\6月17日配信開始/
フランシスコ・デ・ゴヤ
黒い絵
1巻『盗まれた絵と謎を読む少女』より
第1巻の題材は、連作『黒い絵』との関連を思わせるゴヤの未発表作と、無名の画家の描いた作品。二枚一組で扱われ、どちらも“愚者の船”の寓意を用いたという絵画は、当然ながら架空の作品ですが、暗く恐ろしい連作『黒い絵』を見ながら作中描写とあわせて読み進めてみると良いかもしれません。
フランシスコ・ホセ・デ・ゴヤ・イ・ルシエンテス 連作『黒い絵』
上:『わが子を食うサトゥルヌス』 1821-1822年 提供:Artothek/アフロ
下:『運命』 1821-1822年 提供:Iberfoto/アフロ
ゴヤが晩年に自身の住居の内壁に描いた絵画の総称で、『わが子を食うサトゥルヌス』は作中でも触れられたように連作『黒い絵』の中でも知名度の高い絵画。
アーニョロ・ブロンズィーノ
愛の寓意
2巻『贋作師とまぼろしの絵』より
千景と透磨が高級画廊プラチナ・ミューズの展覧会に潜入し、見つけたのがこの作品のタペストリー。画廊が扱っているという贋作は見つからなかったものの、後の事件へと繫がる鍵となる重要な位置づけの作品です。多くの寓意を用いて“官能”と“愛”を表現したこの作品は、その複雑さから現在に至るまで様々な角度の解釈で議論されています。
アーニョロ・ブロンズィーノ『愛の寓意』1540-1545年頃
提供:Bridgeman Images/アフロ
ピーテル・ブリューゲル
イカロスの墜落
3巻『幻想庭園と罠のある風景』より
離島に住むブリューゲルのコレクター、波田野氏から千景が出されたある課題の鍵となるのがこの作品。オウィディウスの『変身物語』のイカロスをモチーフとした一枚で、エピソード自体が物語と深い関わりを持っています。
ピーテル・ブリューゲル
左:『イカロスの墜落』1556-1558年頃
提供:akg-images/アフロ
悪女フリート
3巻『幻想庭園と罠のある風景』より
甲冑を着込み、戦利品を抱え闊歩する勇ましい女性の絵画。「フリート」とは、聖女マルガリータの愛称とも言われています。こちらはベルギーに所蔵されている作品ですが、作中には同じモチーフのものが登場します。聖女と悪女の顔を持つ猛女がどのように関わるのか、必読です。
右:『悪女フリート』1562年頃
提供:ALBUM/アフロ
ウィリアム・ホガース
当世風結婚
4巻『当世風婚活のすすめ』より
写真は油彩画ですが、ホガースは同作品を版画家としての下積み時代の経験を生かし、銅版画にしています。作中にはこの油彩画がモノクロになり、左右反転した状態の版画が登場します。この作品は六枚の連作で、いずれも背景に飾られた絵画「画中画」が印象的ですが、最新巻では版画にした際に手を加えられたとされるこの「画中画」が重要な鍵となるようです…。『当世風結婚』の版画は日本の伊丹市立美術館にも所蔵されています。ぜひ一度実物をご覧になってみては。
ウィリアム・ホガース 連作『当世風結婚』1743年
左:当世風結婚1 提供:IMAGNO/アフロ
中:当世風結婚2 提供:Artothek/アフロ
右:当世風結婚4 提供:Super Stock/アフロ