長い髪の少女が、異人館のテラスに座り込んでいた。此花千景、彼女は幼かったが、くっきりした目鼻立ちや長い手足に、将来美しくなるだろう片鱗を隠さず、ふてくされた子猫のようにうずくまっていた。
図像術の絵を求めて離島に住むブリューゲルのコレクターを訪ねた千景。波田野は邸の庭園でブリューゲルの絵を再現し、そこに図像術を込めようとしていた。庭園を完成させれば絵を見せると言われた千景は庭園の謎を追うが、透磨はそれが千景の父・伸郎の設計だと気づく。父の見えない悪意に苦しむ千景は、さらに波田野の息子が起こした事件に巻き込まれてゆき…。