「宝石商リチャード氏の謎鑑定」著者・辻村七子が贈る、人の心と骨董の物語。

デイケアセンターで働く白澤容は、施設利用者の老人・晴田に単発アルバイトとして、
車での送迎を頼まれた。目的地はカルチャーセンターで、
「中国骨董の世界・入門編」という講座が開催されるようだ。講師の名前は黒岩。
わけあって骨董の世界を離れた白澤容と、異例の若さで骨董店「かげろう堂」を営む青年・黒岩鼎。
ふたりが出会う、骨董をめぐる人間模様とは…?

古代中国で使われた祭祀用の杯。白澤の知り合いのコレクションにある殷代の青銅の觶を、偽物だけど買い取りたいという者が現れて…?
土や金属で作られた人形。店に展示されていた、唐時代の陶俑。骨董には詳しくないが、どうしても購入したいという女性が訪れて…?
赤を主として彩色した陶磁器。中国のものは五彩ともいう。黒岩たちは客から、友人の持つ赤絵を超える品を探してほしいと頼まれるが…?
中国清代に始まった彩色技法。白澤が突然、かげろう堂を辞めたいと切り出した。古美術品コレクターが持っていた粉彩が関係しているようで…?
陶磁器の装飾技法。表面の釉や化粧土を搔き落として模様を作る。店を訪れた中学生の女の子は、なぜか先代店主を知っていて会いたいようなのだが…?