これまでの受賞作品

第73回

応募テーマ
タイトル

『うちのお嬢様がいちばんです!』

あらすじ

人間と妖精が共存する国、フィエルテ。王国中の貴族の娘たちは浮足立っていた。まもなく18歳の誕生日を迎えるシャルル王子が、生誕祭の舞踏会でお妃候補を選ぶことになるからだ。有力候補のひとつ、ボードレール伯爵家のメイド長アンヌには悩みがあった。それは、お仕えするマルグリット様が巷で「悪の令嬢」と呼ばれていること……。確かにマルグリット様は気が強いし、高飛車だし、素直じゃなくて誤解されがちだけれど、私はお嬢様のいいところをたくさん知っている!本当は心優しくて気品に溢れたうちのお嬢様こそ、ポッと出のあの娘よりずっと王妃にふさわしいわ! かませ犬では終わらせられない、お嬢様にとっての真のハッピーエンドを目指し、アンヌの奮闘が始まる!

今回の講評

第73回コバルト・イラスト大賞に多数のご応募ありがとうございました。今回のテーマ作品は『うちのお嬢様がいちばんです!』。洋風ファンタジーと解釈する人が多いなか、現代風に描く人もあり、様々な力作が集まりました。ヒストリカル風に描く場合、和洋を問わず、衣装と小物、そして背景をしっかり描けているかどうかで作品の説得力に大きな差が出ます。キャラクターが魅力的に描けたからOKと考えるのではなく、フレームに入っているすべての要素を作品と捉えて完成度を高めましょう。また今回も何人かの方に指摘を入れていますが、モノクロイラストは、グレーの濃淡塗りで仕上げたイラストではありません。陰影をトーン処理した「白黒2階調」で表現するようにしてください。

大賞

該当作なし

入選
chilcyさん(京都府)

人物のイキイキとした表情を描く力に長けているchilcyさん。今回見事入選した作品も、主人公のメイド長アンヌと、アンヌが仕えるマルグリットが、カラーとモノクロそれぞれ異なる表情で描かれており、2人の内面を伝える描写になっている点が評価されました。カラーでの色使いのまとめ方、モノクロの整理された描線など、押さえるべき技巧がしっかり押さえてられています。マルグリットのドレスの裾からチラリと見える薔薇のようなパニエやレースが重なった裏地など、細かい部分まで丁寧に描いているところも好印象でした。

佳作 あと一息

    ふぁ・Gさん
    (愛知県)

    アメコミを彷彿とさせるモノクロイラストのコマ割や大胆な人物の配置がユニークで目を惹きました。一度見ただけで印象に残るインパクトを生み出す意味では大成功です。カラーでも構図の工夫は見られますが、人体デッサンの違和感や背景の煉瓦道の素材感はちょっと気になります。構図づくりのアイデアは秀逸なので、今よりさらに丁寧に絵に落とし込む意識を持ってください。

    うらべさん
    (鳥取県)

    整理されたストローク感のある描線でキャラクターから背景まで描き、彩色部と一体化させたカラーは水彩画のような仕上がりがとても魅力的です。ぼかしの表現で木漏れ日まで表現しているところは高い技巧を感じさせました。魅力的なイラストですが、あらすじに沿ったキャラクター造形ができているかというと疑問符がつきます。絵作りする時に、あらすじを再度確認するとよいでしょう。

佳作

    あおいさん
    (千葉県)

    薄暗い部屋の中で窓からの逆光で浮かび上がる人物、額装画風に埋没する女性たちの中で浮かび上がる王子など、構図づくりにセンスを感じました。カラーの塗りにやや粗さが目立ちます。厚塗りであっても一筆ひとふで丁寧さを意識しましょう。

    界さけさん
    (東京都)

    アンヌとマルグリットのキャラクターがとても可愛く描けていて、モノクロで涙ぐむアンヌの表情は、2人の間で繰り広げられるやりとりを想像したくなります。カラー、モノクロとも背景や小物に苦手意識が感じられるので、避けずに練習を。

    栃尾さん
    (東京都)

    絵柄にやや癖がありますが、自分の個性を確立している点が◎。カラー、モノクロとも構図に工夫が見られる点も好印象です。モノクロの描き込みと比べると、カラーの塗りがやや平面的なのはもったいない。塗りの表現を磨いてみては。

    ないしさん
    (東京都)

    往年の少女漫画風キャラクターが、テーマにマッチしています。モノクロではあらすじに出てこないキャラクターも描かれ、テーマの掘り下げに意欲を感じました。描線は丁寧ですが、もう少しメリハリをつけるとさらによいでしょう。

    梅干太朗さん
    (東京都)

    アンヌもマルグリットもひと癖ありそうで、あえて正統路線外した人物造形や世界観にたくらみを感じました。注意点としては、モノクロは「カラー塗りのグレースケール変換」風に描くのではなく、トーン処理で仕上げる練習をしてください。

    ロンさん
    (東京都)

    大人っぽいキャラクターが魅力的。とりわけカラーは髪の一本いっぽんまで丁寧に描かれて美しいです。一方、モノクロは花や点描のみで背景が描かれておらず、やや仕上げが粗い印象です。カラーとモノクロの完成度を揃える意識をもってみては。

    やまのまさん
    (東京都)

    同系色でまとめながら、人物がしっかり目立つカラーの配色がお見事です。ややシンプルに見える描線も意図的に整理した結果と伝わりました。描きこむ部分と省略する部分を作り、画面にメリハリをつけるとさらに完成度が高められそうです。

    志ゆ木さん
    (神奈川県)

    カラーの微妙な表情、モノクロでの取り乱し方など、アンヌのキャラクター性がしっかり解析されていてユニークです。モノクロ、陰影をしっかりつけた描写ができていて◎。なぜここに? と疑問を感じますがシマエナガもキュートです。

    ききのきさん
    (大阪府)

    カラー、モノクロとも描線や配色に発展途上なところはありますが、瞳の描き込みやハイライトづかいが上手で、キャラクターに目力があるため、見る側が引きつけられます。女性2人の顔が似ているので、人物を描き分ける練習を重ねてみては。

    SUGURIさん
    (大阪府)

    アンヌを美少女メイドに描く人が多い中で、年配の侍女頭として描いたアイデアが技あり。顔はしっかり老女として描けていますが、体つきが若者になっているので注意しましょう。また、モノクロはやや描線の乱れが気になるので注意して。

    能勢ナツキさん
    (愛媛県)

    イキイキとした女性2人の表情がとても魅力的で、モノクロのアンのコミカルな描写も可愛い。また、カラーの花の色選びやアクセサリーのデザインにセンスを感じました。モノクロの描線が平坦なので、もう少し表現をブラッシュアップして。

    なんぶさん
    (長崎県)

    デッサンにやや乱れがありますが、髪や衣装の柔らかい描写、キャラクターの顔立ちなどはとても魅力的。この個性を育てながら、基礎的な技術を磨いてください。他の方にもお伝えしていますが、モノクロは薄墨塗りでなくトーン処理で仕上げましょう。

もう一歩の方

雨瀬さん(北海道)/墨茶さん(福島県)/ちらしまさん(埼玉県)/花咲心月花さん(埼玉県)/前田藍さん(神奈川県)/もぽろさん(神奈川県)/ayabuさん(新潟県)/いどりさん(滋賀県)/MAMAKARI AKARIさん(京都府)/寝鞠さん(大阪府)/峪さん(広島県)/ヤナギヨミさん(広島県)/長門さわこさん(福岡県)