これまでの受賞作品

第67回

今回の講評

今回も力作が集まりました。ご応募ありがとうございます。「コバルト・イラスト大賞」の講評では、これまでアナログ/デジタルの特性の違い、デッサン、構図のメリハリ、背景の重要性……など、イラストを描く時に注意を払いたい様々なポイントをご紹介してきました。どれも完成度を上げるためには欠かせない要素ですが、もうひとつ注意していただきたいのが作品の「物語性」。そこに描かれている人物がどんな人か? どんなシーンが描かれているのか? 小説の挿絵・装画では、1枚のイラストで作品世界を表現することが期待されます。コバルト・イラスト大賞は、リニューアルのため今回で一旦作品募集を休止していますが、リニューアルオープンの際には、皆様にそんなところも考えながらイラストを描いていただけるようなテーマ作りを予定しています。ぜひ、今後の募集再開にご期待ください。

大賞

該当作なし

入選
líさん(三重県)

統一感のあるカラートーンの中に、反対色の女性の髪色を配し、見る人の視線をきっちりキャラへ誘導できているlíさんのイラスト。ゆらぎのある描線が、無機質になりがちなデジタルイラストのデメリットを中和していて魅力になっています。あっさりした描き方ながら、キャラクターに目力があるのもいいですね。とはいえ、まだまだ技術的には発展途上。衣装の細部などでは粗さが目立ちますので、隅々まで気を抜かず仕上げることを心がけてみてください。

佳作 あと一息

    アサヒユウさん
    (宮城県)

    一見不穏なものを感じさせるようでありながら、どこか目を離せない不思議な魅力で評価を集めたアサヒユウさんのカラーイラスト。両作品とも、奥行きを意識した構図になっていることも好印象です。ただし、遠近感や小物の配置に違和感がある部分も。キャラの魅力はきっちり描けているので、背景の完成度アップを意識してください。

    サトツキさん
    (東京都)

    絵柄も描かれているキャラクターも爽やかで、好感度が高いサトツキさんの作品。整理された描線で、かわいい少女をきっちりかわいらしく描けている点がGoodです。背景がやや書き割り的で奥行きのなさが弱点なので、今後はぜひ立体感のある作品作りにチャレンジしてみては。

佳作

    三日大豆さん
    (北海道)

    レトロポップなカラーと、物語の1シーンを描いたモノクロ。2点の作品で自分の強みを表現できています。小物や草花の描き方がとてもこなれており、演出も上手。関節の位置や手足の太さなど細部の人物デッサンに若干の違和感があるので注意してください。

    屋やゆこさん
    (埼玉県)

    華やかな絵柄で、キラキラした憧れの世界をめいっぱい描けているのが◎。女の子の長い髪の描き方、衣装やポーズも素敵です。男女差をつけることを意識してか、男性の輪郭や首の太さなど少し誇張しすぎのところがあるので、もう少し練習を重ねましょう。

    羽宮ゆづるさん
    (東京都)

    描かれているキャラに幅があり、タイプの違うキャラクターを描きわけているのが好印象。物語を感じさせる画作りにもチャレンジを感じます。カラーは少女のポーズなど躍動感を意識していると思われるのですが男性キャラの描き方で静止画に見えます。注意して!

    海老澤詩菜さん
    (神奈川県)

    デフォルメされたキャラクターに独自のファンタジックな魅力がある海老澤さんのイラスト。かわいいキャラに、やや重厚感のある背景を組みあわせているのも意欲的。次回は、カラーとモノクロでタイプの違う作品に挑戦してみては?

    サンチョス紫苑さん
    (新潟県)

    カラーもモノクロも、男女のロマンスを感じさせる作品。戸惑う表情が魅力的に描けています。露出度が高くない衣装は男女差がやや伝わりにくいので、骨格のリアルさを意識し男らしさ・女らしさが出せるとさらに完成度がアップするでしょう。

    くかつまさん
    (愛知県)

    カラーの「塗り」の表現に持ち味があり、構図にも工夫があります。塗りを強調して描線がおろそかになっています。丁寧な塗りは、美しい描線と組み合わせることでより美しさが際立ちます。ぜひ描線のクリーンナップを。モノクロはコントラストのつけ方が◎。

    高崎真晴さん
    (大阪府)

    カラーもモノクロも、キャラの髪の一本いっぽん、衣装の細部や装飾品、背景まで緻密に描き込む集中力と技術は相当なもの! 構図のメリハリを意識し、描き込むところ、あえて「抜く」ところを作って視点誘導を考えた作品作りに挑戦してみてください。

    ペキぉさん
    (兵庫県)

    メリハリのきいた構図、キャラの表情・ポーズまで躍動感溢れるモノクロと、ふんわりしたカラーが対照的な応募作。カラーは描線が彩色になじみすぎているので、もう少し色選びを練習してみるといいかも。次回作に期待しています。

    山田さねさん
    (兵庫県)

    描線を整理し、小物をモチーフのひとつとしてフレームをまとめるカラーはお洒落。一方でモノクロはやや描線が粗く見え、あべこべの印象を受けます。多くの投稿作品に見られる傾向ですが、カラーとモノクロの完成度を揃えるよう頑張ってください。

もう一歩の方

零崎ぜん(福島県)/吉貴(千葉県)/黛こゆり(埼玉県)/夢こごめ(埼玉県)/UDUKIAD(東京都)/えんぴつのシン(東京都)/金韶珍(東京都)/ないし(東京都)/藤城まつり(東京都)/朝日百子(神奈川県)/鮫島宙(神奈川県)/甘気(山梨県)/三木サイダー(岐阜県)/絢原(愛知県)/鯉江めぐみ(愛知県)/美羽(愛知県)/すずめ(富山県)/DNA(滋賀県)/すの(京都府)/黒世あいり(大阪府)/時政トキト(奈良県)/□×□(兵庫県)/よもすがら(兵庫県)/コロボックル(広島県)/青葉(熊本県)/Siena(韓国)