創刊にあたって
私が中高生の頃に愛読していた作家は、氷室冴子、新井素子、赤川次郎、栗本薫などの各先生方。
これらの作品は、それぞれ少女小説とかSFとかミステリーとかファンタジーといったジャンルでくくられていました。
が、私は別にそのジャンルに惹かれていたわけではありませんでした。読んで楽しい、素敵な登場人物の活躍が見たいと思ったものを選んだ結果がこれらの作品群だっただけなのです。
近年、「ライト文芸」ジャンルが活況を呈していると言われていますが、そもそもライト文芸としてくくれる作品は、これまでもあらゆるジャンルの中に紛れていたのだと思います。
個人的にはライト文芸の定義とは「登場人物が魅力的であること」。漫画の世界では「キャラが立つ」などと言います(最近は実生活でも使われる表現ですが)。
つまりライト文芸とは別に新しいジャンルではなく、これまで漫画やライトノベルが当たり前にやってきたこと、そして意識されていないだけで文芸作品のなかでも「おもしろさ」の中核を担ってきたものを、別の言葉でくくりなおしただけだと解釈しています。
集英社オレンジ文庫は、ライトミステリーを中心に、ホラー、SF、ラブロマンスなど様々なジャンルの作品を刊行いたしますが、その中には必ず「魅力的な登場人物」が出てきます。
ジャンルにこだわらずおもしろい小説を読みたい方、登場人物の活躍に心躍らせたい方の期待に応えられる作品をお届けしてまいります。今後ともどうぞ応援よろしくお願いいたします。
いつの日か「集英社オレンジ文庫というキャラが立つ」ことを願いつつ。
オレンジ文庫編集長 手賀美砂子