これまでの受賞作品

第70回

応募テーマ
タイトル

『降っても晴れても美味しいごはん』

あらすじ

とある事情により入社2年目で大手食品会社を辞めてしまった小手川舞は、貯金で食いつなぐために格安物件を探して引っ越した。築50年のその小さなアパートで舞が親しくなったのは、小学生のはずなのに昼間もずっと家にいる少女・千世。くわしい事情は教えてくれない千世だが、毎日のようにお総菜を持ってきてくれるようになる。しかも、どれもびっくりするほど美味!一度親御さんにご挨拶を、と舞が申し出ると、千世が紹介してくれたのはどう見ても二十歳そこそこの男子。薫と名乗る彼は千世の父で、これまで差し入れてくれた食事はすべて自分が作ったというのだが―― ?

今回の講評

第70回のテーマ作品『降っても晴れても美味しいごはん』は、物語の中心を占めるキーワードとして「美味しいごはん」が設定されています。これに対する応募作は、「ごはん」を正面からとらえて描くものとそうでないものに大別されました。当イラスト大賞ではこれまで「背景」「小物」を描く力の重要性について繰り返しお伝えしてきましたが、「料理」についても同様です。「美味しいごはん」という作品の表紙にごはんを描くわけですから、料理の比重が大きいにせよ小さいにせよ、「美味しそうに見える」ことが前提となります。応募作品に料理のイラストが必ず入っていなければならないわけではありませんし、料理を大きく描いていない作品にも佳作以上の評価を受けたものはありますが、提示されたお題に真正面から取り組んでいるという点で、料理をしっかり描いた作品からは作者の気概が伝わりました。

大賞

該当作なし

入選
山地梨穂さん(高知県)

メインに描かれているわけではないけれど、さりげなく配置された料理がどれもおいしそう! カラー・モノクロとも構図に工夫があり、かつ「表紙」「人物紹介」として使える構図に着地させている点が、よく考えられています。背景にヒロイン・舞の住む「築50年の小さなアパート」が描かれていますが、古さとレトロなおしゃれさが絶妙のバランスで表現できているのも好印象でした。キャラクターは、体格等リアルに描くことを意識しているようです。今回のテーマでは、それが作品テーマにフィットしていますが、ファンタジー等、現実を離れた世界観の作品では人物の描き方を工夫するとよいかもしれません。

佳作 あと一息

    あけやさん
    (埼玉県)

    カラーの着彩がとても自然で、軽い塗りでありながら料理の質感をしっかり表現できているのがいいですね。「入社2年目で仕事を辞めた」舞、「二十歳そこそこの男子」薫と、設定された年齢をふまえた人物造形ができていますが、舞に「貯金で食いつないでいる」感がない点は一考を。また、カラーと比べてモノクロの仕上げが平面的になっている点、背景の描き込みがやや薄く、パースに違和感がある点は気になります。

    あおみ現場さん
    (東京都)

    描かれている舞、薫、そして薫の娘・千世。3人とも表情が非常に魅力的で、高感度の高いキャラになっています(舞と薫を大きく描く作品が多い中で、あえて千世にクローズアップしている点にも目が留まりました)。表情が魅力的に描けているのは、目や髪の表現はもちろんのこと、しなやかで躍動的な描線の力が大きいです。今回は「背景なし」でも成立する構図になっていますが、背景ありの作品にもぜひ挑戦してください。

    にわ田さん
    (神奈川県)

    イキイキとしたキャラクターが魅力的。表紙は家庭的な料理を全体に配置して、「料理」が物語の中心になることをしっかり表現できています。かつ、どの料理も色づけが自然で美味しそうに描けている点が評価されました。注意してもらいたいポイントは、キャラクターの描き分け。女の子・千世は薫(男の子)の娘という設定ですが、舞と顔がそっくりなので舞の娘に見えてしまいます。人物の顔をしっかり描きわけられるよう練習を。

佳作

    架月七瀬さん
    (埼玉県)

    イラストに独自のキャラシートをつけて応募されており、製作に際しきちんと作品を掘り下げる努力が伝わりました。男女とも大人キャラの顔のパーツの描き方にややクセがあります。次回はもう少しニュートラルな造形にもチャレンジしてみては。

    7:24さん
    (埼玉県)

    キャラクターデザインにも着彩にも、一度見たら記憶に残る個性があるのは強みです。ただし、まだまだ描線が荒くデッサンにも甘さがあるので基礎力を磨いて。料理をたくさん描いている点は評価ポイントですが、画一的な色にならないよう工夫しましょう。

    月子さん
    (埼玉県)

    これまで2回「佳作あと一息」に入っており、細部まで手を抜かない描き込みがお見事。ただしその影響で人物の印象が薄くなったり、せっかく描き込んだ料理に目が行かないのはもったいない。自分がこのイラストで見せたい物は何なのか「引き算」で考えてみるとよいでしょう。

    唯奈さん
    (埼玉県)

    男性・女性・子どものキャラを、顔・体を含めてトータルで描きわけているのがよいですね。その分、若干デッサンに過剰さが感じられる(例:薫の手の大きさなど)のは改善点ともいえます。サラッとした塗りながら質感を表現できるカラーの塗りは好印象でした。

    whimhaloooさん
    (東京都)

    描線がこなれていて、女性キャラも男性キャラも絶妙な「らしさ」で描いています。表情がイキイキしている点も◎。人物と料理以外はカラーもモノクロも装飾のみで埋めている点が気になります。どちらか一点は背景込みで表現するようにしてみましょう。

    榎木ゆいさん
    (東京都)

    人物、料理、背景までしっかり描いていてとても好印象! 「降っても晴れても」というタイトルを、湯気の虹やてるてる坊主で表現する工夫も評価ポイントです。カラーの塗りのぎこちなさが気になるので、ぜひ「塗り」の技術を練習してみてください。

    サトツキさん
    (東京都)

    描線が洗練されており、サラッとした描き方の好感度の高い絵柄です。ただし今回のテーマ「料理」は、「サラッと」では美味しそうに見えないのが難しい点。絵柄とのバランスを取るのが難しいですが、背景や小物の表現も研究してみては。

    みかこさん
    (東京都)

    カラー、モノクロとも3人のキャラを同じ表情にしない工夫がありますね。絵柄もほっこり系の作品に合いそうな温かみが伝わります。一方で、モノクロは背景がすべて定規で直線を引いたような絵になっていてパースに違和感があります。平面的にならないよう構造に工夫はしましょう

    Shihoさん
    (福井県)

    「ほっこり系」のイメージに寄せず、あえて自分の絵柄と個性を貫く作品で応募してくれたShihoさん。今回はやや作品のイメージとマッチしていない点が気になりますが、どこまで自分の個性を置いて描ききれるか、その意欲に注目しています。

    高橋えむ太さん
    (大阪府)

    きっちりキャラクターデザインを詰めて描いている投稿者さんです。きちんと背景や料理の描写に取り組んでいるのも素晴らしい。基礎力はありますので、イラストのどこを見せたいのか、視線誘導を意識した構図作りにも挑戦してみては。

    ヒポポンゴさん
    (兵庫県)

    ほどよく力みの抜けた描線、コミカルな人物の表情はお見事です。料理もあくまで背景のひとつとして描かれていますが美味しそう。表情によっては、ヒロインの舞が男の子のようにも見えてしまうので、キャラの男女の描き分けをもう少し意識してください。

    ペキォさん
    (兵庫県)

    お皿や小物を含めた料理がリアルに描けていてとても美味しそう! 舞をほっこり系の美人キャラにしておらず、設定を自分なりに膨らませることができていますね。その場合、カラーとモノクロで少しキャラの表情や服装・ポーズを変えると、人物造形に奥行きが出るかもしれません。

    WEST POTATOさん
    (岡山県)

    キャラ、背景、小物までとても完成度が高くバランスのよい作品です。かつ、カラーもモノクロも完成度が揃っています。女の子が口を開いた表情にやや違和感があるので要注意。次回また違ったテーマでの作品づくりに期待しています。

もう一歩の方

あまねみさき(北海道)/柏田みのり(埼玉県)/夕陽みか(埼玉県)/あおたき(東京都)/ないし(東京都)/七峰さち(東京都)/ろーと(東京都)/アザカ(神奈川県)/なじょ(神奈川県)/春風緑(神奈川県)/よしひか(神奈川県)/りょふ彦(神奈川県)/KENTO OKAYAMA(愛知県)/細川おうぎ(愛知県)/鶉屋ちか子(京都府)/あみず(大阪府)/美沙(大阪府)/荒木ノブナガ(兵庫県)/てった(兵庫県)/ヤナギヨミ(広島県)/小鳩白果(福岡県)