ノベル大賞

2021年ノベル大賞受賞者

柳井はづき

2021年ノベル大賞受賞者一問一答柳井はづき

Q.受賞したときの気持ちは?

驚きと喜びのあまり震えが止まりませんでした。今後の予定などを聞きながらも現実感がなく、連絡があった後しばらくは「やっぱ間違いでしたとか言われたらどうしよう……」と割と本気で心配していました。

Q.誰かに受賞の報告はしましたか?

家族・友人には小説を書いていることを話していますし、原稿を読んでもらうことも多いです。特に投稿する作品については感想や疑問点を教えてもらい、それを参考に修正していました。今回の受賞は、家族や親しい人のほか、中高生時代お世話になった先生方に報告しました。

Q.小説を書こうと思った具体的なきっかけはありますか?

保育園の頃から紙をホチキスで綴じて絵本をつくるのが好きだったのですが、小学校高学年くらいから文字だけの物語を書きはじめました。その時分、NHKで放映されていた連続テレビ小説『芋たこなんきん』に描かれていた田辺聖子さんの少女時代の話に影響され、「小説」という形式を意識しはじめた気がします。

Q.小説を書き始めたのは何歳のときですか?

11歳くらいです。初めて書いた小説らしい小説は、特別な力をもった女の子が仲間と一緒に色々な世界を旅する冒険譚でした。当時好きだった漫画にかなり影響されてましたね。

Q.文学賞やインターネットへの投稿歴を教えてください。

小学校6年生(12歳?)のとき、小学館主催の「12歳の文学賞」に応募したのが最初です。それ以前から「小説家になるには何かの賞に応募しなければいけないらしい」くらいの認識はあったのですが、朝のニュース番組か何かでこの賞が紹介されていて、受賞者の男の子が小学生で作家デビューしているのを見て「これは出すしかない」と思いました。なお結果は箸にも棒にも引っかからず、1次選考で落選です。中学高校の間は田辺聖子文学館が主催しているジュニア文学賞へ応募を重ねていました。(この頃に雑誌コバルトを読んでいて短編小説新人賞のことを知り、「いつかは自分も」と思っているうちに休刊になってしまったので、当時はだいぶヘコみました……)
集英社の新人賞への投稿は、大学2年生の時に応募した第194回短編小説新人賞が初めてです。その後、文藝春秋社のオール読物新人賞へも1度だけ別の名前で応募しました。長編に苦手意識があったので、100枚以下の短編で応募できる賞にばかり投稿していました。ノベル大賞に応募したのは今回が初めてです。
ネット公開は性に合わなかったようで、アカウントは作りましたが1作投稿したきり更新がありません。

Q.投稿生活中一番思い出に残っているエピソードはありますか。

選考の結果が出た時のことは全て印象深いですが、短編小説新人賞で最終選考に残った時のことが一番思い出に残っています。なぜかサークルの部室で夜ひとりきりのタイミングだったのですが、結果発表のページを開いて自分の作品を見つけた瞬間でっかい声が出ました。三浦しをん先生が、プロの編集者の方々が、自分の書いた小説を読み批評までして下さるなんて、こんな嬉しいことがあっていいのかとひとしきり悶えました。この時に頂いたアドバイスと、なんとなく生まれた「やれるかもしれない」という自信が、その後投稿を重ねていく原動力になったので本当に感謝しています。

Q.受賞作を書こうと思ったきっかけは?

デュマ・フィスの『椿姫』の序盤に、見ず知らずの女性のお墓をとても愛しんで大切に世話している墓守が登場するのですが、そこから「恋した死者に毎朝花を捧げる年若い墓守」という映像が浮かんだのがきっかけです。

Q.受賞作は、小説を書き始めてから何作目ですか。

小説を書き始めてからは覚えていませんが、新人賞に投稿を始めてからは4作目です。

Q.受賞作の執筆にはどのくらいの期間をかけましたか?

物凄く遅筆なうえに紆余曲折あって結局1年以上かかりました。

Q.受賞作を書いていて一番苦労したことは何ですか?

何につけても、辻褄を合わせなければならないところです。書きたいシーンは最初から決まっていたのですが、そこへ持っていくまでに無数の矛盾や疑問点が浮上し、それらを違和感なく理屈づける作業に苦労しました。また、主人公が思いのほか特殊な人間に育ってしまったので、自分とは全く異なる精神構造をもつ人間の感情がどのように変化していくのか、想像するのに骨が折れました。

Q.執筆スタイルを教えてください。

コツコツやるのが苦手すぎるので、締切を決めたものについては書けるときに一気に書くパターンが多いです。

Q.執筆環境を教えてください。

ノートPCで、Wordを原稿用紙設定にして書いています。思いついた展開や文章・台詞はスマホのメモ帳に残してあるので、適宜参照します。
執筆するのに決まった場所は特にありませんが、自宅以外だとファミレスが多いです。

Q.月に何冊くらい本を読みますか?

コンスタントに読める方ではなく、おまけに何冊も併読する悪癖があるので、本当に月によってバラバラです。平均すると4、5冊くらい……? 殆どが小説です。青空文庫もよく利用しています。怪奇・幻想・耽美な雰囲気のある作品が好きなので、最近はそういうジャンルに偏りがちです。

Q.どんな時にアイデアが浮かびやすいですか?

シャワーを浴びている時や、自転車で移動している時など、他に何も出来ないタイミングが多いです。また、本や漫画、アニメ、映画など、作品を鑑賞しているときに連想ゲームのようにアイデアが浮かんでくることもあります。

Q.キャラ、ストーリー、シーンなど、どの要素から物語を作りますか?

まずシーンが浮かんで、そこからストーリーを考えるパターンが多いです。

Q.設定を考えてから書くタイプ? 書きながら設定を考えるタイプ?

設定を作ってから書くタイプだと思っているのですが、書いているうちに出現する設定の方が多いような気もします。

Q.小説を書くときにこだわっていることはありますか?

文章のリズムは気にするようにしています。同じ表現が続かないようにしたり、逆に対句のように繰り返してみたり。朗読したときに映える文章になれば良いなと思っています。また視覚的にもわかりやすいよう、漢字が続かないようにするとか。どこに読点をつけるか、どの字を開くかで、ずっと同じ文章ばかり眺めていることもあります。

Q.書き終わった小説は自分で読み返しますか?

作業を始めるときに毎回それまでの部分を読み返すようにしているので、受賞作も数え切れないほど読み返しました。ただ締切ギリギリまで書いていたので、終盤に近づくにつれ読み返す回数が減り、推敲が疎かになったことが今でも心残りです。

Q.自分はこれに「萌える」という設定や人物像があれば教えてください。

圧倒的スーツ萌えです。スリーピースのお洒落スーツにめっぽう弱いです。(萌えというよりフェチなのか……?) スーツの似合う素敵紳士、良いですよね。それから「この人がいたら絶対に大丈夫」と思えてしまう、登場した瞬間にほっとするような強キャラが好きです。有名どころで明智小五郎とか。ほどよく薄気味悪いところもポイント高い。
あと、ブロマンスは大好物です。
話は変わりますが先日『宝石商リチャード氏の謎鑑定』にハマり、ひと月の間に既刊全巻+ファンブックまで美味しく頂いてしまいました。激萌えでした。ありがとうございました。

Q.大好きな作家を三人教えてください。

京極夏彦先生、森見登美彦先生、あと時代は遡りますが江戸川乱歩が好きです。

Q.大好きな小説を三つ教えてください。

京極夏彦『姑獲鳥の夏』、森見登美彦『宵山万華鏡』、江戸川乱歩『押絵と旅する男』

Q.小説以外で大好きな作品を三つ教えてください。

ミュージカル「オペラ座の怪人」、映画「ルパン三世 カリオストロの城」、アニメ「ユーリ!!! on ICE」

Q.作家を目指して投稿を考えている方に、アドバイス等あればお願いします!

一度書き始めた作品は時間がかかっても最後まで書き上げたほうがいいです。これは私自身が強く感じたことですし、実際に編集者の方も仰っていたことなので、結構信憑性が高いです。先が続かないという難関を一つ乗り越えるたびに、確実に書く力は上がっています。それに、その物語にエンドマークをつけることが出来るのは書き始めた人だけですから。自分の作品に思い入れをもって向き合うのが大切なのではないかと思います。
あとはもうとにかく「書き続けてください」。これに尽きます。