最新選考結果

第81回

応募テーマ
タイトル

『胃袋つかんだら嫁入りするなんて聞いてません!』

あらすじ

時は大正。貧乏な大家族の長女・桜子は、得意の料理を活かして大衆食堂で働き、なんとか生計をたてていた。ある日突然、店に有名な貴族の東がやってくる。「ここで大層うまい料理が食えると聞いてきた。出せ」常連客をおしのけ、横柄な態度の東に怒りつつも、店を守るため、しかたなく「特製とんかつ定食」を提供する桜子。東は「うますぎる……ッ!!」と悶絶。彼はかなりの食通で、家で出る高級料理に飽き飽きしていたらしい。満足して帰ってくれるとほっとしていたところ「おまえが気に入った。嫁にこい」と言われ——!? なかば強制的に結婚した二人。いやなやつだと思っていたけど、食事しているときだけはうれしそうで、憎めない。二人は食を通じて少しずつではあるが距離を縮めていく。ある日桜子に嫉妬したおつきの料理人・琴美から「カレーライス」料理対決を持ちかけられ、負けたほうは東家から出て行くということに!? 卑怯な手を使ってくる琴美に、桜子は勝てるのか。そしてそのさなかで生まれた、「ここを出たくない」という気持ちは一体——?

今回の講評

第81回イラスト大賞のお題『胃袋つかんだら嫁入りするなんて聞いてません!』には、大正時代/嫁入り/料理/貴族/大家族など、イラストに盛り込めそうな設定・モチーフを満載してありました。つまり、まず「どの要素をピックアップするか」が最初の課題になっていたわけです。できるだけ全部盛り込むのか、自分がキモだと思った要素を抽出するのか、どちらが正解というわけではありませんが、絵を見て、あらすじを読んだ時にストンと腑に落ちる作品が高評価を集めていました。また、食べもの関係のイラストは、「テーブルに置かれた料理を、椅子に座った人が食べる」という構図になりやすいので、より正確なデッサン力が求めらるという点も、ぜひ意識していただきたいです。

大賞・入選

該当作なし

佳作 あと一息

    田沼 倉さん(兵庫県)

    ざっくりとした描き方ながら、湯気の演出などがきいた料理がとても美味しそうです。また、人物イラストで、骨格からきっちり男女を描き分けている点が評価されました(若干男性の骨格は誇張されていますが)。お題に入っている「とんかつ」「カレーライス」が描かれていない点、大正時代の電話は「黒電話」ではない点など、細かい点に注意を払って描くと、さらによい作品になるのでは。

    ユズユさん(埼玉県)

    桜子のキャラクターデザインが「大家族を支えて頑張る長女」のイメージを上手に落とし込んでいてとても魅力的です。ライバルの琴美も、桜子と対照的なデザインになっていて絵から立ち位置が分かりやすいですね。料理もカラーは塗り、モノクロは線画で美味しそうに描かれていました。東のキャラがよくある美男子風なので、もう少し工夫してみるとよいでしょう。

    たもとさん(大阪府)

    シンプルながら描線に味がある絵柄で、味わい深い作品でした。カラーは、料理の色を引き立てられるよう赤系の飾り枠や、レトロな小物を配置しているところにセンスが感じられます。モノクロは、少ない描線で躍動感を表現できている点が好印象でした。カラーとモノクロで別のスキルを評価しますので、次回はモノクロをグレーの塗りではなく、トーン処理で仕上げてください。

佳作

    未定さん(北海道)

    「大正時代のお料理もの」というお題のため、茶色や黒を多用した応募作が多かったなかで、デザインに工夫することで爽やかな色調に落とし込めているのが好印象。人物イラストや衣装デザイン、描き込みなどは安定の完成度なので、料理をもっと美味しそうに描けると、さらに強みになりそうです。

    暮部さん(宮城県)

    カラーは真俯瞰で描いた料理がデザイン要素になり、飾り枠や背景の樹木や花の配置にも計算が感じられる完成度の高い構図でした。モノクロイラストのとんかつも、美味しそうに描けています。人物の描線に少しだけ粗さがありますので、ブラッシュアップできるとよいでしょう。

    花見屋まいさん(埼玉県)

    桜子も東も、キャラクターデザインがかわいらしい。表情もとても魅力的で、応援したくなるような魅力があります。ただし、東が貴族というには服装が庶民的かも。テーブルと椅子を絡めた人体デッサンや背景パースなど、もう一押し頑張ってみるとさらに完成度が上がるでしょう。

    まいけさん(東京都)

    お題が既に要素盛りだくさんのところ、さらに「東の眼帯と義足」「子供のような容姿の桜子」「番頭や戦友、飼い犬といったサブキャラたち」と、自分なりに多彩な解釈を加えて絵に落とし込んでいるのが◎。カラーは東と桜子の大きさに違和感があるのが少し気になりました。

    もふにさん(東京都)

    桜子ではなく東をメインに据えた構図は他の応募作には見られず、アイデアの勝利という印象です。桜子をアップで描いていないのに、猫娘風の勝ち気な感じが醸し出せているのもいいですね。モノクロで背景に網点風処理をかけて、主役2人にきちんと目が行くように描けているのもよかったです。

    五十嵐川こみちさん(新潟県)

    桜子を花嫁姿で描いているのが非常に華やか。タイトルから「嫁入り」をピックアップしている作品は少なかったので目を引きました。料理も美味しそうに描けています。モノクロはコマ割風のコミカルな描写がかわいいのですが、描き込みが画一的なので、もう少し視線誘導を意識したいところです。

    樫ノふうさん(新潟県)

    桜子も東も、表情に味がありとても魅力的です。また、整理された描線も絵柄に非常にマッチしています。モノクロは、料理の湯気をデザイン要素として描きつつ、人物紹介として完成度の高い構図。小物や背景が多少ラフに見えるので、デフォルメしつつ雑にならない仕上げを研究してみては。

    睦城亮介さん(愛知県)

    カラーは「嫁入り」を赤い糸や指輪で表現したり、「桜」湯を描いていたりと工夫が光ります。モノクロは、物語冒頭とその後夫婦になった二人の関係性の変化を自然に表現できているのがとてもよいです。ユニークな構図の魅力を引き出せるよう、デッサン力をさらに磨いては。

    天宮小鉄さん(大阪府)

    桜子と琴美、タイプの違う女性キャラを魅力的に描けていて、デフォルメされた東もかわいらしい。トーン処理もこなれており、モノクロイラストの高い完成度が光っていました。一方、カラーは肌色や衣装など、やや着彩が平板に感じられるところがあります。「塗り」のスキルアップを意識してみては。

    サンコダさん(大阪府)

    人物から背景、小物まで仕上げに隙がなく完成度が高いです。描かれている料理の質感はもちろん「料理を食べている人間の所作や表情が美味しそうに描けている」点は特に良かったです。細部まで精密に描き込まれているだけに、「この絵の主役が誰か」をもう少し意識して描くとよいかも。

    ミカリさん(岡山県)

    桜子は表情やポーズ、桜の花模様の衣装など、トータルで見てとてもかわいく描けています。恋敵(?)の琴美も、ライバルとわからせながら憎めないデザインでよいです。女の子と比べて、男性がやや地味に見えるので、お題通りもう少し貴族らしく描いてもよかったかも。

もう一歩の方々

夏乃さん(茨城県)/ジャノメさん(東京都)/白城さん(神奈川県)/みたらしだんごさん(愛知県)/tukkiさん(京都府)/アキラさん(大阪府)/あずきあんこさん(大阪府)/ツクシミヲさん(大阪府)/稲猫ネムさん(兵庫県)/真弓あいりさん(兵庫県)/広華心さん(沖縄県)