はるおかりのが書く『後宮史華伝』シリーズは、集英社コバルト文庫より第一部全10巻、電子オリジナル短編集2巻が刊行されたのち、集英社オレンジ文庫で第二部を刊行中の本格中華寵愛史劇である。
第一部・第二部とも、物語は一冊完結の連作型式で、架空の中華王朝「凱」の皇室に連なるさまざまな貴人美姫たちによる華麗な恋愛模様が綴られており、巻数を気にせず好きな一冊を読める自由度が魅力。
各巻のヒロインは「音楽」「染め物」「茶」など、それぞれ異なる「特技」の持ち主として描かれており、彼女らが特技を武器にさまざまな事件を解決していく「後宮ミステリー」の一面もある。
さらに、今回刊行された『後宮彩華伝』を読んで興味を抱いた方は、ぜひシリーズを通して読むことをおすすめしたい。
『後宮史華伝』シリーズでは、中華王朝『凱』の盛衰史としても描かれており、シリーズを通して読むと、骨太で重厚な歴史大河ロマンを楽しめる仕掛けになっている。
中国史・中国文化に明るい著者が、全力で構築した重厚な世界観は中華ロマン、歴史ドラマ好きな方の心にも刺さるはずだ。

- テーマは「絵画」。
残忍非道な暴君と化した嘉明帝が虐政をしく凱王朝。美貌と天賦の画才で名を轟かす妓女・柳碧蘭は、第八皇子・高才堅と身分違いの恋に落ち、周囲の反対を押し切って親王妃に迎えられる。しかし、実のところ碧蘭は、才堅を愛してなどいなかった。彼女の願いは、天才絵師と名高かった父を処刑した皇帝への復讐だけ。親王妃になることは、仇討ちのための手段でしかなかった。そして、才堅もまた、愛ではなく、父帝への復讐を果たすため碧蘭を妃に迎えていた。相思相愛の夫婦を装う碧蘭と才堅は、互いの知謀と画才を、目的のために利用し合おうとして――。


- 天才絵師として嘉明帝に寵愛された蕭幽朋の娘で本名は蕭貞霓。父が無実の罪を着せられ死刑となったことで、身分を奪われ妓女に身を落とす。父の仇として嘉明帝を怨んでおり、復讐のために手練手管で才堅を籠絡し親王妃となる。父譲りの画才の持ち主。


- 嘉明帝の第八皇子で成端王。後ろ盾がないうえ、妓女の碧蘭を妃にしたため周囲から蔑まれ、東宮位からもっとも遠いとされている。敬慕していた兄・文耀が、父帝のせいで死に追いやられたことを怨み、父帝に復讐を目論んでいる。だが、その目的は碧蘭とは異なるようで……?
凱帝国の今上皇帝。かつて賢帝と称えられたが、燃灯の変で汪皇后を喪ったことで一変。燃灯の変を起こした怨天教団の撲滅のため、苛烈な虐政をしき暴君と恐れられている。
中級武門・汪家の出身で元女優。皇太子時代の嘉明帝と運命的な出会いを果たし、太子妃から皇后になったが、八年前に怨天教団が起こした「燃灯の変」により死去した。
廉徳王。嘉明帝と汪皇后の実子で、人品になんの問題もなく皇太子となっていたが、燃灯の変で負傷し足が不自由になったため、自ら申し出て廃位された。
安遼王。武芸に秀でた皇子で、夷狄との戦で何度も武功をあげている。兄が廃位されたのち、東宮位に相応しいのは自分であると野心を抱いている。
黎昌王。遊興好きの皇子。享楽的な性格で、東宮位への野心はないように振る舞っているが、父である嘉明帝には思うところがあるようで……。
故人。燃灯の変が起こった際、首謀者であるとの疑いをかけられ、投獄されたのちに自死した。清廉な人柄で、才堅は生前の文耀をいたく敬慕していた。
洪列王に列せられた皇子だが、医師として市中で暮らしており、皇位にはまったく興味がない。才堅の妃となった碧蘭や病弱な弟・寿雷の体を気遣っている。
巴享王。病的な骨董好きで、陰気な性格。燃灯の変後全て処分された蕭幽朋の絵画を唯一保管しており、娘である碧蘭の画才にも興味を示す。
呂守王。柔和な人柄で女装癖があり、常に女物の衣装をまとっている。皇位には興味がないようで、凱王朝の未来についてたびたび悲観的な言葉を漏らす。
霜斉王。生まれつき病弱な体質。二十歳まで生きられないだろうと言われているが、夷狄の薬を服用するなどし、なんとか病を克服しようとしている。
穣土王。臆病な性格で、見栄っ張りの母親から早く王妃を娶るよう急かされ悩んでいる。睍睆と名付けた小鳥だけに心を許しているが……。
碧蘭の父。天下に並ぶ者のない画才の持ち主で、嘉明帝に寵愛されていたが、何者かに燃灯の変に関与していたと嘘の密告をされ死罪になった。
宮廷絵師。碧蘭の父・蕭幽朋とは親しい友人同士だった。父が罪に問われた時、来常逸がかばってくれなかったことを、碧蘭は今も怨んでいる。
嘉明帝に仕える次席宦官。妓女時代の碧蘭の客で、身請けを考えるほど碧蘭を愛していた。出自に秘密を抱えている。
汪皇后の兄・汪成達の息子で翰林院に在籍する官僚。妓女時代の碧蘭の客だったが、妓女は遊び相手と見下しており、碧蘭を傷つけた。
内閣大学士で国政の重鎮。妓女となった碧蘭を最初に買った客。ごく若い少女のみに興味を示す。
都のはずれの小廟で、女道士として茶を喫しつつ穏やかに暮らしていた孫月娥は、勅命で皇兄・高秋霆に嫁ぐことになる。密かに彼を慕っていた月娥は歓喜するが、秋霆は前妻を亡くした際の苦い経験に苦しみ、再婚を望んではいなかった。それを知らない月娥は、恋を叶えるため策を講じ……。
その後の月娥と秋霆は、『後宮彩華伝』にも登場している。
中級武門の令嬢で、生母が女優だったため虐げられてきた汪梨艶は、太子妃を定める東宮選妃に参加することに。家名を傷つけぬよう目立たず過ごしていた梨艶だが、あるとき品行方正な皇太子・高礼駿の隠された素顔を見てしまう。礼駿は、殺された母の仇を討とうと復讐心を燃やしていたのだ。
『後宮彩華伝』で、碧蘭と才堅が復讐心を燃やす嘉明帝は、礼駿が即位した後の姿。彼に何が起こったのか――?
凱王朝は、中原を治める中華王朝。
賢帝たちの治世が続き、長く栄華の絶頂を極めていた。
だが、嘉明帝の四代前・豊始帝の頃から、なぜか皇宮の中で不穏な事件が続くようになり、
王朝転覆を目論む怨天教団の叛乱をきっかけに、
その繁栄には翳りが色濃くなっている。
凱王朝を揺るがした事件の数々
- 嘉明帝の四代前、豊始6年に起こった事件。寵愛を妬まれた豊始帝の寵妃が、ある高楼に呼びだされ火を放たれた。寵妃を救おうと火の中に飛び込んだ豊始帝も崩御。
- 嘉明帝の三代前、紹景6年に起こった事件。紹景帝が催した茶宴で茶に毒が盛られ、皇太子と三人の皇子が落命。紹景帝自身も視力を失い廃位された。今なお真犯人は不明とされているが……。
- 嘉明帝の先代、宣祐29年に起こった事件。弑逆を企むある公主の手引きによって、役者になりすました怨天教徒が皇宮内に入り込み、宣祐帝を暗殺しようとした。
- 今上皇帝の嘉明17年に起こった事件。元宵節の灯籠見物のため市井に出かけていた皇帝一行が怨天教徒に襲撃され、皇太子が負傷。汪皇后は命を落とした。
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『後宮彩華伝』(紙版文庫)のオビについているQRコードから、
『後宮彩華伝』作中で最大の謎として描かれる「燃灯の変」がなぜ起こってしまったのか、
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