サラの午後の仕事は、返却された本の回収から始まる。貸本《千夜一夜 Alf Laylah wa Laylah》では、古びたチェストに手を加えた鍵つきの箱を店先に設置して、利用客が気軽に本を託せるようにしているのだ。
19世紀末・英国。兄アルフレッドとともに貸本屋《千夜一夜》を営むサラの毎日は、ささやかな謎に満ちている。消える蔵書票。店の片隅でひとり涙する少年。そして兄の旧友ヴィクターとともにでかけたピクニックで若い女性の遺体を発見したサラは、やがてロンドンを騒がせる連続殺人事件に深く関わることになり!?名作文学が鍵を握る、ヴィクトリアン・ミステリー!!