2023年10月19日 更新

新人賞

第226回 短編小説新人賞

【最終選考作品】世界一サイダーが美味い夏(著:風見鈴)

 夏は透明だ。どの季節よりも透き通っている。‌ エアコンの涼しい風も透明だし、カーテンを開ければ、窓ガラスは曇ることな…

新人賞

第226回 短編小説新人賞

【入選】銀河鉄道の夜を読んで(著:藤紘)

 職員室を出た瞬間、茹(ゆ)だるような熱気に襲われる。まっさらな作文用紙をひらつかせ、伊(い)東(とう)は汗ば…

新人賞

第226回短編小説新人賞 総評

編集A 今回は、「タイトルのつけ方」について話し合っていきたいと思います。短編小説新人賞においては、「タイトルが下手」…

新人賞

第226回短編小説新人賞 選評 『ターミナル・ダイブ』青葉梟

編集E 批評に入る前に確認しておきたいのですが、登場人物の性別が、いまいち明確ではなかったですよね。「丹(まこと)」と…

新人賞

第226回短編小説新人賞 選評 『編み拭う日々』岸田怜子

編集A 日々働いて生活している、ごく普通の女性の内面の微妙な変化を、「編み物と掃除」を軸に描いている話で、とても面白か…

新人賞

第226回短編小説新人賞 選評 『世界一サイダーが美味い夏』風見鈴

編集F 文章のテンポが非常に良く、すらすらと読めるのがとてもいいなと思いました。展開にもスピード感があって、最後まで読…

新人賞

第226回短編小説新人賞 選評 『銀河鉄道の夜を読んで』藤紘

編集A イチ推しの一番多い作品でした。話の雰囲気がとても良かったですね。メインキャラの二人の関係性が魅力的でした。 …

2023年10月10日 更新

小説

僕の恋、思い出と勝負するのは分が悪すぎる

我鳥 彩子  装画:加藤 綾華

僕の恋、思い出と勝負するのは分が悪すぎる 第四回

   6  それから数日後の午後、僕はやはり公園にいた。 家を出た時は晴れていたのだが、だんだん雲が広が…

小説

ディストピア飯小説賞によせて 特別書き下ろし短編

深緑野分 / 竹岡 葉月 / 青木 祐子 / 辻村 七子 / 椹野 道流 / 須賀 しのぶ  装画:さーだ

しあわせのパン(著:須賀しのぶ)

ディストピア飯小説賞によせて 特別書き下ろし短編

 パン工場は、二十四時間稼働している。 厳選された素材から生み出された材料の計量から始まり、生地がこねられて等…

小説

ディストピア飯小説賞によせて 特別書き下ろし短編

深緑野分 / 竹岡 葉月 / 青木 祐子 / 辻村 七子 / 椹野 道流 / 須賀 しのぶ  装画:さーだ

おいしい囚人飯 (著:椹野道流)

ディストピア飯小説賞によせて 特別書き下ろし短編/時をかける眼鏡 番外編

 その日、西(さい)條(じょう)遊(あす)馬(ま)は、この世界に来て初めてのタイプの困惑を味わっていた。 テー…

小説

ディストピア飯小説賞によせて 特別書き下ろし短編

深緑野分 / 竹岡 葉月 / 青木 祐子 / 辻村 七子 / 椹野 道流 / 須賀 しのぶ  装画:さーだ

妖精人はピクニックの夢を見る (著:辻村七子)

ディストピア飯小説賞によせて 特別書き下ろし短編

「磐(いわ)土(つち)さん、資料転送しておきますね」「ありがとうございます、林(はやし)さん」 私の名前は磐土…

小説

ディストピア飯小説賞によせて 特別書き下ろし短編

深緑野分 / 竹岡 葉月 / 青木 祐子 / 辻村 七子 / 椹野 道流 / 須賀 しのぶ  装画:さーだ

最後の日には肉を食べたい (著:青木祐子)

ディストピア飯小説賞によせて 特別書き下ろし短編

 わたしの前に肉がある。 世界が入った肉だ。          * * わたしが孝(たか)明(あき)と知り合っ…

小説

ディストピア飯小説賞によせて 特別書き下ろし短編

深緑野分 / 竹岡 葉月 / 青木 祐子 / 辻村 七子 / 椹野 道流 / 須賀 しのぶ  装画:さーだ

E・ルイスがいた頃 (著:竹岡葉月)

ディストピア飯小説賞によせて 特別書き下ろし短編

 サウスアボット基地は月面都市群(ルナ・ポリス)の一部であり、れっきとしたアメリカ合衆国五十一番目の州である。…

小説

ディストピア飯小説賞によせて 特別書き下ろし短編

深緑野分 / 竹岡 葉月 / 青木 祐子 / 辻村 七子 / 椹野 道流 / 須賀 しのぶ  装画:さーだ

石のスープ (著:深緑野分)

ディストピア飯小説賞によせて 特別書き下ろし短編

「何食べてるんですか、博士」と助手は言った。「うん? いいものだよ。実験が成功したお祝いだ!」 博士の手元…

2023年10月1日 更新

まんが試し読み

やり直し悪女は国を傾けない

~かくも愛しき茘枝~

美女の名誉と尊厳と未来をかけた転生やりなおし録!!

喜咲 冬子  装画:夢子

やり直し悪女は国を傾けない~ かくも愛しき茘枝~ まんが試し読み

2023年9月29日 更新

小説

たかが恋の話

阿部 暁子  装画:倉秦

たかが恋の話 最終回

「L大学文学部四年の秋山朝陽です。本日より三週間、お世話になります。誠心誠意励はげみますので、ご指導よろしくお願いいた…

小説

もののけ寺の白菊丸

瀬川 貴次

もののけ寺の白菊丸 最終回

 半分ほどに膨ふくらんだ月が、山の斜面に転々と建つ堂どう宇うの屋根を照らしている。 おかげで、案じていたよりも…

小説

僕の恋、思い出と勝負するのは分が悪すぎる

我鳥 彩子  装画:加藤 綾華

僕の恋、思い出と勝負するのは分が悪すぎる 第三回

   4  斯かくして僕は、翌日から毎日公園を散歩するように命じられた。 榊さかきさんと皐月さつきが代わ…

その他

君と、読みたい本がある 対談

岩谷翔吾

君と、読みたい本がある 対談 第一回

岩谷翔吾さんの『青春と読書』連載、「君と、読みたい本がある」では、物語中に登場する小説を生み出した作家と岩谷翔吾さんの対談も掲載中。 オレンジ文庫公式ホームページでは、誌面に掲載しきれなかったこぼれ話をWEBならではのボリュームでたっぷりお届けします。
小説

夕陽に立つ吸血鬼

赤川 次郎  装画:ひだか なみ

夕陽に立つ吸血鬼 最終回

容疑  表に出ると、河(かわ)辺(べ)みずほは足に力が入らず、よろけて転びそうになった。「しっかりして!…

その他

君と、読みたい本がある あとがき

岩谷翔吾

君と、読みたい本がある あとがき 第二回

集英社の読書情報誌「青春と読書」で連載中の小説『君と、読みたい本がある』。岩谷翔吾による執筆後記と未公開写真をお届け!

2023年9月28日 更新

まんが試し読み

珠華杏林医治伝

乙女の大志は未来を癒す

突然の後宮入り!頼れるのは医学の知識だけ!?

小田 菜摘  装画:ペキォ

珠華杏林医治伝 乙女の大志は未来を癒す まんが試し読み

2023年9月19日 更新

小説

『宝石商リチャード氏の謎鑑定』番外編

真砂なす

辻村 七子  装画:雪広 うたこ

真砂なす 最終回

『宝石商リチャード氏の謎鑑定』番外編

「潔(いさぎよ)く自ら王冠を脱ぎますか? それとも首だけになりますか?」「………………」 リチャードは数分、考…

小説

威風堂々惡女 最終巻発売記念 書き下ろし後日譚

白洲 梓  装画:蔀 シャロン

威風堂々惡女 最終巻発売記念 書き下ろし後日譚

 科(か)挙(きょ)受験者の資格に「性別を問わず」の文言が追加されたのは、聖(せい)太(たい)帝(てい…

小説

たかが恋の話

阿部 暁子  装画:倉秦

たかが恋の話 第三回

 二日後のことだ。 R大付属高校では夏休みに入ってからも各学年向けの夏期講習が行われる。参加するかは生徒の自由…

小説

もののけ寺の白菊丸

瀬川 貴次

もののけ寺の白菊丸 第二回

「では、白しら菊ぎく丸まるはわたしたちが勿もっ径けい寺じに連れて参りますので、乳母めのとどのはここから都にお戻…

小説

僕の恋、思い出と勝負するのは分が悪すぎる

我鳥 彩子  装画:加藤 綾華

僕の恋、思い出と勝負するのは分が悪すぎる 第二回

   3  僕の住むマンションの近くには大きな公園があり、そこを散歩しながら小説の構想を練ねるのが僕の習…

小説

莉国の都・景京

珠華杏林医治伝 乙女の大志は未来を癒す 番外編

小田 菜摘  装画:ペキォ

莉国の都・景京

珠華杏林医治伝 乙女の大志は未来を癒す 番外編

 中ちゅう原げんを支配する大帝国・莉り王朝。 今上の即位より六年目のその日、この国に女子のための医学校が開校し…

小説

夕陽に立つ吸血鬼

赤川 次郎  装画:ひだか なみ

夕陽に立つ吸血鬼 第四回

痕跡 「あれか……」 と、エリカは崖から下を覗のぞき込んで、「これじゃ、引き上げるのは容易じゃないわね」…

2023年9月8日 更新

小説

『宝石商リチャード氏の謎鑑定』番外編

真砂なす

辻村 七子  装画:雪広 うたこ

真砂なす 第三回

『宝石商リチャード氏の謎鑑定』番外編

 リチャードは何も言わず、静かに目礼した。俺もならう。 シャウルさんはややあってから、オーバーに腕を広げた。「…

小説

たかが恋の話

阿部 暁子  装画:倉秦

たかが恋の話 第二回

 今年度の東北高校弓道選手権大会の開催地は福島。R大付属高校弓道部からは、二年生男子重野、三年生女子及川おいか…

小説

もののけ寺の白菊丸

瀬川 貴次

もののけ寺の白菊丸 第一回

 泣いてはいけない。 数えの十二歳になって間もない白しら菊ぎくは、そう自分に言い聞かせつつ、寝殿造しんでんづく…