桑原水菜の話題作ついに文庫化!&書き下ろし短編集登場! 敗戦の焦土から立ち上がれ。桑原水菜の骨太な筆致が冴える、混沌の時代を舞台に生き抜いた男たちの、反骨と絆の物語。「荒野は群青に染まりて 暁闇編」桑原水菜 / 装画:Re°
  • 著者コメント
  • あらすじ
  • 人物紹介
  • 書籍情報

昭和二十年。終戦直後の混乱の中、
大陸から見知らぬ祖国に引き揚げてきた少年・群青は「母を死なせたかもしれない男」と焼け野原の東京で生き抜くことになります。
きれいごとも通じない混沌とした街で、誰もが苛酷な朝を迎えていた時代に、群青たちが見つけた道とは――。
彼らが見た夜明けの景色をぜひいっしょにご覧ください。

桑原水菜

あらすじ

戦時中、朝鮮半島に育った阪上群青。日本は太平洋戦争に敗れ、群青は母とともに引揚船に乗る。
だが、船中で母とはぐれた群青は、直後に何かが海に落下する音を聞いた。
その場に居合わせたのは、赤城壮一郎という男。
さらに謎の男が現れ、「赤城が君の母親を突き落とした」と告げられる。
母の失踪に赤城が関係しているのか。
疑惑がぬぐえないまま、行く当てのない群青は、赤城と共に焼野原を生きることに。
戦後の混乱期、上野の闇市で商売をするうちに、人々が衣食の次に必要なのは「清潔」だと気づき、
二人は仲間たちと石鹸会社を立ち上げた。ともに困難に立ち向かう日々の中、
群青にとって赤城がかけがえのない存在となっていく。
だがそんな時、引揚船の男が再び現れ、衝撃の事実を群青に伝えた。
果たして二人の行きつく未来は……。

「青春と読書」連載時の扉イラストを収録したイラストギャラリー付!

※当作品は、2022年に刊行された単行本『荒野は群青に染まりて 暁闇編』を文庫化したものです。

人物紹介

  • 阪上群青(さかがみぐんじょう)

    戦時中、朝鮮半島に生まれ育った少年。引揚船の中で母を失うが、謎の男・赤城壮一郎に拾われ、焦土と化した東京で生きることに。

    阪上群青(さかがみぐんじょう)
  • 赤城壮一郎(あかぎそういちろう)

    群青と同じ引揚船に乗っていた男。母を失った群青の保護者となる。紆余曲折の末、東京で石鹸の製造販売会社を立ち上げる。

    赤城壮一郎(あかぎそういちろう)
  • 近江勇吉(おうみゆうきち)

    群青と赤城が東京で出会った男。商才があり、焼け野原に立つ闇市での商売をいち早く企てる。

  • 近江佳世子(おうみかよこ)

    勇吉の妹。幼いながらもしっかり者で、身寄りを失った群青に新しい「家族」として接する。

  • アゴ

    上野の闇市を仕切る朝鮮人一派のメンバー。勇吉の商売の繁盛ぶりに目をつけ、彼を拉致する。

  • 東海林(しょうじ)

    勇吉の知人で、元陸軍の研究員。赤城たちの石鹸会社の一員となり、商品の改良を担当する。

  • 赤城壮一郎(あかぎそういちろう)

    群青と同じ引揚船に乗っていた男。母を失った群青の保護者となる。紆余曲折の末、東京で石鹸の製造販売会社を立ち上げる。

    赤城壮一郎(あかぎそういちろう)
  • リョウ

    浮浪児グループ「アメンボ団」のリーダー。戦災孤児という立場ながら、仲間の少年たちを守る気概の持ち主。群青とはやがて協力関係に。

  • 勅使河原(てしがわら)

    群青が闇市で出会った復員兵の男。石鹸作りの腕利き職人で、群青に「石鹸の師匠」として迎えられる。

  • 蔵地善之助(くらちぜんのすけ)

    国内有数の石鹸会社・桜桃石鹸の社長であり、勅使河原のかつての雇い主。勅使河原を連れ戻そうと赤城たちのもとにに乗り込んでくる。

荒野は群青に染まりて 暁闇編

集英社オレンジ文庫

荒野は群青に染まりて 暁闇編

桑原水菜定価825円(税込) 好評発売中