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eコバルト文庫試し読み連載

亡き王女のオペラシオン

18世紀末、フランス。ある時、王妃マリー・アントワネットの前にひとりの占い師が呼ばれた。異質な雰囲気を漂わせた女は、畏れを知らない様子でこう告げる。
「王家は破滅する運命で、陛下の御子で生き残るのはお一人だけ」と――。
数年後。幼いころから叔母のアンと暮らす少女ソフィーは、タンプル塔という要塞の暖炉係をしている。ソフィーは、ここで暮らすご家族に会うことをなによりも楽しみにしていた。旦那さまと奥さまのご夫婦と、二人のお子さま。ご夫婦はソフィーをいたく歓迎し、ご自身の二人の子どもーーマリー・テレーズとルイ・シャルルと一緒にソフィーにも勉強を教え、そして、ソフィーが歌うのをなによりも喜んで、「ボーシャン(美しい歌)」と親しみを込めた愛称で呼んでくださった。
そのご家族こそ、革命に追われ囚われたルイ16世一家であった。だが、残酷な革命の波から逃れられないことに幼いソフィーも気づいた頃、アンは、驚くべき事実を口にする。「あなたこそが、陛下の末の王女さまなのです」そしてここから逃げて占い師を見つけ出し、運命を変えて、とーー。
革命期のフランスを舞台にした、少女の一代記の幕が上がる!  王妃マリー・アントワネットのもう一人の娘の物語。2023年12月21日、eコバルト文庫より配信決定、『ミッドナイト・モクテル』『Bの戦場』シリーズのゆきた志旗の最新刊を、大量試し読み連載でお届けします!

著者プロフィール

ゆきた 志旗(ゆきた しき)

埼玉に帰化した地方出身者。「Bの戦場」で2016年度ノベル大賞を受賞し、同作でデビュー。2018年に映画化された。おもな著作に「Bの戦場」シリーズ、「小麦100コロス マンション管理士による福音書 不正な管理会社のたとえ」、「昭和小説アンソロジー 昭和ララバイ」(集英社オレンジ文庫)がある。

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ゆきた 志旗