今回のお悩み
いつもいぬじゅん先生の素敵な物語を読ませてもらっています!! 大好きです!
国語は好きなのですが文章系が苦手でいつも伝えたいことが伝わらないおかしな文になってしまいます。いぬじゅん先生は文を書くときに大事にしていることはなんですか?
(ピンラビ さん)
こんにちは、いぬじゅんです。
今回も皆さんからのお悩みに、ズバッと、ときにゆるっとお答えします。
いきなりですが、「日常生活におけるいぬじゅんの苦手なこと」を発表します。
それはズバリ「メールの返信」です。
人と話すときはスラスラ言葉が出てくるのに、メールになるとおかしな文章になってしまいます。
丁寧語や尊敬語ってなに? 謙譲語ってどうやって使うの?
迷路に迷い込み、最後はあきらめて事務的な文章のまま送信ボタンを押すのです。
「ちゃんと伝わるように書かなくては!」と意気込むあまり、空回りしているのだと思います。
とはいえ、小説を書く際にそれでは困ります。
私の場合、一行書くたびにボソボソと口にして確認をするようにしています。
言葉にすることで、客観的に自分の書いた文を見直すことができます。
国語のテストのときに、周りに聞こえないようにつぶやいてみてください。
私が小説を書く際に気をつけていることは、なるべく簡単な文章にすることです。
難しい言い回しを避け、文章も短めにします。
たとえば、次の文章を書いたとします。
“いくつもの季節を越えた先で待っていた彼女との再会は、寄しくもあの曇天が支配していた街の片隅。そう、ふたりがどちらからともなく「さよなら」を告げた場所だった。”
なんだかかっこつけてますね。
よりわかりやすく変換します。
“数年ぶりに彼女と再会したのは、偶然にもあの日ふたりが別れた街角だった。気持ちを代弁するような鉛色の空まで同じだ。”
少し読みやすくなりました。
さらに短くまとめましょう。
“数年ぶりの再会は、あの日ふたりが別れたのと同じ場所だった。くもり空が僕たちを見おろしている。”
これでも十分伝わるのではないでしょうか?
① 声にして読んでみる
② かんたんな文章にする
これらを意識するだけで、ずいぶん変わるかと思いますよ。