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書籍

文明開化の横濱に、怪異をみる三文絵師あり。

乙女椿と横濱オペラ

  • 600円+税
  • 2020年11月20日発売

海を隔てた遠国では、タイタニック号が氷山に衝突して沈没したらしい。

さまよう女学生の亡霊、古き狗神の祟り、神隠しを起こす男爵屋敷の椿。日常のあいまに「怪異」はふいに顔をのぞかせる。――時は明治末期、異国にひらかれた港町・横濱。女学生の紅は「まことの恋」を夢見つつ、父が貸す長屋に住まう青年絵師・草介の世話をあれこれと焼く日々。草介は幼い頃にあった神隠しのせいで怪異が見えるというが、絵師としてはてんでうだつがあがらない。そんなある日、紅の許婚だった青年・誠一郎が突如、姿を消してしまう。街の人々が噂するには、誠一郎が庭師として出入りしていた屋敷の古椿の「神隠し」にあったという。紅は誠一郎を探しだすために、草介に相談をもちかけるのだが……? 新しき世と古き世の名残が交錯する明治横濱を舞台にした、活発女学生とひねくれ絵師の、恋と怪異の《オペラ》が開幕!

著者プロフィール

水守 糸子(みずもり いとこ)

2018年度ノベル大賞佳作受賞。著書に、同受賞作を改題した「ナイトメアはもう見ない 夢視捜査官と顔のない男」、「モノノケ踊りて、絵師が狩る。―月下鴨川奇譚―」(集英社オレンジ文庫)、「BLANCA エディルフォーレの花嫁」(スイ名義・一迅社アイリス文庫)がある。椿は赤の侘助がすき。

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水守 糸子