これまでの受賞作品
第69回
応募テーマ
タイトル
見たこともない妖喫茶 驚
あらすじ
4月から、念願叶って菓子メーカーで働きはじめた岩谷円香。三食お菓子でもOK、まさに天職! 無類のお菓子好きを自負していた円だが、その味覚に異変が!? ありとあらゆる菓子が食べられなくなってしまったのだ。心当たりは、入社式前日に立ち寄ったヘアサロン。偶然、隣に座った美魔女に勧められるまま飴ちゃんを口にしたこと……。「うちのお店で、手作りしてるの」と渡されたショップカードには―― 極小の文字で書かれていた。「あやかしきっさ、お…オドロキ?」……怪しい!! 早速、円香は味覚を取り戻すべく書かれた住所を目指した。古びたドアを開けると―― 見たこともない妖の店員が顔を出して!?!
今回の講評
今回のお題は、なんといっても「見たこともない妖」というモチーフが特徴で、編集部では、応募者のみなさんがここをどのように表現するのか、という点に注目していました。最終選考に残った作品では、ツノや獣の耳をつけた美形キャラ、あるいは古来の「妖怪」のイメージで描かれているものに大別され、やや安直さが拭えなかったところが気になるところです。選考では、プロとして通じる画力の有無はもちろん、「作品をどう解釈しているか」という点も評価ポイントとしています。プロのイラストレーターとして活躍するには、与えられた「お題」をいかに自分流に料理できるか、という能力が求められます。画力の向上を目指すのはもちろん、読解力・柔軟な想像力を養ってください。
大賞
該当作なし
入選
たかはた風嘉さん(兵庫県)
ヒロイン円香の「無類のお菓子好き」という特徴を、カバー(カラー)・人物紹介(モノクロ)の双方にしっかり盛り込めているところは、作品をしっかり噛み砕いて描こうとする意欲が伝わりました。円香の明るい現実感、「妖」店主の暗い妖艶さを対比的に描くことで、二人の関係は…?と、1枚のイラストで見る人の興味を惹く見せ方になっています。前回の投稿で指摘された「カラーの塗り」をしっかり改善しているのも好印象です。
佳作 あと一息
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月子さん
(埼玉県)とても華やかな絵柄。この派手さは武器になります。ただし、カラー・モノクロとも描き込みすぎは視線を惑わせるので注意。モノクロをきっちりトーン処理で仕上げる技術はお見事ですが、「人物紹介イラスト」のお題をクリアできているかは一考を。
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mugicoさん
(兵庫県)カラーの構図がユニーク。全体を青系で統一しながら、光にそって「飴ちゃん」や「驚」の燈籠など、物語につながる小物へ自然と視線を誘導できています。ただし、円香の服装は学生に見えるので注意を。モノクロはややごちゃついた印象。線の整理を意識して。
佳作
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犬飼 陽さん
(埼玉県)絵柄と世界観のオリジナリティ、埋没しない個性が高く評価されました。店員のツノがサボテンになっているのがなんともユニーク。画力はまだまだ荒削りな部分が見られますので、技術の底上げができるよう、たくさんの作品づくりを通して練習してください。
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シンイナイトレイさん
(東京都)カラーは「見たこともない妖喫茶」というテーマに果敢に挑戦していてGood! モノクロが「人物紹介」になっていないのが残念。応募要項をよくチェックして。今回思い切り不気味さにふっているので、次回違うテーマでテイストの違う作品も見てみたいですね。
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サトツキさん
(東京都)これまでの応募ではアニメっぽい絵柄でしたが、今回は水彩画風に塗りを変えて異世界感を演出してくれました。女店主をあえて「妖艶な美女」にしていないのも面白い。カラーとモノクロでキャラの表情がまったく同じになっているのは改善ポイントです。
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弓小寿々さん
(東京都)細部の描き込みが素晴らしく、抜群の技術がある描き手さん。「驚」の看板デザインもおしゃれ。カラーの色付けを一部に留めているのは意図があるとわかるのですが、2枚の作品が同じトーンに見えてしまうのはもったいない。構想にあと一息ご配慮を。
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ロンさん
(東京都)かわいさの中にどこか蠱惑的な雰囲気もある円香の表情が魅力的。たくさんのお菓子が描かれ、レトロなカフェに誘うよう。ただしこの構図では、丁寧に描かれたお菓子がすべてオビで隠れます。本の体裁を踏まえたリアルな作品づくりも大切です。
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shihoさん
(福井県)前回に引き続き濃淡のメリハリの利いた作品。群像劇風の構図が得意で、複数のキャラを破綻なくまとめる力量は評価できます。モノクロ、描き込みを抑えるのであれば描線の美しさをもっと追求したい。そして「驚」店主の美魔女も描いてほしいところです。
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ろまんさん
(三重県)ヒロイン円香がかわいく、親しみのもてるキャラクター造形です。華やかさのあるカバーですが、「妖喫茶」の要素を表現していないのが惜しい。カラーをこの路線でいく場合、モノクロで喫茶店描写を入れるなど、2点で完成させることを意識してください。
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chilcyさん
(京都府)キャラに躍動感があり表情もイキイキと描けています。カバー・人物紹介としてしっかり練り込まれた構図も◎。人物の体つき、少年らしさ・女性らしさを強調しようとするあまり、やや人体デッサンと姿勢に違和感があります。デフォルメしすぎに要注意。
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あみずさん
(大阪府)カバーの円香のポージングに工夫あり。もふみがあるコミカルな黒猫、レトロな妖怪たちも好感度が高そうです。キャラクターの「顔」はどれも力をこめて描かれていますが、背景がやや雑になっています。効果にたよらずしっかり描き込む練習も重ねてみては。
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麦春あやみさん
(大阪府)キャラクターの表情の付け方が秀逸。男性キャラのクセのある表情にはやや賛否が分かれました。ただ、顔以外の部分の描写が全体的に荒いのが気になりました。特に描線が描き殴ったように見えるのは残念です。細部まで美しい線で描きましょう。
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ヒポポンゴさん
(兵庫県)ほっこり系、とひと言で言い表せないテイストで、独自性が評価を集めました。カラーは太い描線でシンプルかつ大胆に描かれていますが、後方の妖怪やや店内は細かく描きこまれており、描写力に確かなものがあると感じさせてくれました。
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WEST POTATOさん
(岡山県)僅差で「あと一息」枠を逃しましたが、構図も絵柄も秀逸で実力を感じさせる作品です。モノクロで描かれた3人のキャラに、それぞれ異なる「目力」があるのが◎。小物まで神経が行き届き完成度が高いので、これを維持できるよう次回もぜひ頑張ってください。
もう一歩の方
Latto(北海道)/あけや(埼玉県)/うもう(東京都)/ねもこ(東京都)/アザカ(神奈川県)/にわ田(神奈川県)/サンチョス紫苑(新潟県)/碧くるみ(大阪府)/萩原イド(佐賀県)/桐葉こぞ(沖縄県)