いぬじゅんのお悩み相談室 いぬもあるけば

今回のお悩み①

いぬじゅん先生の小説を読んで心を掴まれて、うちもそんなお話書きたいなって思って密かに小説家を目指してるんですけど、ひとつのお話しを最後で書くことができないんですけど、どうしたら最後まで書き切る事ができますか? 学生なので書ける時間も限られてしまうんです……。

(藍空 さん)

こんにちは、いぬじゅんです。
今回も皆さんからのお悩みに、ズバッと、ときにゆるっとお答えします。

作品をお読みくださりありがとうございます。
小説家を目指している⁉ それならば私も気合いを入れ、質問にお答えしなければ!
今回は、本邦初公開「いぬじゅん流 小説を書く前の準備方法」を大公開!!

まずは、短くてもいいので「あらすじ」を書きましょう。
どういうことが起きるのか、物語の最初から最後までしっかりと書きます。
そして、次がいちばん大切な作業!
主要登場人物の「キャラクターシート」を作るのです。
どこに生まれ、どんなふうに育ったのか。
体型は? 髪型は? 趣味は? 口ぐせは? 
小説を書く上でいちばん大切なことは、“いかに自分の創った世界を愛せるか”に尽きます。
キャラクターシートを作ることで、より世界観が深まりますよ。
登場人物の履歴書や、町の地図、住んでいる家の間取り図を作るのもおすすめです。

え、めんどくさい?
……そう言うと思ってましたよ。
物語が思いついたら、すぐにでも書きはじめたくなりますものね……。

それでは、あなたのように「書いている途中で行き詰まったらどうするか?」についてお答えします。
打開方法は、「セリフだけ書き続ける」ことです。
マンガのコマのように、登場人物たちの会話だけを書いていくのです。
そうすることで、物語がまた動き出すことでしょう。

あなたの作品が呼吸をはじめれば、あとは育てるだけです。
一行でも続きを書くことで、作品はすくすくと成長すると思います。
立派に育った物語を、いつか私にも読ませてください。

今回のお悩み②

いつもいぬじゅん先生の素敵な物語を読ませてもらっています!! 大好きです!
国語は好きなのですが文章系が苦手でいつも伝えたいことが伝わらないおかしな文になってしまいます。いぬじゅん先生は文を書くときに大事にしていることはなんですか?

(ピンラビ さん)

こんにちは、いぬじゅんです。
今回も皆さんからのお悩みに、ズバッと、ときにゆるっとお答えします。

いきなりですが、「日常生活におけるいぬじゅんの苦手なこと」を発表します。
それはズバリ「メールの返信」です。
人と話すときはスラスラ言葉が出てくるのに、メールになるとおかしな文章になってしまいます。
丁寧語や尊敬語ってなに? 謙譲語ってどうやって使うの?
迷路に迷い込み、最後はあきらめて事務的な文章のまま送信ボタンを押すのです。
「ちゃんと伝わるように書かなくては!」と意気込むあまり、空回りしているのだと思います。

とはいえ、小説を書く際にそれでは困ります。
私の場合、一行書くたびにボソボソと口にして確認をするようにしています。
言葉にすることで、客観的に自分の書いた文を見直すことができます。
国語のテストのときに、周りに聞こえないようにつぶやいてみてください。

私が小説を書く際に気をつけていることは、なるべく簡単な文章にすることです。
難しい言い回しを避け、文章も短めにします。
たとえば、次の文章を書いたとします。

“いくつもの季節を越えた先で待っていた彼女との再会は、寄しくもあの曇天が支配していた街の片隅。そう、ふたりがどちらからともなく「さよなら」を告げた場所だった。”

なんだかかっこつけてますね。
よりわかりやすく変換します。

“数年ぶりに彼女と再会したのは、偶然にもあの日ふたりが別れた街角だった。気持ちを代弁するような鉛色の空まで同じだ。”

少し読みやすくなりました。
さらに短くまとめましょう。

“数年ぶりの再会は、あの日ふたりが別れたのと同じ場所だった。くもり空が僕たちを見おろしている。

これでも十分伝わるのではないでしょうか?
①声にして読んでみる ②かんたんな文章にする
これらを意識するだけで、ずいぶん変わるかと思いますよ。

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