今回のお悩み
いぬじゅん先生、こんにちは。
いぬじゅん先生の小説を読んで、小説というものに興味が湧いてきています。
長編は無理にしろ、短編小説をためしに書く場合、起承転結の配分などは意識しますか?
また、いぬじゅん先生は結末が最初に浮かんでからまわりを固めていきますか?
(静岡CREWのまーくん さん)
みなさんこんにちは、いぬじゅんです。
今回も皆さんのお悩みにズバッと、時にはゆるっとお答えします。
作品をお読みくださりありがとうございます。
男性読者は少ないのでとてもうれしいです。
今日は私なりの小説の書き方についてお答えします。
物語のイメージが浮かぶのは、誰かと話をしている時が多いです。
たとえば「友だちとケンカしちゃった」という話題が出たとします。
話を聞きながら頭の中で、その友だちがケンカしているシーンが浮かびます。
同時に違う物語がうっすらと見えてきます。
“その友だちは遠い国へ引越しをすることになった。二度と会えないから、わざとケンカを売ってしまった”
“空港に駆けつけると友だちは『なんで…もう会えないからわざとケンカをしたのに』と涙を流す。『友だちだから当たり前だろ』と言われて崩れ落ちる”
こんな風に、友だちの話している内容と違う展開が次々に頭をよぎるのです。
家に戻っても印象に残っているシーンがあればメモにして残すのです。
起承転結については、だいたい「結」が先に思い浮かびます。
結末からはじまり、過去にさかのぼる形で肉付けをしていきます。
そうしているうちに、主人公のイメージや周りの登場人物がはっきり見えてきます。
「あらすじ」は回を重ねるごとに文字数が増えていき、最終的には2~3万文字になることも!
短編小説として出してもおかしくないページ数になったところで、いよいよ本文を書きはじめるのです。
相談者様は短編小説を書いてみたいとのことですが、個人的な意見を言わせてもらうと、私は長編小説を書くほうが何倍もラクです。
短編小説では短いページ数で描き切ることができず、場面転換が多すぎて感情移入してもらうのが大変。
短編小説を多く発表されている作家さんのことを、密かに尊敬していたりします。
逆に長編小説なら、ページ数を追うごとにキャラクターも生きてきますし、修正もしやすい気がしています。
集英社オレンジ文庫から発売されている「この恋は、とどかない」は、起承転結にこだわった作品ですので、よろしければお読みください。(と、宣伝しておきます)
なにはともあれ、「書いてみたい」と思った気持ちが大切です。
ぜひ完成しましたら、私をひとり目の読者にしてください。