これまでの受賞作品

第68回

応募テーマ
タイトル

「覆面作家のマネージャーはじめました。」

あらすじ

高校二年の夏休みが明けた頃、花村璃子のクラスに転校生がやってきた。樋渡冬矢というその生徒は、線の細い男子だった。ぼそぼそと喋るので声は聞き取りづらいし、長い前髪で目も半分隠れた陰気な雰囲気。しかし璃子は塾の帰りに、冬矢が大人の女性と一緒にファミレスの窓際の席で熱心に話し合っているのを見つけてしまった。興味を引かれた璃子がこっそりと近くの席に座って耳をそばだてると、冬矢は昨年デビュー作で大ヒットを飛ばした覆面推理小説作家で、編集者と次回作の打ち合わせをしているのだが、どうやらプレッシャーから書けなくなっているらしく……?!

今回の講評

今回のお題は、「高校生男女が主人公となる現代物の小説」でした。単にイラストを描くのではなく、カバーの構図や人物紹介のページ構成なども考えながら描く必要があります。テーマをどのように解釈したかをまとめたレポートつきの作品や、カラーイラストをカバーデザイン風に仕上げたものを添付した作品などがあり、さまざまな工夫が感じられました。一方で、「作家」というキーワードを「原稿用紙+万年筆」という小物で表現しようとする人が非常に多かったです。現在はイラストと同様に、小説執筆もデジタル環境で行う人が増えています。現代物に関しては、イメージだけで描くのではなく、ある程度情報収集を行って作品を作ることで、さらに説得力のある仕上がりになるでしょう。

大賞

該当作なし

入選
Amitさん(東京都)

表情がイキイキとしていて、男女とも人物がとても魅力的。また、笑顔だけでなくいろんな表情を描いているので、見る側が「どんなキャラだろう」と興味を抱けます。カバー・人物紹介としては、ツボをうまく押さえた作品です。

玖住さん(兵庫県)

淡い色使いと柔らかい描線がよくマッチしています。派手さを抑えたシンプルな絵柄ですが、背景や小物の線をデフォルメし、人物に目線を誘導できているのも好印象。男女の描き分けがやや曖昧なのでブラッシュアップを。

佳作 あと一息

    鍋木さん
    (東京都)

    背景まで緻密な描き込みが世界観を伝えていてお見事です。若干パースに違和感があるので注意して。カラー(カバー)はオビで隠れる位置に重要な小物=原稿用紙が配置されているのがやや気になります。

    ロンさん
    (東京都)

    女子キャラの髪の柔らかな表現、感情の伝わる瞳が魅力的です。人物は丁寧に描けているのですが、カラー・モノクロとも背景や小物がやや雑に見えてしまうのがもったいない。細部の完成度アップを。

    碧くるみさん
    (大阪府)

    カラーは対照的な色使いで男女が引き立てあっているのがよいですね。ただ2点とも背景が真っ白では手抜きに見えます。片方が白背景ならもう片方は背景をつけるなど、お題を踏まえつつメリハリをつけて。

佳作

    済々野さん
    (宮城県)

    体つきや髪の柔らかな描線は、人物の生命感が伝わって魅力的。カラーはカバーになることを意識した構図作りが好印象です。人物以外が極端にシンプルなので、あと一息描きこんで。

    水野カワ喜さん
    (埼玉県)

    カラーは物語の内容をしっかり伝わるよう、構図がよく練られています。モノクロは躍動感があるポーズですが線が硬くどこか静止画めいているので、線の強弱で動きを出してみては。

    梅野さん
    (東京都)

    両方の作品で、原稿用紙を使った演出が効果的。女の子のはにかむような表情も魅力があります。一方男性キャラの表情がちょっと怖いので、「陰気=無表情」ではないキャラ作りにも挑戦して。

    黒沼ぴょこさん
    (東京都)

    カラーの構図、タイトルやオビの配置も意識されており工夫が感じられて○。ただし人物デッサンに違和感があります。関節のつながり、体のパーツのバランスをもう少し練習しましょう。

    むらきさあやさん
    (東京都)

    華のある絵柄で、男女とも目力があります。ただしモノクロで、動きのある人物の表情が少し硬いのが気になります。大きな表情の変化を自然に描けるようスキルアップを目指してください。

    七味れんげさん
    (石川県)

    お題を独自に解釈したレポートつきの応募で、作品を自分のものにしようとする努力が伝わりました。イラストは全体的に描き込み不足が目立ちます。背景効果に頼りすぎない作品づくりを意識しては。

    shihoさん
    (福井県)

    独特の世界観が醸し出された絵柄。特にモノクロはメリハリがきいて魅力的です。カラーは企みのある構図ですが、描きこみが均一。どこを見ればいいか目線が迷うので、フォーカスポイントを作って。

    たかはた風嘉さん
    (兵庫県)

    描線がこなれていて人物の表情も自然。モノクロ後方の人物が、あらすじの「女性編集者」とわかるよう描けているのも○。カラーの塗りが少しのっぺりしているので、もう少しタッチをつけられるとよいかも。

    ペキォさん
    (兵庫県)

    男女の対照的な表情が素敵! やや暗めの男子の表情も不機嫌に見えない塩梅がお見事です。モノクロで作品の世界観が伝えられているのもいいですね。2作品の表情が似ているところは注意してください。

    栄末イチさん
    (和歌山県)

    女子のはつらつとした表情が素敵です。モノクロで、リアルな書影を小物に使う工夫も○。人物の体が男女とも少し筋肉質でいかついので、イラストとしてのリアリティを意識して描いてみては。

    咲田さん
    (山口県)

    カラー、塗りに手描きならではの味があります。全体に色を載せながら、人物が目立つよう主線の強弱でメリハリをつけられているのも○。モノクロ、人体のバランスが一部おかしいのでご注意を。

    ハルヒマチさん
    (大分県)

    カラー、モノクロとも構図に目が留まりました。ただし人物が薄味すぎるのはウィークポイント。また、全身を描くのが得意なのかもしれませんが、アップを魅力的に描く練習もぜひ意識してください。

    カサカさん
    (台湾)

    陰気=気弱と解釈した男子のキャラ、かわいさがあり魅力的です。描線も細く丁寧。細い線を重ねる描き方は、一歩間違えると線が雑に見えるので注意して。カラーの背景の小物使いも洒落ていて好印象です。

もう一歩の方

    アザカさん(神奈川県)
    くろうまさん(兵庫県)
    山本せとさん(広島県)

かしこ(千葉県)/shiroko(東京都)/はる樹(東京都)/旭梨花(神奈川県)/アザカ(神奈川県)/サンチョス紫苑(新潟県)/mugico(新潟県)/イナガキスミカ(愛知県)/イリーシア(愛知県)/さく之輔(愛知県)/弥生(愛知県)/花緑青(福井県)/和泉十花(京都府)/chilcy(京都府)/阿部佑仁(大阪府)/鈴うに(大阪府)/夕月(大阪府)/くろうま(兵庫県)/山本せと(広島県)/山地梨穂(高知県)/バビリン(福岡県)/深田華央(大分県)