(おか)は私に星座を与えて、それから地球を捨てた。彼が口にした星座の名前と声は、私の記憶の底に残り続けて…

新人賞

第234回 短編小説新人賞

【佳作】プラムレッドの行方(著:豆倉炎々)

 話しかけてくるタイプの店が嫌いだ。 並べられた化(け)粧(しょう)品(ひん)たちに指先ひとつでも触れようもの…

新人賞

第234回 短編小説新人賞

【佳作】オクガミサマ(著:波之間之泡)

 あ、俺来週はオクガミ様の日だから駄目だわと佐(さ)倉(くら)が呟(つぶや)いた。今日バイトだから、のノリだっ…

新人賞

第234回 短編小説新人賞

【入選】グリル並木のオムライス(著:中野 直)

 どうやら父には彼女がいるらしい。 十七歳の佐(さ)倉(くら)遥(はるか)はうっすらとその存在に気が付いてはい…

2025年7月1日 更新

小説

宝石商リチャード氏の謎鑑定 比翼のマグル・ガル 第八回

4 比翼のマグル・ガル  正せい義ぎは二度と意識を失うことはなかった。元気に自力でごはんも食べ、すぐトイ…

小説

オレンジ文庫創刊10周年記念「魔法のある日常」リレー短編

似鳥 鶏 / 乙一 / 桑原 水菜 / 今野 緒雪 / 白川 紺子 / 三浦 しをん  装画:shiho

魚の神さま(著:三浦しをん)

 ほとんど日の光を浴びない私は、深海魚のような生活を送っている。 注文を受けたおにぎりの数にもよるが、だいたい…

2025年6月20日 更新

小説

宝石商リチャード氏の謎鑑定 比翼のマグル・ガル 第七回

3 セレスタイトは歌う(3)  夢を見た。 当たり前のように、夢の中では正(せい)義(ぎ)が目覚めていた…