阿部暁子さんに訊いてみました。
集英社オレンジ文庫11周年フェア『どこよりも遠い場所にいる君へ』『また君と出会う未来のために』(阿部暁子)スペシャルインタビュー

――『どこよりも遠い場所にいる君へ』(以下『どこ君』)構想のきっかけを教えてください。前作の『鎌倉香房メモリーズ』とはどのような違いがありましたか。
『鎌倉香房メモリーズ』はやわらかい雰囲気のライトなミステリを書こうと思って考えた物語でしたが、『どこ君』は担当さんに「『ねらわれた学園』みたいなジュブナイルはどうですか」と提案をもらって考えました。『ねらわれた学園』は未来からキーパーソンがやってくるので、これから書くものは過去から人がくる話にしよう、と思い七緒が生まれました。海がきれいで、少し隔絶された部分のある土地を舞台にしたかったので、離島で暮らす高校生たちを登場人物にしました。
――『また君と出会う未来のために』(以下『また君』)は『どこ君』とセットで構想されたのですか? それとも「続編を」ということで考えたのでしょうか?
『どこ君』を書いている時はまったく続編のことを考えていませんでした。『どこ君』が刊行されてしばらくしてから、続編を考えてみようということになり、『また君』ができました。和希や幹也がその後どんな風に生きているのかは自分も考えてみたかったので、『また君』を書くことができて良かったです。
――『どこ君』『また君』ともに時間を超える物語ですが、前者は過去、後者は未来にフォーカスされています。この対称的な構図にはどんなねらいがあるのですか?
『どこ君』では「過去には決して手出しができない」ということを書きました。どんなに願っても何も届かないという喪失感を和希が抱えた状態で物語は終わります。それもあって、続編である『また君』では、それが報われるかどうかは分からないが望んだ未来にするために努力することはできる、ということを描きたかったです。『また君』では和希は主人公爽太を手助けする脇役ですが、ひたむきに進んでいく爽太の姿に和希が救われる側面もあります。
――『どこ君』『また君』を通して、一番お気に入りのキャラクターは誰ですか?
高津さんを書いていると妙に癒されます。理由はよくわからないのですが、たぶんかわいい人だからだと思います。
――『どこ君』『また君』を通して、友人になりたいキャラとなりたくないキャラを教えてください。
『また君』のまどかさんは、飲み友達になって一緒に芋焼酎で楽しく酔っぱらいたいです。『どこ君』に登場するたまきは、友達になりたくないというか、たぶん私では友達に選んでもらえないだろうなと思います。関係ないですが、たまきと幹也は、表面上はにこやかに付き合っているけど内心は同族嫌悪を感じていてお互い警戒している、というマイ設定があります。
――『どこ君』『また君』それぞれのお気に入りのシーンを教えてください。
『どこ君』では和希がピアノを弾きにいくラストシーンが好きです。『また君』では爽太が五鈴に会うために駆け出すシーンが好きです。
――syo5さんの描いてくださった『どこ君』『また君』の装画はいかがでしょうか?
あまりにきれいで素敵で『どこ君』でも『また君』でも何度も見返していました(今もよく見ては「家宝にしよう…」と感動しています)。
――現在『どこ君』のコミカライズ連載が「となりのヤングジャンプ」で進行中です。まんがではどんなところに注目していますか?
登場人物たちが生き生きと肉体を持って動いているのを、いつも楽しみに見ています。チノハルカさんは絵も素敵ですが、感情表現も巧みな方なので、毎回感動しています。
――集英社オレンジ文庫で次の作品を書くとしたら、どんなものを書きたいですか?
(集英社オレンジ文庫公式HPで連載した)『たかが恋の話』の朝陽のその後が書きたいなあとぼんやり思っています。
【おわり】